eぶらあぼ 2018.5月号
63/209

60第15回 世界バレエフェスティバルスターたちが集結!最高に豪華なバレエの祭典文:渡辺真弓全幕特別プロ『ドン・キホーテ』 7/27(金)19:00、7/28(土)14:00 Aプロ 8/1(水)~8/5(日) Bプロ 8/8(水)~8/12(日)ササキ・ガラ 8/15(水) 東京文化会館問 NBSチケットセンター03-3791-8888 http://www.nbs.or.jp/ 世界の旬のスター・ダンサーたちが一堂に会する『第15回 世界バレエフェスティバル』がこの夏開催される。1976年以来3年に1回のペースで行われ、「バレエのオリンピック」と称されるこの催しも今年で42年目。ガラ公演は多くなったが、これほど息の長い企画も世界的に珍しい。過去には、フォンテーン、アロンソ、プリセツカヤ、ギエムなどあまたの伝説のスターたちが登場。ベテランから新進までお得意の演目で妙技を競う舞台からは、世界バレエ界の縮図が一望のもとに見渡せる。 今年の参加者は、パリ・オペラ座バレエ団の芸術監督オレリー・デュポンをはじめ、同団エトワールのマチュー・ガニオやマチアス・エイマン、イングリッシュ・ナショナル・バレエのアリーナ・コジョカル、イタリアが生んだ大スター、アレッサンドラ・フェリとロベルト・ボッレ、英国ロイヤル・バレエのスティーヴン・マックレー、世界中で大活躍のマルセロ・ゴメスなど40名近い。A・Bプロのほか、恒例の「ガラ」(8/15)も開催。「ガラ」は、このフェスティバルの創始者、佐々木忠次氏の名を冠して「ササキ・ガラ」と命名される。この前後には、ゲストを迎えて全幕特別プロの『ドン・キホーテ』が東京(7/27,7/28)と大阪(8/18)で上演。共演は東京バレエ団。6月末には詳細なプログラムが出揃う予定だ。「少子高齢化社会の中で、若い世代にバレエに触れてほしい」との趣旨で、「コーセーU29シート」が設けられているのも話題だ。バレエの名手たちの饗宴に酔いしれて猛暑を吹き飛ばそう。『第14回 世界バレエフェスティバル』より Photo:Kiyonori Hasegawaナタリー・シュトゥッツマン(コントラルト/指揮) & オルフェオ55希代のコントラルトが魅せるバロック作品集文:岸 純信(オペラ研究家)5/15(火)19:00 紀尾井ホール問 ヒラサ・オフィス03-5429-2399 http://www.hirasaoffice06.com/ 女性の最も深々とした声音を聴きたければ、ナタリー・シュトゥッツマンの舞台へどうぞ。オペラでも近代の歌曲でも、歌声が放つ濃紺の光が客席を包み込むだろう。フレージングが冴えても響きは柔らかいまま。「別格の天然の美声」ゆえの資質である。 一方、今のシュトゥッツマンには、もう一つの顔が存在する。それが、評価急上昇中の指揮活動。彼女自身が主宰する「オルフェオ55」を率いてバロック期の作品などを演奏する傍ら、オペラの指揮台にもたびたび登壇し、昨年もワーグナーの《タンホイザー》で絶賛されたほど。インタビューした折も、「指揮者になると、自分の役がないオペラにも参加できるのよ!」と朗らかに笑っていた。 そのシュトゥッツマンが、「オルフェオ55」と共に来日する。欧州ではいま、彼女が発掘した譜面に基づくCD『私を燃え立たせる炎は~オリジナル楽譜によるイタリア歌曲集』が注目されているが、今回はそこから何曲も生で聴けるのだ。スカルラッティの名曲〈陽はすでにガンジス河から〉など、既存のパリゾッティ編の音運びとあまりに違うので、声楽ファンも衝撃を受けるだろう。彼女の“掘り起こす”姿勢を通じて、ヴィヴァルディやリュリのアリアや器楽曲が新たな光を帯びるさまを体感してみてほしい。 なお、シュトゥッツマンは即興性も重視する。「急にタンバリンを入れたくなって、自分で叩きながら振ったこともあるの」と語っていた。だから、当日はアンコールも聴き逃せないだろう。今回日本で一度きりの公演、格別の熱気をお楽しみに!左より:ナタリー・シュトゥッツマン ©Simon Fowler/オルフェオ55

元のページ  ../index.html#63

このブックを見る