eぶらあぼ 2018.11月号
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166SACDCDCDCDベートーヴェン&シベリウス:ヴァイオリン協奏曲/庄司紗矢香&テミルカーノフ至福の時~歌の翼に/森麻季DUO~神に捧げるデュオ~/ケース・ブッケ&辺保陽一ベートーヴェン「田園」/延原武春&日本センチュリー響ベートーヴェン:ヴァイオリン協奏曲シベリウス:同庄司紗矢香(ヴァイオリン)ユーリ・テミルカーノフ(指揮)サンクトペテルブルク・フィルハーモニー交響楽団メンデルスゾーン:歌の翼に/シューベルト:君はわが憩い/シューマン:献呈/ベッリーニ:優雅な月よ/ドナウディ:私の愛する人の/アーン:クロリスに、至福の時/デュパルク:旅への誘い/サティ:あなたが欲しい/フォスター:夢路より/モリコーネ:ネッラ・ファンタジア 他森麻季(ソプラノ)山岸茂人(ピアノ)フェスタ:コントラプントⅠ/「フランス語、ラテン語、ドイツ語のビチニア」(1545)より/ジャンベルティ:様々な形式によるデュオ曲集/オトテール:2つの高音楽器のための組曲第3番/J.S.バッハ:2つのデュエット/テレマン:2つのフルートのためのソナタ 他ベートーヴェン:交響曲第6番「田園」ウェーバー:歌劇《オベロン》序曲モーツァルト:ディヴェルティメント K.334より第3楽章 メヌエット延原武春(指揮)日本センチュリー交響楽団収録:2017年10月、サンクトペテルブルク(ライヴ) 他ユニバーサル ミュージックUCCG-1811 ¥3000+税エイベックス・クラシックスAVCL-25974~5(2枚組) ¥5000+税コジマ録音ALCD-1179 ¥2800+税収録:2017年9月、豊中市立文化芸術センター(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7879 ¥2500+税庄司紗矢香、満を持してのベートーヴェン&シベリウスの協奏曲録音は驚くべき名演奏で、もはやこれは大家の芸だろう。特に前者。テミルカーノフの作り出すゆったりと深みのあるサポートの上で、庄司はあらゆるフレーズの細部にまで丁寧で血の通った表情を纏わせているが、それにしてもその繊細さは驚くべきもの。流れも自然でその音楽は清流の如く透明。自作のカデンツァも秀逸だ。後者も同路線であるが、ここでは濃密な第2楽章と落ち着き払った風格を持つ終楽章が見事な出来栄え。ソロにややオン気味のマイクも庄司の張り詰めた音色を見事に捉えている。(藤原 聡)国内外で輝かしいキャリアを積み重ねてきた人気ソプラノがこれまでの歌手人生を振り返り、心に残る歌、これからも歌い継いでいきたい歌を選りすぐった待望の2枚組歌曲アルバム。「DISC 1」は王道ドイツ・リートからイタリア古典歌曲など。特にイタリア近代歌曲の作曲家として重要な存在であるドナウディの作品群は声楽専攻学生でなくとも必聴。「DISC 2」はアーン〜フォーレ〜デュパルク〜サティと続く魅惑のフランス歌曲の世界からアンコール・ピースまで。〈夢路より〉の日本語歌唱あり、モリコーネ作品あり、ミュージカル曲ありとジャンルを超えて名歌の旅が続く。(東端哲也)リコーダー・ソロはよく聴くし、アンサンブルも。しかし、デュオとなると…? 伝説のグループ「サワークリーム」などで活躍した古楽界の先駆者ケース・ブッケと、その愛弟子・辺保陽一が、この“ミニマムなポリフォニー”の構築に挑んだ。取り上げたのは、ルネサンスからバロック、200年に及ぶ時代の多彩な佳品群。同じ楽器を使いながら、時に表現を一にし、時に1人が旋律をしなやかに、1人が通奏低音を重めに吹き分けてゆく。そして、本来なら言葉を伴う作品で、そのニュアンスが繊細に掬い取れるのも、リコーダーならでは。シンプルだが、深淵な響きの世界が広がっている。(寺西 肇)かつて、手兵のテレマン室内オーケストラとピリオド楽器でベートーヴェン交響曲全集をリリースした延原武春が、モダン・オケの指揮者としても大活躍だ。大阪フィルとのベートーヴェン・ツィクルスは絶賛され、今や各地のオケに招かれている。今回は日本センチュリー交響楽団との「田園」。冒頭の主題から美しい響きで、ゼクエンツの漸強にもしみじみとした感動がある。ヴィブラート少なめの弦は透明だ。緩徐楽章もとてもきれい。「嵐」はバロック・ティンパニの加入で怖いほどの迫力。終楽章は感謝の祈りが大団円の熱気にまで高まる。《オベロン》序曲も実に楽しい。 (横原千史)ケース・ブッケ 辺保陽一(以上リコーダー)
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