eぶらあぼ 2018.10月号
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21412月の見もの・聴きもの2018年12月の曽そし雌裕ひろかず一 編〔Ⅰ〕オーストリアウィーン国立歌劇場12月1、3、7日 プッチーニ:蝶々夫人 指/J.ビニャミーニ、演出/J.ギーレン、出/A.M.マルティネス、A.カレ、G.ベルムデス12月6、9、12日 ヴェルディ:ナブッコ 指/P.カリニャーニ、演出/G.クレーマー、出/L.サルシ、L.モヤケ、A.アンガー★◎12月8、11、14、16、20日 J.M.シュタウト:Die Weiden[プレミエ] 指/I.メッツマッハー、演出/A.モーゼス12月13、17、19、21、23日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 指/A.コーバー、演出/A.ノーブル、出/B.ダニエル12月15、18、22、26、28、30日 モーツァルト:魔笛 指/A.フィッシャー、演出/M.ライザー、P.コーリエ12月31日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 指/S.ゲッツェル、演出/O.シェンクウィーン・フォルクスオーパー12月1(19:00)、26(19:00)日 カールマン:チャールダーシュの女王[18年9月プレミエ] 演出/P.ルント12月2(18:00)日 ロルツィング:ロシア皇帝と船大工[18年10月プレミエ] 演出/H.ホルストコッテ12月4(19:00)、7(19:00)日 ヴェルディ:群盗 演出/A.シューリン12月5(19:00)、11(19:00)、19(19:00)日ホイベルガー:オペラ舞踏会 演出/A.ケーラー★◎12月6(19:00)、9(19:00)、13(19:00)、18(19:00)日 バーンスタイン:ワンダフル・タウン(ミュージカル)[プレミエ(9日)] 指/J.ホルムズ、演出/M.ダヴィッズ12月8(17:00)、10(11:00)、15(18:30)、23(16:30)、25(17:00)、29(18:30)日 フンパーディンク:ヘンゼルとグレーテル 演出/K.デンヒ12月12(19:00)、31(13:30+19:00)日 J.シュトラウスⅡ:こうもり 新校訂演出/H.ツェドニク12月20(19:00)、27(19:00)日 モーツァルト:ドン・ジョヴァンニ 演出/A.フライヤー12月22(18:30)、28(18:30)日 H.アーレン:オズの魔法使い 演出/H.メイソン12月30(19:00)日 F.レーヴェ:マイ・フェア・レディ(ミュージカル) 演出/R.ヘルツルアン・デア・ウィーン劇場★◎12月12(19:00)、15(19:00)、17(19:00)、19(19:00)、28(19:00)、31(19:00)日ウェーバー:オイリアンテ[プレミエ] 指/C.トリンクス、演出/C.ロイ、出/J.ワグナー、N.ラインハルト、演奏/ウィーン放送響◎12月16(19:00)日 R.キング指揮キングス・コンソート ヘンデル:メサイア 独/J.ドイルS、H.サマーズA、J.エリコットT、他ウィーン・フィル[会場:無印=ムジークフェライン(ウィーン)、(MUC)=フィルハーモニー[ガスタイク](ミュンヘン)、(BER)=コンツェルトハウス(ベルリン)、(KOL)=フィルハーモニー(ケルン)]〔11月15日-12月2日:日本・中国公演〕◎12月8(15:30)、9(11:00)日 K.ペトレンコ指揮 R.シュテファン:管弦楽のための音楽、R.シュトラウス:メタモルフォーゼン、ブラームス:交響曲第4番◎12月13(19:30)、15(15:30)、16(11:00)、17(20:00)(MUC)、18(20:00)(BER)、19(20:00)(KOL)日 R.ムーティ指揮 モーツァルト:フルート協奏曲第1番、ブルックナー:交響曲第7番 独/K.H.シュッツ◎12月21(BER)日 F.ウェルザー=メスト指揮ブラームス:ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲、交響曲第2番 独/V.シュトイデvn、P.ソモダリvc◎12月30(11:00)、31(19:30)日 C.ティーレマン指揮(プレ・ニューイヤー・コンサート(30日)/ジルヴェスター・コンサート(31日)) J.シュトラウスⅡ・ファミリー他の音楽ウィーン響[会場:(MV)=ムジークフェライン(ウィーン)、(KH)=コンツェルトハウス(ウィーン)]12月5(19:30)(MV)、6(19:30)(MV)日M.ホーネック指揮 ハイドン:交響曲第93番、モーツァルト:ピアノ協奏曲第21番、R.シュトラウス:エレクトラ(組曲/M.ホーネック編) 独/R.ブッフビンダーp12月11(19:30)(KH)、12(19:30)(KH)日L.