eぶらあぼ 2018.9月号
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190 酷暑の夏、街にはさまざまな冷感/涼感グッズが溢れていますが、「涼感音楽」と言ったら、皆さんはどんな音楽をイメージされるでしょうか? ずばり! OTTAVAではルネサンス時代の宗教曲をおススメしています。開局以来、私達は“ステーションを象徴する音”として、このルネサンス期の音楽を使っています。具体的にはOTTAVAの番組のテーマ曲、トークのBGM、そしてJingle(ジングル)と呼ばれるステーションコールなどは、ほぼすべてが15〜16世紀に作曲された宗教曲です。 この時代の音楽はポリフォニー(多声)が基本。後世のホモフォニー、ひとつの旋律+和声という構成ではなく、複数の対等で独立した声部の組み合わせで作られている音楽です。4人で合唱する時、ひとりがメロディを歌い3人がハモる、というのがホモフォニーで、4人がそれぞれ違うメロディを同時に歌うのがポリフォニーです。作曲するにも演奏するにも高度な技術が必要なことをお伝えしたいのですが、お分かりいただけますでしょうか?『OTTAVA Bravo Brass 〜ブラバンピープル集まれ! オザワ部長の Let’s吹奏楽部〜』毎週土曜22:00〜24:00/再放送 毎週日曜17:00〜19:00 このポリフォニー技法を駆使したルネサンス期の音楽家の最高峰に位置する作曲家が、ジョスカン・デ・プレ(1455頃〜1521)、盛期ルネサンスの音楽シーンをリードしたフランドル(現在のオランダ南部、ベルギー西部、フランス北部にかけての地域)の生んだ天才です。ジョスカンは、あのレオナルド・ダ・ヴィンチと同じ時代を生きた人でしたが、当時のポリフォニーによる作曲技法を完成させ、誰にも真似の出来ない芸術を残した、文字通り「音楽史におけるダ・ヴィンチ」ともいえる存在。四重、五重、六重…いくつもの自由な旋律線が複雑に絡み合う…なのにそこには一点の(一瞬の)曇りも無駄もなく「純粋な美しさ」だけが響く…そこに作り手のエゴは微塵も感じられず「捧げもの」としての誠実さのみが溢れている…どうですか? 涼しいイメージ、湧いてきませんか? 「バッハより前に音楽があったんだ!」なんておっしゃらずに、是非ジョスカン・デ・プレの宗教曲をお聴きになってみてください。18曲ほど現存するミサ曲が、まずはおススメです。文:斎藤 茂(OTTAVAゼネラルマネージャー)&オザワ部長ジョスカンで涼む?Vol.7◎OTTAVAとは2007年に開局した24時間無料でクラシック音楽が楽しめる国内唯一のインターネット・ラジオ局。リスナーは全世界で100万人以上。パソコンやスマートフォン、タブレットで、いつでもどこでもクラシック音楽が聴ける。OTTAVA検索コンテンポラリー・クラシック・ステーションへようこそ!オッターヴァ無料でインターネットで聴ける!連載 夏真っ盛り。甲子園では高校野球の熱闘が繰り広げられています。アルプススタンドから響くのは吹奏楽の応援演奏。近年は応援演奏そのものへの注目度が高く、OTTAVA「Bravo Brass 〜ブラバンピープル集まれ! オザワ部長のLet’s 吹奏楽部〜」でも特集を放送しました。ちなみに、野球応援では楽器が傷むためオーボエ・ファゴットなどは使わず、クラリネットもプラスティックの管体のものを使います。応援曲は「アフリカン・シンフォニー」「宇宙戦艦ヤマト」などの定番曲、「モンキーターン」「サンバ・デ・ジャネイロ」など比較的新しい曲までありますが、なんとクラシック曲が応援で使われることもあるのです。大阪桐蔭高校は歌劇《ウィリアム・テル》序曲を、東邦高校などは「エリーゼのために」(通称・エリーゼ)をスタンドで演奏しています。高校野球を観る際はぜひ応援にも耳を傾けてみてください。【今月のオススメ曲】アフリカン・シンフォニー(マッコイ)球児たちを応援する吹奏楽曲の数々Vol.3オザワ部長の“コラム in コラム”
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