eぶらあぼ 2018.5月号
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180 近藤譲は、初期から一貫して「線の音楽」という独自の理念に基づき、透徹した思考による創作を楽曲に結実させてきたこと、どのように音と音の関係性を構築できるかを厳格に追求する姿勢は作品のみならず,数々の著作でも示され、後進の現代音楽の作曲家、演奏家へ絶大な影響を与えたことなどが評価されての受賞となった。 杉山洋一は、イタリア・ミラノを拠点に置きつつ、我が国においても、とりわけ同時代音楽界に欠くべからざる存在としての評価を確立しており、「第27回芥川作曲賞選考演奏会」や「作曲家の個展II 2017」の指揮では余人をもって代え難い大きな成果を挙げたとして評価された。文化庁http://www.bunka.go.jp/■読売日本交響楽団が第49回(2017 年度)サントリー音楽賞を受賞 読売日本交響楽団が第49回(2017年度)サントリー音楽賞を受賞した。同賞は、公益財団法人サントリー芸術財団が、1969年の財団設立以来、わが国における洋楽の振興を目的とし、洋楽文化の発展に顕著な功績のあった個人または団体を顕彰し、贈呈している。 読響は、62年にクラシック音楽の振興と普及のため、読売新聞社をはじめとするグループ3社を母体に設立。世界的なアーティストが歴代の常任指揮者を務め、2010年4月からはシルヴァン・カンブルランが第9代常任指揮者に就き、活発な演奏会活動を行っている。◎贈賞理由演奏能力を飛躍的に向上させ、世界的に見ても第一級のオーケストラへと成長、日本のオーケストラ界をリードする存在となった。カンブルランとはメシアンの「彼方の閃光」とオペラ大作《アッシジの聖フランチェスコ》(日本初演)を演奏会形式で取り上げ、破格の成功を収めた。サントリー芸術財団http://www.suntory.co.jp/sfa/music/■第17回 佐治敬三賞に「三輪眞人+前田 真二郎 モノローグ・オペラ《新しい 時代》」 第17回 佐治敬三賞に「三輪眞人+前田真二郎 モノローグ・オペラ《新しい時代》」が決定した。同賞は、わが国で実施された音楽を主体とする公演から、チャレンジ精神に満ちた企画でかつ公演成果の水準の高い優れたものに贈られる。公益財団法人サントリー芸術財団により創設。 同公演は2000年初演時に衝撃を与えた音楽劇の17年ぶりの再演。◎贈賞理由オペラといっても既成の形式の踏襲は一切なく、コンピューター・プログラムで制御され、フォルマント音響合成を駆使した三輪眞弘の音楽が、前田真二郎の映像と一体になり、メディアアート的総合演劇を作り出す。初演時にも主役を歌った、さかいれいしうの電波メッセージのように微かで透明な声は、17年の間隔を全く感じさせず、音楽は完璧に映像プロセスとフィットしていた。芸術とは単に美的なものではなく、時代相の最も深いところにある患部の診断にほかならないことを鮮烈に思い出させてくれる作品は滅多にない。サントリー芸術財団http://www.suntory.co.jp/sfa/music/■第28回 出光音楽賞の受賞者が決定 第28回出光音楽賞の受賞者が決定した。同賞は主にクラシックの音楽活動を対象に育成という観点から素質、将来性などに重きを置き、新進音楽家を顕彰している。受賞者は以下のとおり。(五十音順)◎上野耕平(サクソフォン)第28回日本管打楽器コンクールサクソフォーン部門第1位ならびに特別大賞、第6回アドルフ・サックス国際コンクール第2位受賞。「題名のない音楽会」などのメディアへ出演、「The Rev Saxophone Quartet」、「ぱんだウインドオーケストラ」ではコンサートマスターとしても活躍。昨年12月には3枚目のソロアルバムをリリース。◎岡本侑也(チェロ)東京藝術大学を経てミュンヘン音楽大学を首席で卒贈呈式よりPhoto:J.Otsuka/Tokyo MDE左より:岡本侑也 ©Shigeto Imura、上野耕平、辻 彩奈 ©Warner Classics

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