eぶらあぼ 2018.9月号
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205コンサートギャラリーチケット発売情報News & TopicsNew Release Selection新譜情報TV&FMBooks海外公演情報ぶらPAL今月の注目公演公演情報真正なる音楽の伝道師が、日本へ再び舞い降りる。現代フランスを代表する名ピアニスト、ジャン=マルク・ルイサダ。知的かつ温かな血の通った音楽創りが世界中の聴衆を魅了、わが国でも絶大な支持を得ている。来日公演では、ルイサダが「死へのさまよい、天へ向かう旅の体現」と評するシューベルト最晩年のソナタ第21番、「ロマン主義の神髄の旅」と言うマズルカ集(op.6,7,17,24)ほかショパンを弾く。これは必聴。僅か500席のフィリアホールに、ブルックナーの広大な響きの宇宙が現出する。アイスラーら20世紀ドイツの作曲家3人が再構築した、九重奏版「交響曲第7番」に、ヴァイオリン石田泰尚ら神奈川フィルの名手とピアノの中桐望、北村朋幹らが対峙。新たな魅力を浮き彫りに。「朝7時に村の湯治場で素人楽団が初見で演奏する」と前置きされた、ヒンデミット編曲のワーグナー《さまよえるオランダ人》序曲も興味深い。モダンと古楽、ソロに室内楽…多様なフィールドを自在に往き来、刺激的な快演を重ねるチェロの鬼才ジャン=ギアン・ケラス。今回は、地中海を挟んだ3国にまたがる、トラキア地方の音楽へ焦点を当てる。ケラスの幼なじみで、イランの民俗打楽器ザルブやダフを操るシェミラーニ兄弟や、ギリシャの擦弦楽器リラの名手ソクラティス・シノプロスと共演。クラシックや民俗音楽に即興を交え、異なる響きへ架け橋を築く。東京音楽コンクール歴代入賞者による連続リサイタルに、第10回(2012年)で3位入賞した、ヴィオラの瀧本麻衣子が登場する。東京藝大からドイツに学び、世界へと羽ばたく逸材。ピアノの大伏啓太と共演するステージでは、バッハ(ガンバ作品から編曲)とブラームス、2つの「ソナタ第1番」にシューマン「おとぎの絵本」ほかを。「ヴィオラの発信する力で音楽が変わる場面も。そんな魅力をお伝えしたい」と言う。ジャン=マルク・ルイサダ(ピアノ)アレクセイ・ゴルラッチ(ピアノ)ジャン=ギアン・ケラス&フレンズトラキア・プロジェクト菅野 潤(ピアノ)ドビュッシーへのオマージュ神奈川フィルの名手による室内楽シリーズ 第11回 室内楽によるブルックナーの「交響曲第7番」東京音楽コンクール入賞者リサイタル瀧本麻衣子(ヴィオラ)9/27(木)19:00 ヤマハホール9/24(月・休)14:00 栃木市岩舟文化会館9/23(日・祝)14:00 三鷹市芸術文化センター9/30(日)15:00 東京文化会館(小)9/25(火)14:00 フィリアホール9/23(日・祝)14:00 東京文化会館(小)石田泰尚 ©井村重人©井村重人ジャン=ギアン・ケラス ©Marco Borggreve圧倒的な迫力と、心打つ繊細さ。弱冠19歳でカーネギー・デビューを果たし、2011年のARDミュンヘン国際音楽コンクールのピアノ部門をはじめ、難関の登竜門を次々に制したウクライナ出身の名手、アレクセイ・ゴルラッチ。今回の来日公演では、「別れの曲」「革命」を含む練習曲集(op.10)全12曲や「スケルツォ第2番」、2つの前奏曲とショパンを中心に、ラフマニノフの2つの前奏曲、ベートーヴェンの変奏曲(op.34)を弾く。©Monika Lawrenzパリを拠点に国際的なステージ活動を展開する一方、音楽を担当したドキュメンタリー映画『スネーク・ダンス』が高い評価を得るなど、しなやかな活動を続けるピアノの名匠・菅野潤。没後100年に贈るシリーズ「ドビュッシーへのオマージュ」第1回は、「絵画」をテーマに。ソロで「版画」「喜びの島」、盟友・海老彰子と連弾で「6つの古代碑銘」、2台ピアノで「リンダラハ」「白と黒で」を色彩豊かに紡ぐ。©吉田タイスケ
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