eぶらあぼ 2018.9月号
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57©Daisuke Omori宮田 大 無伴奏チェロ・リサイタル10/9(火)19:00 紀尾井ホール問 ヤタベ・ミュージック・アソシエイツ03-3787-510610/11(木)19:00 大阪/いずみホール問 otonowa075-252-8255 http://www.daimiyata.com/宮田 大(チェロ)無伴奏のプログラムを一幕の芝居のように聴いてほしい取材・文:宮本 明Interview 多士済々の日本のチェロ界を牽引する若きトップランナー宮田大が、一昨年に続いて無伴奏作品のみを集めたリサイタルに挑む。最も重点を置くのが“無音”だ。 「作曲家が書いた休符の表現を大切にしたいなと思っています。映画で、スローモーションになって音が消える瞬間と同じような感覚。時間が止まるような、あの緊張感が無伴奏の魅力です」 プログラムは、J.S.バッハの「無伴奏組曲第3番」、リゲティの「無伴奏ソナタ」、黛敏郎の「BUNRAKU」、ブリテンの「無伴奏組曲第1番」。 「バッハはどんな演奏にも応えてくれる、器の大きさ、許容範囲の広いイメージがあります。自分の音楽性、音色、チェロで歌って言葉のようにお客さんに語りかけ表現できる。そして、無伴奏作品ではありますが、数字付きの通奏低音のようにさまざまなハーモニーを自由に想像することができます。想像する和音が変わると感じ方もまったく違ってきて、可能性が無限に広がってゆく。だからこそバイブルと呼ばれているのだと思いますね」 2年前には、黛の「BUNRAKU」で文楽の人形遣い・桐竹勘十郎とコラボした。「自分の演奏を目の前で表現して返してくれる人がいるというのは、ものすごくインスピレーションが湧く体験でした。自分の演奏を解説してもらう感覚です。勘十郎さんは、『関寺小町』(能に由来する文楽の舞踏劇)の世界を感じる作品だとおっしゃっていました。間近で見る文楽の人形は、顔や手の細かい動きで表情がまったく違って見える。音の抑揚やテンションなど、音楽にもつながる表現だと思います」 プログラムを通して、一幕の芝居を見るように楽しんでほしいという。 「全体に不協和音も少ない、歌心のある作品を選びました。どの曲もイメージが豊かなプログラムですので、ぜひ想像をふくらませながら聴いてほしいと思います。バッハをリスペクトしていたブリテンの作品は、実際にメロディもバッハから借りている部分があり、最初に弾いたバッハが最後に戻ってくるというストーリーです」 無伴奏作品ばかりだといつも以上に緊張感が求められるのではないかと尻込みする必要はない。 「そうさせないように、異世界にお連れするような、いい意味での緊張感を共有したい。紀尾井ホールも、大阪のいずみホールも、それが実現しやすい繊細なサウンドの会場です。演奏家は着色しないで弾いているので、そこで生まれた音楽のさまざまな色を、自由に混ぜ合わせながら聴いていただければと思います」西川 豪(ヴァイオリン)王道の名曲から導き出される鮮烈な響き文:笹田和人 美しい音色と繊細さ、そして精神的エネルギーを併せ持つ俊英ヴァイオリニスト、西川豪。精力的な活動の中でも、特に軸に据えているのが、毎年開いているリサイタル。今回は、ベートーヴェンの第7番とフランク、2つのソナタにバッハ「無伴奏ソナタ第1番」という“王道の名曲”から、鮮烈な響きを引き出す。 東京藝大・同大学院に学び、ジェラール・プーレら名匠たちの薫陶を受けた。近年のソロリサイタルにおいて「心惹きつける音色、典雅な演奏」と絶賛を浴び、リサイタル活動や室内楽など、幅9/21(金)19:00 東京文化会館(小)問 パシフィック・コンサート・マネジメント  03-3552-3831http://www.pacific-concert.co.jp/©TAKUMI JUN広く活躍。一昨年リリースのデビューCD『エモーション』(オクタヴィア・レコード)も、非常に高い評価を得た。 今回のリサイタルは、実力派ピアニストの佐野隆哉が共演。楽聖の“宿命の調性”であるハ短調をとるベートーヴェンの第7番。そして、近代のヴァイオリン・ソナタを代表するフランク。さらに、深い精神性を湛えたバッハの無伴奏へ対峙する。 果たして、強い個性を持つ傑作群から、俊英はどんな“回答”を導き出すのか。

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