eぶらあぼ 2018.9月号
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77『サロメ』 たいらじょう × 宮田 大 アンサンブルオスカー・ワイルドの退廃美を人形劇と音楽で表出文:小田島久恵2019.1/19(土)、1/20(日)各日15:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/ 9/15(土)発売 『王女メディアの物語』『ハムレット』の二作の音楽劇で、東京文化会館小ホールの扇形の客席に“魔法をかけた”人形劇俳優のたいらじょう。すべての登場人物をたった一人で演じる彼が、新たにこのホールのために創作しているのはオスカー・ワイルドの戯曲『サロメ』。 決して自分の愛に応えない預言者ヨカナーンに口づけするために、若く美しい自分の官能的魅力を利用してその首をとらせる姫の物語である。「『サロメ』は20代の頃に全幕上演しようとして、まだ時期尚早だと諦めた作品です。今回これを上演するチャンスが与えられて、作品が自分を待っていてくれたのだと思いました」(たいら)。 この音楽劇のパートナーは前作『ハムレット』で共演を果たしたチェリストの宮田大。劇中の音楽の選曲は、宮田が膨大なリストを挙げて、そこからたいらが選ぶという形式で行われた。「トータルで20曲ほど登場するのですが、今回はカルテットでの演奏になります。前回は無伴奏の曲が多かったのですが、今回はより曲選びの幅も広がり、多彩になりました」(宮田)。 ハープの山崎祐介、コントラバスの谷口拓史、オーボエの若山健太が参加。この特殊な楽器編成は、たいらがリクエストしたものだという。嬉しいのは、それまで1日限りだった上演が、『サロメ』では2日間もあること。「初日の緊張感は一生に一度しかないもの。2日目は色々なことが一気に発展して成熟した舞台になる。二回観たほうがいいですよ」(たいら)。台本はたいら自身の翻訳によるオリジナル。濃厚な世界を堪能できそうだ。左:たいらじょう 右:宮田 大 ©Daisuke Omori第12回 国際オーボエコンクール・東京オーボエの新しきスターの誕生、そして名匠たちの豪華なコンサート文:笹田和人第12回 国際オーボエコンクール・東京第1次予選・第2次予選 9/29(土)~10/4(木)東京オペラシティ リサイタルホール本選および表彰式 10/6(土) 紀尾井ホールGREAT ARTIST SERIES 第12回入賞者&審査委員コンサート10/7(日)14:00 紀尾井ホール問 ソニー音楽財団03-3515-5261 http://oboec.jp/ 時に哀愁に満ち、時に官能的な音色で、聴く者を魅了するオーボエ。「国際オーボエコンクール」は、その真価を掘り下げ、優れた人材を発掘・育成し、国内外への活躍の場を広げるべく、ソニー音楽財団が開催している。12回目の今年、場を軽井沢から東京へ移し「国際オーボエコンクール・東京」として装いも新たにスタート。最終日には、審査委員のハンスイェルク・シェレンベルガーら世界的名手によるコンサートも聴くことができる。 同コンクールは1985年に創設された。第7回までは東京、第8回から前回までは軽井沢で、3年ごとに開催。世界の第一線で活躍する、数多くの人材を輩出してきた。今回は9月29日から10月7日まで開かれ、東京オペラシティでの第1・2次予選(9/29,9/30,10/2~4)と、紀尾井ホールでの本選(10/6)は、すべて無料で一般に公開。本選では入場者に「聴衆賞」の投票権が与えられるのも嬉しい。 そして、期間最終日(10/7)に開かれる「入賞者&審査委員コンサート」も要注目。“採れたて”の入賞者たちが、シェレンベルガー指揮東京フィルハーモニー交響楽団のバックでR.シュトラウスの協奏曲、クァルテット・エクセルシオのメンバーとのモーツァルト「オーボエ四重奏曲」などを瑞々しく演奏し、お披露目となる。 さらに、シェレンベルガーやモーリス・ブルグ、古部賢一ら審査を担当した国内外の名匠が一堂に会し、サン=サーンスやテレマンなど、古今のオーボエの名曲を美音と妙技で次々に披露する。第11回コンクールで第1位となり、今まさに“旬”の奏者となった荒木奏美も、特別ゲストとして登場。パスクッリの難曲「《椿姫》の楽しい思い出」を、華麗に吹きこなす。左より:ハンスイェルク・シェレンベルガー/モーリス・ブルグ/古部賢一 ©土居政則/荒木奏美

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