eぶらあぼ 2018.10月号
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48ジョヴァンニ・アントニーニ(指揮/リコーダー) 読売日本交響楽団イタリア古楽界の鬼才がモダン・オケにもたらすスリリングな響き文:柴辻純子第211回土曜マチネーシリーズ 10/20(土)第211回日曜マチネーシリーズ 10/21(日)各日14:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 読響チケットセンター0570-00-4390 http://yomikyo.or.jp/ 読響10月マチネーシリーズに古楽の鬼才、ジョヴァンニ・アントニーニが登場する。アントニーニ率いる「イル・ジャルディーノ・アルモニコ」は、1985年の創設以来、エッジの効いた、エキサイティングな演奏で、古楽界に旋風を巻き起こしてきた。アントニーニは、“イル・ジャル”で指揮者、リコーダー奏者として中心的な役割を担うが、その一方で、ベルリン・フィルやシカゴ響など欧米の名門オケにたびたび客演し、モダン・オーケストラの指揮者としても高く評価されている。 曲目は、バロックとハイドンの交響曲の組み合わせだが、刺激的かつ挑戦的だ。ヴィヴァルディのリコーダー協奏曲ではアントニーニ自らリコーダーを演奏し、2曲のマンドリン協奏曲では、気鋭のマンドリン奏者、アヴィ・アヴィタルが登場する。 78年イスラエル生まれのアヴィタルは、そのカリスマ性と超絶技巧で、“マンドリンのプリンス”の異名をとる。ヴィヴァルディはマンドリンのオリジナル曲だが、J.S.バッハは「チェンバロ協奏曲 ニ短調」の編曲。彼の巧みな指捌きと繊細かつ優美な表現に誰もが魅了されるだろう。 最後は、ハイドンの交響曲第100番「軍隊」。アントニーニは、現在、ハイドン生誕300年の2032年に向けて、交響曲全曲録音を“イル・ジャル”とバーゼル室内管とともに敢行中で、鮮やかな切り口の、目からうろこの演奏で話題を集める。アントニーニはこの交響曲で読響にどんな魔法をかけるのか、ぜひともホールで確認してほしい。アヴィ・アヴィタル ©Harald Homann/DGシュツットガルト・バレエ団 2018年日本公演新たに生まれ変わった名門バレエ団の十八番を文:加藤智子『オネーギン』11/2(金)~11/4(日) 『白鳥の湖』11/9(金)~11/11(日)東京文化会館問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp/※配役、全国ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。 物語バレエの傑作で知られる天才振付家、ジョン・クランコが率いたドイツの名門カンパニー、シュツットガルト・バレエ団による待望の日本ツアーだ。 1960年代、このバレエ団を世界レベルにまで引き上げ、73年に45歳の若さでこの世を去ったクランコの遺産を脈々と受け継いできた彼らだが、この9月には往年のスター・ダンサー、タマシュ・デートリッヒが新芸術監督に就任、まさに新時代への幕開けのさなかでの日本ツアー実現となる。着任直前の8月上旬、東京で記者会見にのぞんだデートリッヒは、「マリシア・ハイデのもとで20年、リード・アンダーソンのもとで22年と、素晴らしい芸術監督とともに仕事ができた。クランコのバレエを継承しながら、同時に、リスクを取って新たな挑戦をしていきたい」と新シーズンへの思いを明かしていた。 今回上演される2つのクランコ作品も、彼らがずっと大切に上演を重ねてきた、いわば十八番。文豪プーシキンの韻文小説をもとに創作された『オネーギン』(1965)は、世界中のダンサーたちが演じることを夢見るという特別な作品だ。演劇的バレエの最高峰といわれるだけに、スターたちの連日の競演をしかと目に焼き付けたい。また『白鳥の湖』(1963)は、もとは誰もが知る古典だが、のちにルドルフ・ヌレエフ版にも影響を与えたといわれる衝撃的な展開に天才振付家独自の解釈が光る。福岡、西宮でも上演を予定、クランコ版の魅力を劇場でじっくり堪能したい。『オネーギン』©Stuttgart Balletジョヴァンニ・アントニーニ ©Decca/David Ellis『白鳥の湖』©Stuttgart Ballet

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