eぶらあぼ 2018.10月号
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61至高のオーケストラ・シリーズ2018 ドレスデン国立歌劇場管弦楽団サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団、バイエルン放送交響楽団海外の名門3楽団が得意のプログラムを携えて来日!文:飯尾洋一クリスティアン・ティーレマン(指揮) ドレスデン国立歌劇場管弦楽団10/31(水)19:00、11/1(木)19:00 サントリーホールユーリ・テミルカーノフ(指揮) サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団11/12(月)19:00、11/13(火)19:00 サントリーホールマリス・ヤンソンス(指揮) バイエルン放送交響楽団11/22(木)19:00 東京芸術劇場 コンサートホール 11/26(月)19:00、11/27(火)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040※上記オーケストラによる全国公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.japanarts.co.jp/ 秋は名門オーケストラが次々と来日する。とりわけ強力な楽団がそろっているのが「至高のオーケストラ・シリーズ2018」。クリスティアン・ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団、ユーリ・テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィルハーモニー交響楽団、マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団という豪華ラインナップが組まれた。 ティーレマン指揮ドレスデン国立歌劇場管弦楽団は、2夜にわたるシューマンの交響曲全曲プログラムを披露する。近年、シューマンの交響曲はトップレベルのオーケストラによる演奏機会が増えているように思う。ブラームスに匹敵する豊かなロマン性と詩情、そしてシューマンならではの鬱屈した情熱と、渋みのあるオーケストレーションの魅力が再評価されているのではないだろうか。おそらくティーレマンは、このオーケストラの持ち味である深く重厚な響きを生かしたシューマンを聴かせてくれるにちがいない。グローバル化が進むといわれるオーケストラの世界にあって、ドレスデン国立歌劇場管弦楽団が守り続ける「伝統の響き」は健在だ。 プログラムは初日(10/31)が交響曲第1番「春」と第2番、2日目(11/1)が交響曲第3番「ライン」と第4番。どちらを選んでも、シューマンの明と暗、陽と陰を堪能できるはず。 テミルカーノフ指揮サンクトペテルブルグ・フィルも意欲的なプログラムを聴かせてくれる。ひとつはシベリウスのヴァイオリン協奏曲(独奏:庄司紗矢香)とラフマニノフの交響曲第2番(11/12)。シベリウスはこのコンビで昨秋レコーディングを果たしたばかり。完成度の高い表現を期待できそうだ。ラフマニノフはドラマティックでスケールの大きな名曲。テミルカーノフは「ロシア人は憂いをもって生まれてくる。ラフマニノフはまさにその典型」だという。ロシア的な憂愁とはなにかを私たちに教えてくれることだろう。 もうひとつのプログラムはプロコフィエフのオラトリオ「イワン雷帝」(11/13)。こちらは映画監督エイゼンシュテインの依頼で書かれた映画音楽をもとにした大作だ。もともとの映画がスターリン体制下で上映禁止になったため、長らくお蔵入りになっていたという曰くつきの作品である。テミルカーノフによれば「埋もれていた大傑作」。ニコライ・ブロフの語りと東京音楽大学合唱団が共演する。 マリス・ヤンソンス指揮バイエルン放送交響楽団は、現代のオーケストラにおいて最高峰の一角を担う存在である。驚異的な演奏技術をもとに、磨き上げられた響きの芸術を作り出す。プログラムは3種類。ひとつはマーラーの交響曲第7番「夜の歌」(11/22)。一筋縄ではいかないユニークな性格を持つ作品だが、ヤンソンスはどんなマーラーを描き出してくれるのだろうか。二つめはリストのピアノ協奏曲第1番(独奏:エフゲニー・キーシン)とR.シュトラウスの交響詩「英雄の生涯」(11/26)。完璧なピアニストと完璧なオーケストラの共演は聴きもの。華麗で緻密なオーケストレーションが施された「英雄の生涯」はこのコンビにぴったりの選曲だ。そして三つめは同じくリストのピアノ協奏曲第1番にストラヴィンスキーのバレエ音楽「春の祭典」が組み合わされる(11/27)。オーケストラの機能美が最大限に発揮される選曲だ。 このシリーズにはお得なセット券も用意されているので、どれを聴くのか、頭を悩ませるところからコンサートの楽しみは始まっているかもしれない。ユーリ・テミルカーノフマリス・ヤンソンス ©Peter Meisel(BR)庄司紗矢香 ©Kishin Shinoyamaエフゲニー・キーシン ©Johann Sebastian Hänelクリスティアン・ティーレマン ©Matthias Creutziger

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