eぶらあぼ 2018.8月号
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150読売日本交響楽団関係者と第17回佐治敬三賞を受賞した公演「三輪眞弘+前田真二郎 モノローグ・オペラ《新しい時代》」の関係者が出席した。 昨年11月のメシアン《アッシジの聖フランチェスコ》公演など意欲的な演奏活動によって、我が国の音楽文化の発展に大きく貢献したことが評価された読売日本交響楽団。挨拶した同楽団理事長の古本朗は、受賞について「この8年間、常任指揮者シルヴァン・カンブルランのもとで演奏力に磨きをかけ、音楽性の向上を図ってきた楽員や、オーケストラを陰で支えてきた事務局員の努力と修練の結晶であると自負しています」と語った。 コンピューター・プログラムで制御された三輪眞弘の音楽と前田真二郎の映像が一体となり、メディアアート的総合演劇ともいうべき独自の世界を鮮烈に描き出した《新しい時代》は、最新のテクノロジーを駆使した新制作としての再演が時宜を得た企画であるとして高く評価された。公演主催者である愛知県芸術劇場館長の丹羽康雄は、「このたびの賞は、三輪、前田両氏をはじめ、すべてのスタッフ、キャスト全員に贈られたものと思っています。劇場としては、15年に続き二度目の佐治敬三賞受賞。今後もチャレンジ精神に満ちた企画で、三度目の賞をとれるよう努力していきたい」と述べた。サントリー芸術財団http://www.suntory.co.jp/sfa/■「第26回 渡邉曉雄音楽基金 音楽賞・ 特別賞」受賞者発表 第26回 渡邉曉雄音楽基金 音楽賞・特別賞の受賞者が発表され、エリアフ・インバル(指揮)が特別賞を受賞した。音楽賞は該当者なし。同基金は、故・渡邉曉雄が日本文化に残した多大な業績を後世に引き継ぎ、音楽界の発展に寄与することを願い、1992年に創設された。音楽賞・特別賞を設置して次代の音楽界を担う優秀な指揮者、およびオーケストラ界に貢献した関係者の顕彰を行っている。[授賞理由(抜粋)] 世界的指揮者エリアフ・インバルは、70年代から日本のオーケストラへ客演を開始、これまで読売日本交響楽団、日本フィルハーモニー交響楽団、NHK交響楽団、東京都交響楽団、大阪フィルハーモニー交響楽団と演奏を重ねている。とりわけ、70年代から80年代にかけての日本フィルへの頻繁な客演で生まれた名演は、困難な状況にあった日本フィル楽員に演奏への自信と活動の確信を与えるものとなった。 また都響ではプリンシパル・コンダクター(2008〜14年)として、オーケストラとの信頼関係により多くの歴史的演奏を残した。とりわけ「インバル&都響」の顔ともなるマーラーへの取り組みは、作曲家への集中した活動と個性的な演奏で広く注目を集め、その集大成ともいえるマーラー・ツィクルス(12〜14年)では多くの賞を受賞するなど絶賛を博し高い成果を上げた。日本フィルハーモニー交響楽団http://www.japanphil.or.jp/■長尾春花が第13回カール・フレッシュ 国際ヴァイオリン・コンクールで優勝 6月3日から10日までハンガリー北西部のモションマジャローヴァールで行われていた、第13回カール・フレッシュ国際ヴァイオリン・コンクールで長尾春花が優勝した。第2位は、Eryu Feng(中国)とLouisa Staples (イ贈賞式から 左より:堤 剛、古本 朗、丹羽康雄Photo:I.Sugimura/Tokyo MDE©ATTILA HORVÁTHエリアフ・インバル ©Rikimaru Hotta
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