eぶらあぼ 2018.9月号
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82ヤン・ヤン(楊洋)東京公演 10/5(金)19:00 群馬交響楽団 10/6(土)14:00 フィリピン・フィルハーモニック管弦楽団 10/7(日)14:00 杭州フィルハーモニック管弦楽団東京オペラシティ コンサートホール問 日本オーケストラ連盟03-5610-7275久慈公演 10/4(金)18:30 久慈市文化会館(アンバーホール)問 久慈市文化会館0194-52-2700 http://www.orchestra.or.jp/アジア オーケストラ ウィーク 2018今年は、フィリピンと中国のオーケストラ、日本からは群響が参加文:飯尾洋一 恒例のアジア オーケストラ ウィークが今年も開催される。2002年に始まったアジア オーケストラ ウィークでは、アジア太平洋地域の各国から有力オーケストラを招き、この地域の音楽文化の多様さを伝えてきた。17回目を迎える今回は、フィリピン・フィルハーモニック管弦楽団と杭州フィルハーモニック管弦楽団の両楽団が招かれる。またホスト・オーケストラとして群馬交響楽団が参加する。 フィリピン・フィルは1973年に国立フィリピン文化センターの付属オーケストラとして創設された楽団。79年に当時のファーストレディであるイメルダ・マルコスの主導により再編され、トップレベルの楽団を目指そうというビジョンが掲げられた。2001年には欧州ツアーも実現している。今回はアジア オーケストラ ウィーク第1回での初来日以来、16年ぶりの来日。2016年より音楽監督を務める福村芳一のもと、ロドリーゴのアランフェス協奏曲(ギター独奏は荘村清志)、ロッシーニの歌劇《セミラーミデ》序曲、ファリャのバレエ音楽「三角帽子」を演奏する。 中国の杭州フィルは09年創設の新しいオーケストラだが、すでにフェドセーエフ、パーヴォ・ヤルヴィ、メータなど世界的マエストロとの共演も多い、勢いのある楽団である。16年のG20サミットで演奏を披露した他、今年は欧州ツアーも行っている。指揮は創設以来の音楽監督であるヤン・ヤン(楊洋)。06年にディミトリ・ミトロプーロス国際指揮者コンクールで優勝を果たし、現在は中央歌劇院音楽監督も兼任する気鋭だ。プログラムはワーグナーの歌劇《リエンチ》序曲、ツォ・チーピンのヴァイオリン協奏曲第1番、マーラーの交響曲第5番。「お国もの」のツォ・チーピン作品でヴァイオリン独奏を務めるニン・フェンは、多数の国際コンクール受賞歴を誇り、ロサンゼルス・フィルやフランクフルト放送響といった著名オーケストラと共演を重ねる実力者である。メイン・プログラムに置かれたマーラーでは、オーケストラの実力がいかんなく発揮されるに違いない。 群馬交響楽団の指揮は音楽監督の大友直人。曲はモーツァルトの交響曲第35番「ハフナー」、チャイコフスキーの幻想序曲「ロメオとジュリエット」、シベリウスの交響曲第2番。6年にわたって務めた大友音楽監督のラストシーズンに華を添える。 なお、群響とフィリピン・フィルは2011年以来の被災地公演の一環として、岩手県の久慈市で、ソリストに五嶋龍(ヴァイオリン)を迎えた合同演奏会を行う。ヴァンサン・ラルドゥレ(ピアノ) “ラヴェル直系”の芳しきピアニズム文:笹田和人 ヴァンサン・ラルドゥレは、その変幻自在なプレイが、オーケストラの圧倒的な表現力や絵画のパレット上の色彩にも例えられる、フランスの名ピアニスト。ドビュッシーとラヴェルを大枠に、リストとショパンを配した来日リサイタルで、フランス・ピアニズムの真髄を伝えてくれる。 国立リュエイユ・マルメゾン音楽院を経て、ドイツのリューベック音楽大学でブルーノ=レオナルド・ゲルバーに師事。スペインのマリア・カナルス国際音楽コンクールをはじめ、欧州各地の登竜門を次々に制した。古典から現代10/23(火)19:00 Hakuju Hall問 プロアルテムジケ03-3943-6677http://www.proarte.jp/に至る多彩なレパートリーを的確に弾き分ける一方、ラヴェル本人が演奏への注釈を書き加えた資料を巨匠ペルルミュテールから受け継ぎ、その音楽的な完成度を高めることに力を注ぐ。 今回のステージは、ドビュッシー「前奏曲集第2巻」で幕開け。リスト「詩的で宗教的な調べ」から第7曲「葬送」、ショパン「バラード第2番」を挟んで、ラヴェルの難曲「夜のガスパール」で締め括る。エスプリと詩的な感性が同居する、独特の美学。“ラヴェル直系”の芳しきピアニズムを、ぜひ体感したい。大友直人 ©Rowland Kirishima福村芳一

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