eぶらあぼ 2018.9月号
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55横山幸雄 ピアノ・リサイタル 〈ベートーヴェン・プラス Vol.5〉ベートーヴェンの傑作にブラームス、ショパン、ラヴェルなどを加えて文:伊熊よし子9/23(日・祝)11:00 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/ ピアニスト横山幸雄の快進撃が続いている。彼は2011年のデビュー20周年にショパンのピアノ独奏曲全曲演奏を行い、ギネス世界記録に認定されるなど、常に自身の可能性を求めて新たな試みに挑戦している。 横山は以前から「ショパンとベートーヴェンがレパートリーの2大柱」と語っているが、13年から〈ベートーヴェン・プラス〉と題したシリーズを展開している。それがいよいよ最終章へと近づき、9月23日に第5回が行われることになった。第1部が11時から始まり、最後の第5部が15時40分に始まるという5部構成。プログラムはベートーヴェンが作曲家としての中期にあたる、30代の傑作を編み出した時期に書いたピアノ・ソナタ第21番「ワルトシュタイン」、第23番「熱情」、「創作主題による6つの変奏曲」「エロイカ変奏曲」が組まれ、ここにブラームス、ショパン、ドビュッシー、ラヴェルの作品がプラスされるという趣向である。 横山は16歳でフランスに留学、ジャック・ルヴィエ、ヴラド・ペルルミュテールに師事し、フランス作品の神髄を学んでいる。今回のプログラムは、そんな彼のレパートリーの根幹に位置する作品が選ばれ、デビュー以来ずっと弾き続けてきたショパンやベートーヴェンの愛奏曲とともに、彼の「いまの心身の充実」を聴くことができる。さらに横山が近年作品に寄り添っているブラームスの「パガニーニの主題による変奏曲」も聴き逃せない。充実の1日になるに違いない。©アールアンフィニ上野水香プロデュースバレエ Jewels from MIZUKA Ⅱ宝石のような豪華メンバーで魅せる煌めきのステージ文:渡辺真弓11/17(土)15:00 神奈川県民ホール問 チケットかながわ0570-015-415 http://www.kanagawa-kenminhall.com/ 東京バレエ団のプリンシパルとして長年活躍してきた上野水香がプロデュースする「Jewels from MIZUKAⅡ」が開催される。タイトルが示すように、上野とゆかりの深い、踊り盛りのソリストたちが一堂に会し、宝石のように煌めくステージを繰り広げる特別なバレエ・ガラである。第1弾は2014年11月に神奈川県民ホール開館40周年を記念して行われ好評を博した。これに続くのが今回の第2弾である。 上野は、『白鳥の湖』や『ラ・バヤデール』などの古典バレエの全幕ものの主役から、ベジャール、プティ、フォーサイスなど多彩なレパートリーを踊りこなし、名実ともに日本を代表するトップ・バレリーナ。今回は、プティ振付の『ボレロ』を東京バレエ団の同僚、柄本弾と共演するほか、高岸直樹振付『リベルタンゴ』を踊ってその魅力を印象づけてくれることだろう。 宝石にたとえればダイヤのような上野をとりまくゲストが豪華だ。ウラジーミル・マラーホフは、04年に上野が東京バレエ団に入団してまもなく『白鳥の湖』全幕を初共演して以来の間柄で、針山愛美を相手に島崎徹作品を踊る。さらに東京バレエ団の仲間で、上野と同じく神奈川県出身の沖香菜子と秋元康臣、特別団員の吉岡美佳とバレエ団OGの渡辺理恵、新国立劇場バレエ団のトップ・ペア、小野絢子と福岡雄大、下村由理恵、今井智也、京當侑一籠といったそうそうたるメンバーが参集。古典の名場面からベジャール、篠原聖一、宝満直也、高橋竜太など粒選りの作品で妙技を競い、華を添える。前回からさらにブラッシュ・アップされたステージが実現しそうだ。上野水香 ©Shinji Hosono

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