eぶらあぼ 2018.5月号
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80左より:マーシャル・ギルクス、中川英二郎、ジョゼフ・アレッシ、ブラント・アテマ ©Simon YuSLIDE MONSTERS “BEYOND” Inspired by New York ツアー5/4(金・祝)~5/13(日)川崎、東京、福岡、大阪、高崎、静岡、福井※ツアーの詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.slidemonsters.jp/SLIDE MONSTERS(トロンボーン・クァルテット)垣根を超えた奇跡のスーパー・ユニット取材・文:柴田克彦Interview ジャンルを超越したスーパー奏者・中川英二郎と、ニューヨーク・フィルの首席奏者を長年務める“神様”ジョゼフ・アレッシが結成した夢のトロンボーン・クァルテット「SLIDE MONSTERS」が、全国ツアーを行う。 彼らは、今年1月ニューヨークにおけるCD録音で活動をスタートさせた。中川(以下、N)「クラシックとジャズをボーダーレスで演奏できるグループを組みたかったので、旧知のアレッシさんと3年位前から計画し、今回のツアーが決まってCDを作りました」アレッシ(以下、A)「新しい子どもを授かるような、エキサイティングな機会。素晴らしいジャズマンでリスペクトしているエイジロウがグループを作ってくれたのは嬉しい限りです」 他の2人は、NYで活躍するジャズ界屈指の実力者マーシャル・ギルクスと、オランダ放送フィルのバス・トロンボーン奏者ブラント・アテマ。彼らはアレッシが強力プッシュした。A「マーシャルはジュリアードで私の生徒だった頃からスターで、パーフェクトな奏者。ブラントもスーパーな奏者で何でもできます」 コンセプトはもちろん異ジャンルの融合だ。N「僕は“行き来”したかった。1曲の中でクラシックとジャズが入れ替わっていくような音楽、どこにでも行けるアンサンブルです。しかもジャズの同形態には必須のリズムセクションは入れず、あえてクラシカルな四重奏でと考えました。特にクラシックのお客さんにジャズの楽しさを伝えたいですね」A「中川さんもマーシャルもクラシックの音を知っていますし、私もクラブでの飛び入り出演やビッグバンドの経験がありますから、両者が真ん中で出会ったとき、新しくて凄いケミストリーが生まれます」 ステージも興味が尽きない。N「CDには、僕の曲が3曲、マーシャルの曲が1曲と、ドビュッシーの『水の反映』、マイク・マイニエリの『Oops』、小曽根真さんの曲等を収録しており、ツアーもこれらが中心になります。僕とマーシャルのインプロヴィゼーションを交えたソロ曲も入れますし、“神の楽器”の四重奏ならではのハーモニーを味わえる場面も沢山あります。それに4人中3人がリード・プレイヤー。誰がトップを吹いているのか分からないような楽しみもあり、またミックスされた音色は4人で1つの楽器のように聴こえると思います。ただコンサートは聴衆と共に作るもの。ツアー中にどんどん変化する一期一会の公演になるでしょう」A「これは過去に例のないユニークなプロジェクト。バラエティに富んだワープするようなステージは、誰もが絶対に飽きないと思います」 このハイパーな新感覚を、ぜひとも満喫したい。河野克典 バリトン・リサイタル 歌の旅 Vol.6 旅空の彼方芳醇で深い歌声で伝えるドイツ・リートの神髄文:長井進之介 河野克典は、日本とヨーロッパでリート、オペラ、宗教曲と幅広い分野で活躍するバリトン歌手。深く芳醇な歌声、ドイツ語のディクションの美しさで各方面から高い評価を受けてきた。とりわけ彼の活動で注目されるのが、定期的に行っている自主企画リサイタル・シリーズで、「歌・三夜一夜物語」や「歌物語」と題し、ドイツリートの名曲はもちろん、演奏機会の少ない作品にも光を当て紹介してきた。2009年からは「歌の旅」と題したシリーズを開始し、今回で6回目を迎える。6/7(木)19:00 東京文化会館(小)問 たつみ080-3154-9880(吉岡)  東京文化会館チケットサービス03-5685-0650http://www.k-kono.com/ シューベルトの「愛の伝令」や「ミューズの子」、そしてヴォルフ最後の作品である「ミケランジェロの詩による3つの歌」など、歌とピアノが完全に調和しなければ詩の世界を表現できない難曲が並ぶ。パートナーを務めるのは国内外で絶大な信頼を得るアンサンブルピアニスト、三ツ石潤司。河野とはたびたびタッグを組んでおり、二人の圧倒的な信頼から生まれるアンサンブルはドイツリートの“神髄”を伝えてくれるはずだ。

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