eぶらあぼ 2018.4月号
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80第56回 大阪国際フェスティバル2018 大阪4大オーケストラの響演“名物コンサート”にシェフたちが熱く意気込む文:横原千史4/21(土)16:00 フェスティバルホール問 フェスティバルホール チケットセンター06-6231-2221 http://osakafes.jp/ 大阪国際フェスティバルの名物企画「大阪4大オーケストラの響演」が4月21日に開催される。昨年行われた会見でのコメントを引用しつつコンサートについてご紹介したい。 トップは大阪フィルハーモニー交響楽団とこの4月に音楽監督に就任する尾高忠明でエルガー「南国にて」。尾高はこの曲を愛し、BBCウェールズ交響楽団とのデビュー30周年のエルガー・プロでも最後の曲に選んだ。「ウェールズ民謡も取り入れ、ノスタルジーを感じさせる。中間部のヴィオラ・ソロが本当に美しい」と語る。 関西フィルハーモニー管弦楽団はチャイコフスキー「白鳥の湖」抜粋で、首席指揮者の藤岡幸夫のオリジナルな構成で演奏する。藤岡は「関西フィルハーモニーはロシア・バレエの演奏の経験が豊富で、オケの個性が出せる。私自身関西フィルでの活動19年目の意気込みを見せたい」という。 日本センチュリー交響楽団首席指揮者の飯森範親は、リムスキー=コルサコフ「スペイン奇想曲」。「この曲で日本センチュリー響のソリストの優秀さをアピールできると思う。スペインの熱い情熱が聴衆の心を激しく揺さぶるだろう。4回目の出演に意欲をもって取り組みたい」 最後に外山雄三(大阪交響楽団ミュージック・アドバイザー)がブラームスの交響曲第1番を指揮する。「この曲は大事な演奏会でしばしば取り上げられる。特別な響きを持った傑作で、今回は若いオケの新鮮な緊張感をぶつけて、有名な作品の新たな側面を提示したい」と話す。 4大オケの共演は、関西独自のユニークな取り組みであり、オケにとっても互いに刺激し合い、大いに勉強になるという。聴衆にとっても、それぞれの指揮者やオケの個性の違いを聴き比べて楽しめる、得難い経験となる。今回で一区切りということでますます聴き逃せない一夜となるだろう。ヴィオラスペース 2018 vol.27ヴィオラ界の名匠たちと新しいスターの名技を聴く文:林 昌英第4回東京国際ヴィオラコンクール 5/26(土)~6/3(日)ガラ・コンサート 5/31(木)、6/1(金)各日19:00入賞記念コンサート 6/3(日)15:00上野学園 石橋メモリアルホール問 テレビマンユニオン03-6418-8617※大阪、名古屋、仙台公演の情報は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://tivc.jp/ 1992年から続くヴィオラ音楽の祭典「ヴィオラスペース」。2009年からは「東京国際ヴィオラコンクール」が創設され、以後3年ごとに開催されている。今年は第4回となる同コンクール開催の年であり、世界中からヴィオラの俊英が上野学園 石橋メモリアルホールに集まり名技を競う。まず5月26日から5月31日まで、第1次・第2次審査と2回のワークショップが入場無料(要整理券)で一般公開される。出場者たちの全力の演奏を体験することでコンクールに“参加”できる貴重な機会だ。審査通過者による6月1日・2日の本選(有料)は「聴衆賞」の投票もあり、緊張感と見ごたえ十分のステージとなる。 また、会期中には審査委員らによる2回のガラ・コンサートも開かれる。心に残る小さい頃の経験と、一人ひとりの音楽とのつながりをテーマに据えて、1日目「子どもの情景」は子どもを主題とした作品を、2日目「わたしのお気に入り」は出演者たち自身の思い出の曲を集めた。今井信子、アントワン・タメスティをはじめとした内外のトップ・ヴィオリストたちに、ヴァイオリンのパメラ・フランクといった他楽器の名手たちが加わった豪華出演者が、古典派から現代までの多彩なヴィオラ作品をたっぷり聴かせてくれる。 そして、晴れやかな入賞記念コンサートが東京のほか、大阪、名古屋、仙台で開かれるのも、本コンクールの大きな特徴。入賞者たちと今井やタメスティらが出演し、コンクールのホットな空気感が各地で再現されるのだ。ヴィオラの新しいスターの誕生を見届けたい。左より:尾高忠明 ©Martin Richardson/藤岡幸夫 ©山岸 伸/飯森範親 ©山岸 伸/外山雄三 ©K.Miuraパメラ・フランク ©Nicolas Lieber今井信子 ©Marco Borggreveアントワン・タメスティ ©Julien Mignot for harmonia mundi
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