eぶらあぼ 2018.8月号
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56第16回 東京音楽コンクール 本選新進演奏家たちの頂上対決を目撃する文:笹田和人声楽部門 8/27(月) 弦楽部門 8/29(水) 金管部門 8/31(金)各日18:00 東京文化会館問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/ 才能ある若手音楽家を発掘し、その支援や育成を目指して東京文化会館や東京都などが毎年開催、これまで数多くの入賞者が世界の檜舞台へと羽ばたいている「東京音楽コンクール」。16回目となる今年は声楽・弦楽・金管の3部門が開催され、予備審査と2次にわたる予選を通過した俊英たちが、本選へ挑む。普段のステージとは一味ちがう、“真剣勝負”に立ち会える機会は貴重。お気に入りの若手演奏家を、いち早く見つけるチャンスでもある。 東京文化会館が開館して4年後、1965年にスタートした「新進音楽家デビューオーディション」が前身。三善晃・元館長の提唱で拡充され、2003年に「東京音楽コンクール」と改称された。当初はピアノ・弦楽・木管・金管・声楽の5部門だったが、15年からは組み合わせを変えて3部門ずつ開催。参加者の国籍・居住地を不問とするなど、国際化も図られた。審査員には、総合審査員長を務める指揮者の小林研一郎をはじめ、作曲家の三枝成彰ら錚々たる顔ぶれが揃う。 本選では、楽壇の未来を担う俊英たちが、現田茂夫指揮の東響(声楽)、大井剛史指揮の日本フィル(弦楽)、梅田俊明指揮の新日本フィル(金管)の共演を得て、瑞々しい演奏でしのぎを削る。また、客席からの投票で選ぶ「聴衆賞」も設けられているため、ちょっとした審査員気分も味わえる。入賞者は来年2月、角田鋼亮指揮の東京フィルとの共演で、改めて“お披露目”。その後も充実のバックアップ体制を受け、ステージで耳にする機会も格段に増える。昨年の本選の模様 ©堀田力丸下野竜也プレゼンツ! 音楽の魅力発見プロジェクト 第5回オーケストラ付レクチャー 《運命》徹底大解剖マエストロによる“ベートーヴェン解体新書”文:オヤマダアツシ8/12(日)16:00 すみだトリフォニーホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/ このマエストロがすみだトリフォニーホールへ降臨すると、何かが起きる。そして音楽が、思ってもみなかった新しい一面を見せる。下野竜也と新日本フィルハーモニー交響楽団が毎年夏に開催するコンサート「音楽の魅力発見プロジェクト」は、客席をどう楽しませようかという心意気、そしてさまざまなアイディアに満ちているのだ。 昨年はドヴォルザークの「新世界より」を肴に、通常の曲目解説には書いていないようなエピソードやオーケストレーションの秘密などを紹介。しかもその場でオーケストラが演奏してくれるというサービス満点の内容だった。かつて新日本フィルが出演していたテレビの人気番組『オーケストラがやって来た』を思い出した、という人もいたようである。 そして今年、テーマとして選ばれたのはベートーヴェンの「運命」だ。この、誰もが知る名曲のスコアからどんな新しい視点やアプローチ、隠し技などが語られ、演奏されるのだろうか? コンサートではまずマエストロによる生演奏付きレクチャーを(といっても難しいものではなく、笑いとともに「へえ、なるほど」という発見があるという内容)。その上で通常のコンサートと同じく「運命」全曲が演奏される。しかし事前にレクチャーで知ったオーケストレーションのことなどが思い出され、なおさら「そういうことだったのか!」という納得感が強くなるのだ。 ぜひ好奇心のアンテナを全開放にして、名作「運命」の再発見、いや新発見を。下野竜也 ©K.Miura
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