eぶらあぼ 2018.4月号
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77クァルテットの饗宴2018 アルテミス・カルテットまもなく結成30年、現代最高峰の実力を改めて披露文:片桐卓也6/8(金)19:00 紀尾井ホール問 紀尾井ホールチケットセンター03-3237-0061 http://www.kioi-hall.or.jp/ ヨーロッパの弦楽四重奏界で現在トップを走る存在と言えるのがアルテミス・カルテットだ。2014年の紀尾井ホールでのコンサートでは、その実力のほどを遺憾なく証明してくれたが、彼らが4年ぶりに来日を果たす。 ベルリンを拠点に活動するアルテミス・カルテットは1989年の結成。ワルター・レヴィン、アルフレート・ブレンデルなどに師事し、アルバン・ベルク四重奏団、ジュリアード弦楽四重奏団、エマーソン弦楽四重奏団にも強い影響を受けながら、彼らの音楽性を磨き上げて来た。2015年にはヴァイオリン奏者のフリーデマン・ヴァイグレが亡くなったが、その後、第2ヴァイオリンにアンシア・クレストンを迎え、グレゴール・ジーグルがヴィオラに移り、新たな体制で活動を再開した。その新メンバーとしては初めての来日ということになる。 彼らが今回演奏するのは、ベートーヴェンの弦楽四重奏曲第3番、ヤナーチェクの弦楽四重奏曲第1番「クロイツェル・ソナタ」、シューマンの弦楽四重奏曲第3番の3曲。6曲セットの作品18の中の第3番は、ベートーヴェンとしては最初に手がけた弦楽四重奏曲であり、意外性とユーモアに溢れている。トルストイの小説に影響を受けたヤナーチェクの傑作、そして活き活きとしたシューマンの第3番と、その選曲にもアルテミス・カルテットの確信が感じられるものとなっている。世界が注目する彼らの演奏に触れて、その豊かな音楽性を楽しみたい。©Nikolaj Lund渡邊一正(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団新シーズンの幕開けはドヴォルザーク傑作選!文:林 昌英第53回 ティアラこうとう定期演奏会4/7(土)14:00 ティアラこうとう(江東公会堂)問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルは、高関健が常任指揮者に就任してからの3シーズンで機能性と表現力に著しく磨きをかけ、聴衆の胸に迫る演奏を積み重ねてきた。高関とシティ・フィルは2021年3月まで契約を延長し、さらなる飛躍と新機軸を見せていくことになるが、2018/19シーズンのラインナップにも早速そのカラーが反映されている。「ティアラこうとうと東京オペラシティの定期演奏会、全13公演でひとつのシリーズと考えている」として、両会場の定期を今まで以上に有機的に関連させていくという。 その新シーズン13公演の幕開けとなるのが、「ドヴォルザーク珠玉の名曲たち」と銘打った4月7日のティアラこうとう定期演奏会。「謝肉祭」序曲で華々しく開幕を告げ、チェロ協奏曲と交響曲第9番「新世界より」が続くという、堂々たるドヴォルザーク傑作プロだが、シティ・フィルにとっても新しい1年を占う公演となるわけで、その熱気はいや増すことだろう。 開幕を託された指揮者は渡邊一正。オーケストラの特長を引き出すことに長け、東京フィルのレジデント・コンダクターを務めるほか、国内の各団体に客演を重ねて信頼も厚い渡邊。本公演でもシティ・フィルを力強く率い、スケールの大きなドヴォルザークを聴かせてくれるはず。チェロ協奏曲にカメラータ・チューリッヒのソロ首席チェリストを務める新倉瞳が登場するのも要注目。スイスの名門団体で重責を担う彼女の名技を、屈指の名作で体験できるのはうれしい機会であり、清新な名演を堪能したい。新倉 瞳 ©Takaaki Hirata渡邊一正 ©Satoshi Mitsuta

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