eぶらあぼ 2018.5月号
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54©公文健太郎荘村清志スペシャル・プロジェクト vol.2 荘村清志 meets coba 古澤巌 錦織健6/6(水)19:00 東京オペラシティ コンサートホール問 カジモト・イープラス0570-06-9960 http://www.kajimotomusic.com/荘村清志(ギター)“レジェンド”とゲストが織り成す特別な時間取材・文:宮本 明Interview 現代ギター界を引っ張り続ける荘村清志。昨年3月にシンガーソングライターさだまさしとの共演でスタートしたのが、2019年のデビュー50周年に向けたゴージャスな記念企画「荘村清志スペシャル・プロジェクト」。その第2弾は、ヴァイオリンの古澤巌、アコーディオンのcoba、テノールの錦織健との共演という独創的なコラボレーションだ。 「リスペクトできる人たちだし、相手もこちらをわかってくれている。もちろん素晴らしい音楽を演奏してくれます。私とそれぞれの方とのデュオですが、彼ら3人が一堂に会するのはおそらく今回が初めてでしょう!」 荘村自身とはそれぞれにつながりの深い3人。 「古澤さんは、クラシックの壁を取り払ってさまざまなジャンルにチャレンジしてきた人。感じ方がより深くなるのだと言っていました。一緒に弾くと、僕を全部受け止めてくれるのですが、それでいてちゃんと自分を主張している。すごい底力だと思います」 3人の中で唯一、初共演となるのがcobaだが、昨年、一昨年と、Hakuju Hallの「ギター・フェスタ」で、作曲家としての彼にギター曲を委嘱している。今回もギターとアコーディオンのための書き下ろしの新作初演。 「繊細で、感情移入しやすい曲を書く人。どんな曲ができてくるのか、来てのお楽しみ。演奏家としてのcobaさんは、自分の中に詰まっているものを全部舞台でぶちまけるみたいな、ものすごく表現豊かな人ですよね」 一方、錦織とは十数年来の共演歴がある。 「一緒に地方に演奏に出かけても、歌の方というのもあるのでしょうが、風邪をひかないように部屋にいることが多いのです。本当に歌ひとすじの、ものすごく純粋な人です。歌にかけているのが伝わってきて、いやなところがひとつもない。だから演奏会が終わるといつも、自分まで浄化されたみたいな気がします」 全4回の「荘村清志スペシャル・プロジェクト」。最終回はデビュー51年目の2020年に予定されている。50周年の先を見据えているのがカッコいい。昨秋、満70歳を迎えた。 「還暦の頃は、70歳ぐらいが限界だろうと思っていました。でも、表現する欲求が湧いてくるうちはやれるという確信はあります。技術より表現。40代の頃までは逆に考えていましたが、表現したいものがあるから、指が動いてくるのです」 健康の秘訣は週1回のテニスと、歩くこと。身体に悪いところはどこもないという大ベテランは、その意欲と情熱もまだまだ若々しい。室内楽の魅力 小菅優の「ベートーヴェン詣」2018 小菅 優(ピアノ) & 石坂団十郎(チェロ) ベートーヴェン:チェロ・ソナタ全曲演奏会(全2回)楽聖の活気に満ちた作品を名手の共演で文:長井進之介 日本を代表するピアニストであり、世界からも熱い注目を集める小菅優。ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集の録音を完成させた彼女は「ベートーヴェン詣」と題し、ベートーヴェンのピアノ付き作品をすべて取り上げるコンサートシリーズを行っている。 今回はヨーロッパを拠点に活躍し、小菅とは度々共演を重ね深い信頼関係で結ばれているチェリストの石坂団十郎を共演者に迎え、ベートーヴェンのチェロ・ソナタや変奏曲を全2回シリーズで全曲演奏する。6月に行われる第1回では第1、2、4番のソナタと共にモーツァⅠ 6/15(金)19:00 Ⅱ 12/15(土)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/石坂団十郎 写真2点とも ©Marco Borggreveルトのオペラ《魔笛》やヘンデルのオラトリオ「マカベウスのユダ」の主題による変奏曲を披露。若きベートーヴェンの挑戦と活気に満ちた作品を、二人の情熱的な演奏家が力強い音色と圧倒的な技術で魅せる。また、12月の第2回では、第3、5番のソナタなどをとりあげる。会場となる第一生命ホールは室内楽を楽しむ最高の音環境。ベートーヴェンのチェロ作品全曲演奏という貴重な機会をぜひ名演で味わおう。小菅 優

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