eぶらあぼ 2018.4月号
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74レ・ヴァン・フランセ(管楽アンサンブル) ~協奏交響曲の夕べ艶美・玲瓏な一夜限りの夢の宴文:柴田克彦4/24(火)19:00 東京オペラシティ コンサートホール 問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040他公演 4/20(金)文京シビックホール、4/21(土)三鷹市芸術文化センター風のホール、4/22(日)日本特殊陶業市民会館フォレストホール 4/23(月)東京文化会館、4/25(水)水戸芸術館、4/26(木)川西市みつなかホール、4/28(土)福岡シンフォニーホール※レ・ヴァン・フランセの上記公演の詳細は右記ウェブサイトでご確認ください。 http://www.japanarts.co.jp/ これは掛け値なしに稀少かつ贅沢な一夜だ。フルートのパユ、オーボエのルルー、クラリネットのメイエ、ホルンのヴラトコヴィチ、バソン(フランス式ファゴット)のオダンと各楽器のトップ奏者が集結した「レ・ヴァン・フランセ」が、協奏交響曲を4曲並べた前代未聞のコンサートを行う(管弦楽は東京フィル)。 複数のソロ楽器と管弦楽による協奏交響曲は、18世紀後半のフランスで流行した形態。管楽器による実例では、パリ訪問時に書かれたモーツァルトの作品が名高い。今回は、その名曲に加えて、ピアノ・メーカーの創業者でもあるプレイエル、古典的なオーケストラ音楽の開拓者の一人・ダンツィ、パリ音楽院初のフルートの教授・ドヴィエンヌの楽曲が披露される。いずれもモーツァルトと3~7歳違いの同世代。パユが「ユニークな交響的様式で書かれた木管楽器のための最高の作品を集めたポートレート集。全てモーツァルトと同じように美しく優雅で、快活な様式を持っています。みな技巧的で力強く、まるでモーツァルトの歌劇のように聴こえます」と語る通り、名人芸を駆使した充実作ばかりだ。 ただし複数の名手を要するため、通常のコンサートでは同一楽団の奏者のソロで稀に演奏される程度。最高級のソリストで立て続けに聴く機会などまずない。メイエが「複数の奏者の間、ソリストとオーケストラの間で会話が行われ、その中に美しい音色が生まれます」と語るように、名手たちの妙技と絶妙なやりとりは他で味わえない愉悦感が満載。メンバーも「念願の企画」「特別な機会」と話す一夜限りの奇跡をお見逃しなく!©wildundleise. de Georg東京・春・音楽祭̶東京のオペラの森2018̶ 副そえじま島理沙 オーボエ・リサイタル~第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢 奨励賞受賞記念オーボエの新しき名手がみせる煌めく才能文:山田治生4/1(日)15:00 上野学園 石橋メモリアルホール問 東京・春・音楽祭チケットサービス03-6379-5899 http://www.tokyo-harusai.com/ 2015年の「第11回 国際オーボエコンクール・軽井沢」で奨励賞を獲得した副島理沙が、東京・春・音楽祭で、その奨励賞受賞記念としてリサイタルをひらく。神戸に生まれ、モンベリアール音楽院、シュトゥットガルト音楽舞台芸術大学、リューベック音楽大学、ローザンヌ高等音楽院などで学び、現在、チューリヒ歌劇場にオーケストラ・アカデミー生として在籍。そんな彼女だけに今回のリサイタルも、フランス、ドイツ、オーストリア、ポーランド、ハンガリーなど様々な国の作品が並ぶ。また時代もバロックから20世紀作品まで多彩である。 フランス・バロックのクープランの「王宮のコンセール」で華やかに始まり、シューマンの「3つのロマンス」とプーランクのオーボエ・ソナタというドイツとフランスでの最も重要なオーボエのレパートリーが披露される。プログラム中間で演奏されるクルークハルトは、19世紀後半のドイツの作曲家。「葦の歌」はロマンティックな作品である。モーツァルトのオーボエ四重奏曲を経て、20世紀ポーランドのルトスワフスキの「墓碑銘」、ハンガリー出身の大指揮者でオーボエ奏者でもあったアンタル・ドラティの「協奏的二重奏曲」が取り上げられる。オーボエ奏者としての実力を示すにふさわしい曲ばかりだ。 また、チェンバロの大塚直哉、ピアノの江口雅子、ヴァイオリンの三上亮、ヴィオラの鈴木康浩、チェロの金子鈴太郎ら実力者揃いの共演者が頼もしい。海外在住の新たな才能を聴く、絶好のチャンスである。
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