eぶらあぼ 2018.4月号
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78©Yukiko Shibuya雄大と行く 昼の音楽さんぽ 第13回 鈴木 舞 ヴァイオリン、光が薫るとき5/15(火)11:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/鈴木 舞(ヴァイオリン)フランス音楽に深い共感を覚えます取材・文:長井進之介Interview 鈴木舞は日本音楽コンクール第2位、ヴァーツラフ・フムル国際ヴァイオリンコンクール(クロアチア)第1位など、国内外の数多くのコンクールで入賞し、現在は日本とミュンヘンを拠点に活躍するヴァイオリニスト。彼女が最も大切にしてきたオール・フランス・プログラムで、第一生命ホールの人気シリーズ『雄大と行く 昼の音楽さんぽ』に出演する。 「プログラムは悩みましたが、やはりいま一番聴いていただきたいのはずっと大切にしてきたフランスもの。特にプーランクのソナタは昨年9月にリリースしたCDにも入れましたし、ぜひ弾きたかったのです。プーランクの友人で詩人のガルシア・ロルカ、この曲を依頼したヴァイオリニストのジネット・ヌヴーなど、色々な人の“死”に関わる作品ということで圧倒的な深さがあります」 プーランク唯一の弟子であるピアニスト、ガブリエル・タッキーノから教えを受けたこともあるという。 「プーランクが曲について語ったことなど、たくさんのことを教えてもらいました。またこの曲をフランスのコルマールのコンサートで演奏した際、お客様が身を乗り出して聴いて下さり、終演後には“フランス語を話すように演奏するのね”と仰っていただけました。これは宝物のような経験ですね」 スイスにドイツなど、様々な国を拠点に活動してきた鈴木は音楽と言葉の結びつきを常に意識していたという。 「小さい時からフランス語に触れる機会があり、フランス語のニュアンスやイントネーションが染みついているせいか、フランスものに対してとても深い共感を覚えます。またフランス人のレッスンやリハーサルでは、“風のように”など、詩的な言葉や感覚を使ったものが多いのです。現在はドイツでどちらかと言えば“建築的”な音楽のつくりかたを体験することで、知っている音色が増え、求める音色も増えました。このことで、フランスものの表現の幅もより広がりましたね」 特に音色の広がりは今回演奏されるラヴェルの「ツィガーヌ」で顕著に感じられるという。ロマを題材としたヴァイオリンの名曲は数多いが、「ツィガーヌ」は鈴木にとってどんな存在なのだろうか。 「ロマの音楽そのものを書いたというよりも、ロマの人たちが受けてきた迫害の歴史や、彼らのやり場のない悲しみや怒りを表現した作品になっていると思います」 新たな音色や奏法に熟知し、新しい感覚を得たからこそできる鈴木の“いま”を反映し、同世代の俊英ピアニスト・實川風と共に紡ぐ、オール・フランス・プログラム。案内役の山野雄大との楽しいトークとともに豊かな色彩に酔いしれる時間となるはずだ。いわきアリオス開館10周年記念小山実稚恵 ピアノ・リサイタル ~10年の時を刻んでアニバーサリーを名演で寿ぐ文:オヤマダアツシ 2008年4月、福島県の浜街道(太平洋側)南端で栄えるいわき市に生まれた複合文化施設「いわき芸術文化交流館アリオス」。本格的なコンサートホールや演劇などを楽しめる小劇場ほかを備え、多彩なコンサートやイベントを開催しながら、地域を豊かにしてきた文化発信地だ。 そのオープンから10周年となる今シーズンも、多くのコンサートが予定されている中、4月14日に行われる小山実稚恵のリサイタルは特別なものとなるだろう。開館にあたって大ホール4/14(土)14:00 いわき芸術文化交流館アリオス問 アリオスチケットセンター0246-22-5800 http://iwaki-alios.jp/©ND CHOWのスタインウェイ・ピアノを選び、オープニング・シリーズで「ピアノ開き」のコンサートを行った彼女は、アリオスの空間に命を吹き込んだ一人なのである。ショパン、シューベルト、ベートーヴェンという得意のプログラムは、10歳を迎えるホール、そしてそこに集う人々と親密な会話をするような時間になるはず。これを機に“初アリオス体験”をしたいという方にもおすすめだ。
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