eぶらあぼ 2018.9月号
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70近藤 岳たけし オルガン リサイタルクリスマスのイメージを喚起させる古今のオルガン音楽を集めて文:笹田和人9/22(土)15:00 神奈川県民ホール(小)問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-kenminhall.com/ 今春、リニューアル・オープンした神奈川県民ホール。43年前には日本の公立ホールとして初のオルガンが小ホールに設置され、臨場感ある演奏を体感できるとあって、広く愛されている。東京藝大・同大学院からパリに学び、作曲家としても活躍する名手・近藤岳が「待ち望む時、喜びの時」と題し、同ホールでは実に10年ぶりとなるリサイタルに臨む。 「前回は10年前の5月、パリ留学を終えて帰国した翌年でしたが、当時のプログラムはなかなか挑戦的で、『若かったなぁ』と…」と振り返る近藤。特にフランス音楽のスペシャリストとして、国内外でのリサイタル活動のほか、オーケストラとの共演、自作を含めた新作の初演も手掛け、精力的かつ先鋭的に活動している。 今回のリサイタルは、まず前半で、キリスト降誕を待ち望む待降節第1日曜日のためのコラール「いざ来ませ、異邦人の救い主よ」に焦点を当てる。教会暦の冒頭を飾るこの旋律は、古今の多くの作曲家が自作の素材に。今回は「異なる作曲手腕をお楽しみいただきたい」と、バロックからシャイトとブルーンス、現代のハイラーの作品を取り上げる。 そして、後半は、生誕110年を迎えたメシアン「主の降誕」からの6曲を軸に。ここへ「始まり、予感、新しく生まれるもの」をテーマとした自身による新作の初演、大バッハの「パッサカリア BWV582」を交える。「結果的に、プログラム全体では待降節から降誕節、いわゆるクリスマスのイメージに…」と近藤。楽器の個性を最大限に引き出し、客席と一体の親密な空間での演奏。新たな挑戦になりそう、と意気込む。©Satoshi Aoyagi第8回 関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル IN 京都コンサートホール音大生たちの若い力が紡ぐ熱いサウンド文:飯尾洋一9/24(月・休)15:00 京都コンサートホール問 京都コンサートホールチケットカウンター075-711-3231http://www.kyotoconcerthall.org/ 関西の8つの音楽大学の学生たちが一堂に会するオーケストラの祭典「第8回 関西の音楽大学オーケストラ・フェスティバル IN 京都コンサートホール」が開かれる。指揮は名匠、秋山和慶。学生たちによる合同オーケストラと合唱団が編成されて、若い力を爆発させる。 参加校は大阪音楽大学、大阪教育大学、大阪芸術大学、京都市立芸術大学、神戸女学院大学、相愛大学、同志社女子大学、武庫川女子大学。学生数など規模の異なるそれぞれの大学がオーケストラを通じて互いに切磋琢磨し、交流を深める貴重な機会となっている。 合同オーケストラだけに、プログラムには大規模な作品が並ぶ。ベートーヴェンの「合唱幻想曲」は、オーケストラに合唱と独唱者6名、ピアノが加わる特異な編成が特徴的な作品。演奏機会は少ないが、ベートーヴェン「第九」の原型のひとつとして知られている。独唱陣とピアノもそれぞれの大学から選抜され、若い力が結集する。 もう一曲はマーラーの交響曲第5番。こちらはオーケストラのみの作品だが、編成は大きく、精緻なアンサンブルによる管弦楽の機能美が極限まで追求される。壮麗かつエネルギッシュな大曲だけに、大人たちの演奏とは一味違ったポテンシャルの爆発を期待したいもの。 なお、当日は各大学の紹介ブースも設置される。受験で興味を持つ方にも参考になるだろう。前回の模様 ©dorian nakagawa秋山和慶
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