eぶらあぼ 2018.8月号
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156CDSACDCDCDフィルハーモニクス VOL 1 ボヘミアン・ラプソディ~イングリッシュマン・イン・ニューヨークハイドン:交響曲集 Vol.4/飯森範親&日本センチュリー響ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「お気に入り」/グリエルモ&東京ヴィヴァルディ合奏団ハイドン:交響曲「ロンドン」、モーツァルト:交響曲「パリ」/西脇義訓&デア・リング東京オーケストラボヘミアン・ラプソディ/ニュー・サティースファクション/グノシエンヌ/イングリッシュマン・イン・ニューヨーク/バルカン・パーティ 他フィルハーモニクス【ノア・ベンディックス=バルグリーvn ティロ・フェヒナーva シュテファン・コンツvc ダニエル・オッテンザマーcl クリストフ・トラクスラーp 他】ハイドン:交響曲第7番「昼」・第58番・第19番・第27番飯森範親(指揮)日本センチュリー交響楽団ヴィヴァルディ:ヴァイオリン協奏曲「お気に入り」、独奏ヴァイオリンとエコー・ヴァイオリンのための協奏曲/レスピーギ:リュートのための古風な舞曲とアリア 第3組曲/ポレーナ:ヴィヴァルディジョヴァンニ・グリエルモ(ヴァイオリン)東京ヴィヴァルディ合奏団モーツァルト:歌劇《フィガロの結婚》序曲、交響曲第31番「パリ」(アンダンテ楽章異稿付)/ハイドン:交響曲第104番「ロンドン」西脇義訓(指揮)デア・リング東京オーケストラユニバーサルミュージックUCCG-1798 ¥2778+税収録:2016年6月&8月、いずみホール(ライヴ)オクタヴィア・レコードOVCL-00667 ¥3200+税マイスター・ミュージックMM-4036 ¥3000+税N&FNF25807 ¥オープンクラシック界のエリートたちが本気で遊ぶとこうなります! という、感動的なエンターテインメント。ウィーン・フィルやベルリン・フィルのメンバーを含んだ、弦楽器・クラリネット・ピアノの7人グループ「フィルハーモニクス」は、クラシック、ジャズ、ポップス、民謡などを見事なアレンジで融合させてしまう。新譜は冒頭1曲目から、バッハ=グノーのアヴェ・マリアとクイーンのボヘミアン・ラプソディ、そこにロマ音楽やタンゴのエッセンスも加わるという充実ぶり。超絶技巧のパフォーマンスと、知的で説得力のあるクロスオーバーぶりに驚嘆すること間違いなし。 (飯田有抄)飯森範親&日本センチュリー響のハイドン第4弾。初期の交響曲集の中で、エステルハージ宮廷の副楽長就任を記念した第7番「昼」が素敵だ。楽団の優秀なソリストを使っての協奏的な作品に、センチュリーの実力が存分に発揮される。荒井英治のヴァイオリンは至る所で清潔な輝きを放ち、メヌエットのユーモラスなコントラバスや終楽章のキレのいいフルートなど実に楽しい。少し前の交響曲第19番と第27番は、凝った転調や爽やかな抒情、ウィットの萌芽、スピード感といった若きハイドンの覇気を感じさせる。第58番は強弱対比や生き生きとした推進力にその後の充実ぶりを窺わせる。 (横原千史)第1音からほとばしる鮮烈なサウンドに、きっと驚かされるはず。約60年にわたり、わが国のバロック演奏をリードし続ける精鋭集団「東京ヴィヴァルディ合奏団」。昨年逝去した、イタリアのヴァイオリンの巨匠、ジョヴァンニ・グリエルモとの貴重な録音(リマスター盤)である。ヴィヴァルディ2曲に、バロックから着想を得た、近現代の作品を組み合わせた。真摯で丁寧なアプローチは、特にピリオド奏法に寄せてゆかずとも、魅力的なバロック音楽が紡ぎ出せることを証明。さらに、後世の作品も違和感ないどころか、巧みに共鳴させてしまうという芸当が可能なのは、少なくとも日本では、彼らをおいて他にあるまい。(笹田和人)N&Fのプロデューサー・西脇義訓が若手プロ奏者を集めて創設し、自ら指揮&録音している楽団の第6弾CD。当時の最先端音楽都市ロンドンとパリで書かれた名交響曲 ―《フィガロ》序曲を含む全曲が明朗なニ長調― を並べた、趣旨も明快な一作だ。全員正面を向いて弾くなど、常識外の発想で新たな響きを創造するのが彼らのコンセプト。今回も同様のスタイルで柔らかく流麗かつ壮麗な音楽が展開されている。全体が融け合った豊かな音(同時に各パートの動きも明瞭だ)は、古典のスリム化が進んだ今や新鮮な魅力。中でも「パリ」に漲る豪奢な活力が耳を喜ばせる。(柴田克彦)

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