eぶらあぼ 2018.4月号
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62©Volker Beushausenアンティ・シーララ ピアノ・リサイタル 5/1(火)19:00 すみだトリフォニーホール問 パシフィック・コンサート・マネジメント03-3552-3831 http://www.pacific-concert.co.jp/近江の春 びわ湖クラシック音楽祭2018大阪フィルとの共演 5/4(金・祝)14:15 びわ湖ホール(大) リサイタル 5/5(土・祝)12:30 びわ湖ホール(中)問 びわ湖ホールチケットセンター077-523-7136 http://bc2018.biwako-hall.or.jp/アンティ・シーララ(ピアノ)溢れ出る音楽性と知性を体感させるピアニズム取材・文:寺西 肇Interview フィンランドが誇るピアノの名匠、アンティ・シーララが3年ぶりに来日。ベートーヴェンのソナタ第21番「ワルトシュタイン」を軸としたリサイタルで、溢れ出る音楽性と美音を披露する。リーズ国際ピアノコンクールをはじめ多くの登竜門を制し、世界の注目を一身に集め、進化を止めぬ彼の“いま”を体感したい。 「『ワルトシュタイン』は、オープンでヴィルトゥオージック。ワクワクするような作風が多くの奏者を虜にしますが、作曲当時いかに画期的な音楽であったかを忘れられがちです。リズミカルなエネルギー、ハーモニーとモティーフのまとまりなど、全曲を通して、当時の聴衆には初めての経験でした。ちょうど交響曲第3番を作曲していた時期で、ベートーヴェンの“英雄”的表現は極致にあったのです。このような音楽を理解するのに、近道はありません。感情的で、ピアニスティックで、歴史的視点を持ち、分析的でもあります。ですから、多くの時間が必要ですし、作品に少しでも近づき深く理解するために、一生を通して勉強し続けなければなりません」 時代や地域を超越しつつ、緻密に関連づけ、共鳴させるプログラミングも魅力。今回はまず、ショパン「3つのマズルカ op.56」を組み合わせる。 「ショパンのマズルカは、高い精神性を持つ傑作です。また、最初と最後の曲はプログラム全体のハ長調・ハ短調の核をなし、続くシューマン『幻想曲』へと美しく繋がります。びわ湖ホールでは、これを『ワルトシュタイン』の前に弾きます。実は、最後の和音が、ベートーヴェンの最初と同じ。見事な架け橋となるのです」 シューマンの「幻想曲」について「私にとって、最も重要な作品」と語る。 「作曲者自身やベートーヴェンの人生、そして古典主義とロマン主義にも繋がりを持つ、他の何にも代え難い圧倒的な曲です。私は通常と別の終結部(初稿版)を選択しましたが、これは第1楽章と美しく結びつきます」 さらに、すみだトリフォニーホールでは、故国を代表する作曲家で、シーララも「実際に何度もお会いした」というラウタヴァーラの「イコン」も演奏する。 びわ湖ホールでは、新たにスタートする「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」への登場となる。まずは大植英次指揮の大阪フィルと共演、「複雑さはないが、決して易しくない。シンプルさへの道は時に困難です」と評する、グリーグの協奏曲を弾く。翌日に開くリサイタルは、音楽祭のコンセプトに合わせて、通常の演奏時間よりも短めに設定。「全体的な負担が軽くはなりますが、入念な準備に変わりはありません」と真摯な人柄をのぞかせた。アンドレ・ラプラント ピアノリサイタル知られざる“巨匠”が40年ぶりの来日文:笹田和人 “伝説の俊英”が、40年の歳月を隔てて、日本の聴衆の前に再び降り立つ。アンドレ・ラプラントは1978年、チャイコフスキー国際コンクールで第2位となり、アシュケナージらと並び称されたカナダの名ピアニスト。入賞直後から40年ぶりとなる来日を果たし、リスト畢生の大作ソナタなどを核とするプログラムを聴かせる。 ケベック出身。27歳で入賞したチャイコフスキー国際のみならず、ジュネーヴやシドニーなど名門コンクールで実績を重ね、国際的な檜舞台で活躍を続けてきた。録音でも数多く受賞し、モン4/21(土)14:00 東京文化会館(小)問 アイエムシーミュージック03-6907-2535http://www.imc-music.net/©Peter Schaトリオール音楽院で後進の指導にも尽力。2015年にショパン国際で第2位となったシャルル・リシャール=アムランら多くの逸材を育てた。 来日リサイタルは、リストに加えてショパンの第2番「葬送」という2つのソナタを核に。ここへ第20番(嬰ハ短調 遺作)、第4番(ヘ長調)、第17番(ロ長調)と、ショパンの3つの夜想曲を添える。「音楽が我々を引き寄せるのでなく、我々が音楽へ寄り添わねば」。40年の歳月が熟成させた彼の思いに、私たちも寄り添いたい。
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