eぶらあぼ 2018.8月号
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180ヴァイオリン岩谷祐之&平山真紀子、ヴィオラ鈴木康浩、チェロ上森祥平と国内外で活躍する名手4人で組織、他ジャンルとのコラボや同時代作品の紹介を含め、先鋭的な活動が光る「TOKI弦楽四重奏団」。15周年記念のステージでは、モーツァルトの第17番「狩」、ピアノ平山友紀子とブラームス「ピアノ五重奏曲」、ヴィオラ小熊佐絵子とチェロ福富祥子を交えてドホナーニ「弦楽六重奏曲」と、3作品をリンクさせる。日本を代表する避暑地を舞台に、毎夏開かれている「軽井沢国際音楽祭」は17回目を迎える。今年は、シューベルトが軸に。バリトン河野克典はN響メンバーによるカルテットを伴い、真夏に聴く「冬の旅」(8/17)。小林美恵ら名手らが集結しての「弦楽五重奏曲」も(8/18)。最終日のフェスティバル・オーケストラは音楽祭音楽監督の横川晴児指揮、独奏にトマ・プレヴォでモーツァルト「フルート協奏曲第1番」ほかを披露する(8/19)。2012年に逝去した作曲家の林光が毎夏、平和への祈りを込め、「原爆小景」をはじめ自作を披露し続けた東京混声合唱団の「八月のまつり」。その遺志は受け継がれ、今年で39回目に。山下一史の指揮、寺嶋陸也のピアノで、核はもちろん「原爆小景」。山下はこの曲を振るのは「自分の音楽家人生の大きなエポック」と語る。さらに、林の訳詞による「ニホン語ドイツ歌曲集」、編曲の「日本抒情歌曲集」、作曲の「うた・ねがい」も。観阿弥による『卒塔婆小町』は、齢を重ねて容姿の衰えた小野小町の姿を通じ、人生の盛衰を見つめる能楽の古典だ。いま「最もチケットが取れない」と噂の人気講談師・神田松之丞が、これを題材とした新作講談を披露。さらに、俳優・篠井英介の案内、家田紀子の主演、オーケストラ・アンサンブル金沢ほかで、三島由紀夫の原作に基づく石桁眞禮生作曲のオペラを上演。新たな視点から、佳品を捉え直す。月の8TOKI弦楽四重奏団 201815周年記念コンサート軽井沢国際音楽祭みなとみらい クラシック・マチネ大山大輔(バリトン)VOCALIST —ディーヴァ中丸三千繪と出逢う夏— 飯森範親(指揮) 日本センチュリー交響楽団オーケストラ・アンサンブル金沢講談&オペラ『卒塔婆小町』東混・八月のまつり No.39東京混声合唱団特別定期演奏会8/2(木)19:00 東京文化会館(小)8/17(金)~8/19(日) 軽井沢大賀ホール8/8(水)12:10 14:30 横浜みなとみらいホール8/4(土)14:00 大阪/ザ・シンフォニーホール8/19(日)14:00 石川県立音楽堂8/9(木)19:00 第一生命ホール文:笹田和人神田松之丞篠井英介山下一史 ©ai ueda横川晴児世界的ディーヴァが、新たなる挑戦に臨む。1990年にマリア・カラス・コンクールをイタリア人以外で初めて制し、国内外の檜舞台で活躍を続ける名ソプラノ、中丸三千繪。飯森範親指揮の日本センチュリー交響楽団のバックアップを得て、ヴェルディやプッチーニなどオペラの名アリアはもちろん、「星に願いを」「逢いたくていま」など、ポップスの名曲までを歌い尽くす。中丸三千繪バリトンの大山大輔は、クラシックのみならず、演劇やミュージカルの舞台でも活躍、豊かな表現力で圧倒的な存在感を見せつける。ピアノの中桐望とソプラノの野々村彩乃が共演するステージ。第1部「ホワイト(騎士道)」でワーグナー《タンホイザー》から〈夕星の歌〉ほか、第2部「ブラック(欲望)」ではベートーヴェン《フィデリオ》から〈絶好の機会だ〉ほか、登場人物の性格により、光と影を歌い分ける。大山大輔

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