eぶらあぼ 2018.6月号
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85来日50周年特別公演エリック・ハイドシェック(ピアノ) with カメラータ・ジオンモーツァルトのアンダンテに潜む哀愁と陰影文:伊熊よし子7/8(日)15:00 東京文化会館(小)問 コンサートイマジンチケットセンター03-3235-3777 http://www.concert.co.jp/ フランスの古都ランスのシャンパン王シャルル・エドシック家に生まれたエリック・ハイドシェックは、粋で洒脱で色彩感に富む個性的なピアノを奏でることで知られる。 「確かに恵まれた子ども時代を過ごしましたが、私の時代は戦争があった。その苦難はいまでも忘れられません。明るく見える曲でも楽譜の裏に秘められた影や暗い部分を読み取るようになったのは、この経験があるからです」 こう語るハイドシェックは、6歳のときに偉大なピアニスト、アルフレッド・コルトーに才能を認められ、ピアノを始める。 「コルトーも作品が内包する影を愛し、ほの暗い表現が好きでした。ですから私も作品に潜む哀愁や陰影を表現することを好みます」 初来日から50周年という記念の年を迎え、3年ぶりとなる今回の来日公演は、ハイドシェックが「いま一番弾きたいプログラム」という、モーツァルトのピアノ協奏曲第21番の第2楽章や、第12番の第2楽章など、モーツァルトのコンチェルトの第2楽章を中心に構成されている。これらの緩徐楽章は得も言われぬ美しい旋律と憂愁と悲哀の表情が含まれ、ゆったりとしたテンポで語りかけるように奏される。80歳を超えてなお、自由闊達で情感あふれるピアニズムを披露するハイドシェックの真価が発揮されるだろう。 共演は盟友の田部井剛指揮カメラータ・ジオン。タペストリーのように一音一音にこまやかな感情を込めて織り込んでいくハイドシェックのピアノにオーケストラが寄り添い、心に染み入る音楽が生まれるに違いない。エリック・ハイドシェックららら♪クラシック コンサート Vol.2 「ショパン名曲特集」番組に登場した名曲を俊英ピアニストたちによる演奏で文:笹田和人6/5(火)18:30 東京文化会館問 テンポプリモ03-3524-1221http://www.lalalaclub.com/ NHKのEテレで2012年から放映されている『ららら♪クラシック』。俳優の高橋克典が司会を担当、クラシック音楽の魅力や秘密を分かり易く紹介して、ファンを増やしている。そんな人気番組で紹介した傑作を、楽しいトークを交えつつ、生演奏でじっくり楽しんでもらおうとスタートしたのが、「ららら♪クラシック コンサート」。 6月に開催される第2弾では、国際的に注目される6人の俊英ピアニストが顔を揃え、ピアノの詩人・ショパンの名曲を特集する。ステージの司会も高橋が担当。実は高橋の両親は共に音楽家で彼自身も楽器に親しみ、今も大の音楽好きを自認しているのだ。 この日はまず、ソリストとしてだけでなく、作・編曲も手掛けるなどマルチな活動が光る中野翔太が登場。夜想曲第2番と練習曲op.25より第10番・第12番「大洋」を弾く。続いて、昨年、クララ・ハスキル国際コンクールを制した藤田真央が「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」を披露。そして、3年前に難関・ロン=ティボー国際で1位なしの第3位に輝いた實川風が前奏曲「雨だれ」とスケルツォ第2番を。9歳での国際デビュー以来、ショパン国際などで実績を重ねた小林愛実は、夜想曲第20番とソナタ第2番から「葬送行進曲」などを演奏。バルトーク国際などで優勝、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」の“支配人”も務める金子三勇士が練習曲「革命」「別れの曲」や「英雄ポロネーズ」を弾き、クリーヴランド国際で日本人初の優勝を果たした福間洸太朗が、「舟歌」、バラード第1番で締め括る。藤田真央 ©Shigeto Imura實川 風©ミューズエンターテインメント小林愛実 ©Akira Muto金子三勇士©Ayako Yamamoto福間洸太朗©Masaaki Hiraga高橋克典中野翔太©Yuuji

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