シャニ(p)指揮 ウェーバー:オベロン〜序曲、ベートーヴェン:ピアノ協奏曲第4番、シューマン:交響曲第1番「春」◎12月15(19:30)(KH)、16(11:00)(KH)、17(19:30)(KH)日 P.ジョルダン指揮 バッハ:クリスマス・オラトリオ〜第4部-第6部独/J.クライターS、W.レームクールA、W.ギューラT、A.シュエンBr12月30(20:00)(KH)、31(19:00)(KH)日A.オロスコ=エストラーダ指揮(ジルヴェスター・コンサート) ベートーヴェン:交響曲第9番「合唱」 独/R.ミューレマンS、D.ラングMs、S.ダヴィスリムT、F.ベッシュBs-Brムジークフェライン[楽友協会]大ホール[ウィーン](主要公演のみ)12月1(19:30)日 P.ヤルヴィ指揮ドイツ・カンマーフィル ハイドン:交響曲第102番、モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲第5番「トルコ風」、シューベルト:交響曲第8番「ザ・グレイト」 独/C.テツラフvn【本文中の記号】★=プレミエ[新演出]公演、◎=注目公演 本来、その劇場・オーケストラの音楽監督なり首席指揮者が登場して、華やかな一夜を繰り広げるのが「ジルヴェスター・コンサート」の通例(最近は日本の逆輸入で、ベートーヴェンの『第九』を演奏するオーケストラも多い)だが、今年の年末は少し景色が違う。例えば、ウィーン・フィルのジルヴェスター・コンサート(翌日のニューイヤー・コンサートと同じ演目)にティーレマンが登壇するため、手兵のシュターツカペレ・ドレスデンの年末を任されたのは意外なことにウェルザー=メスト。J.シュトラウスⅡの「こうもり」その他で会場を沸かす。もう一つ、ベルリン・フィルのジルヴェスター。ひょっとしたらペトレンコが出るのでは…という期待は空しい結果に終わったが、首席指揮者不在の今シーズンに年末を託されたのはバレンボイムであった。ではバレンボイム本来の仕事場であるシュターツカペレ・ベルリンの方はどうなっているのかというと、年末の演奏会は、彼の秘蔵っ子と言えなくもないイスラエル人指揮者、ラハフ・シャニに任された。彼は2019年からイスラエル・フィルの音楽監督に就任するので、その「はなむけ」というバレンボイムの思いもあるのかもしれない。なお、ヨーロッパでも年末の「第九」は日本並みに恒例となりつつあるが、今年注目の「第九」の筆頭は、フォークトがテノールを担当するネルソンス指揮ライプツィヒ・ゲヴァントハウス管あたりであろうか。ちなみに、本文では紹介できなかったが、フィレンツェ五月音楽祭管には、30日・31日の年末コンサートにエサ=ペッカ・サロネンが登場し、ラヴェルの「ダフニスとクロエ」全曲に加えて、自作曲やストラヴィンスキーの「春の祭典」まで振るという、およそ年越しとは思えないマニア好みの豪奢な演奏会を開く。 さて、話が年末ばかりに集中してしまったが、12月全体を見渡すと、最大の注目は、まずはウィーン・フィルへのキリル・ペトレンコの登場であろうか。彼がウィーン・フィルを振るのは初めてではないが、今回も「定期演奏会」に起用されたというところに意味があろう。オーケストラでは、他にネルソンス=ベルリン・フィルのマーラー「復活」、同じくネルソンスがライプツィヒ・ゲヴァントハウス管を振るブルックナー、ラトル=ロンドン響でラベック姉妹がピアノ・デュオを担当するゴリホフの協奏曲、ムーティとウィーン・フィルの演奏会、古典と現代曲を組み合わせた、相変わらず凝った選曲のケント・ナガノ指揮ハンブルク・フィルのジルヴェスター、チョン・キョンファとチョン・ミョンフン姉弟が共演するシュターツカペレ・ドレスデンあたりは、皆、要注目公演。バルセロナ響には12月も大野和士が登場する。 オペラでは、ドレスデン・ゼンパーオーパーでティーレマンの振るR.シュトラウス「ナクソス島のアリアドネ」プレミエ、チューリッヒ歌劇場でのヘンデル「セメレ」(クリスティ指揮)、ギュルバカ演出のウェーバー「魔弾の射手」(エッセン歌劇場)、同じウェーバーの「オイリアンテ」(アン・デア・ウィーン劇場)、バーンスタインの「ワンダフル・タウン」(ウィーン・フォルクスオーパー)、現代作品のシュタウト「ディー・ヴァイデン」(メッツマッハー指揮/ウィーン国立歌劇場)、スカラ座の新シーズン開幕公演であるヴェルディ「アッティラ」、シャンゼリゼ劇場とメトロポリタン歌劇場の「椿姫」、11月から続くラトル指揮のラモー作品(ベルリン州立歌劇場)、バイエルン州立歌劇場の「オテロ」(ペトレンコ指揮)等々どれも見逃せない。これ以外にもソコロフのピアノ・リサイタルやミンコフスキ、ヘンゲルブロックの手兵オケなど、聴きどころはまだまだ多い。(曽雌裕一・そしひろかず)(コメントできなかった注目公演も多いので本文の◎印をご参照下さい)

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