eぶらあぼ 2018.4月号
61/201

58ジャコバン国際ピアノ音楽祭 2018 in 東京5/30(水) 仲道郁代 ピアノを語る15:00 仲道郁代 ピアノの夕べ19:00 5/31(木) エマニュエル・スヴィエルチ15:00 フィリップ・レオジェ19:30Hakuju Hall問 Hakuju Hallチケットセンター03-5478-8700 http://www.hakujuhall.jp/浦久俊彦(プロデューサー)フランス発のピアノ音楽祭が遂に日本で開催!取材・文:飯田有抄Interview 世界で最も美しいと言われるフランスのピアノ音楽祭が、いよいよ東京で開催される。ジャコバン国際ピアノ音楽祭は、夕日に染まる煉瓦が綺麗な「薔薇色の街」トゥールーズで行われているフェスティバル。ブレンデル、アルゲリッチ、ツィメルマンといった名だたるピアニストたちから愛されてきた歴史ある音楽祭だ。その日本版プロデューサー浦久俊彦は、「ピアノでみんながひとつになる」というコンセプトのもと、日仏友好160周年記念の一つとしても、この音楽祭を展開したいと語る。 「トゥールーズの会場は13世紀に建てられたジャコバン修道院です。そこでのピアノの響きは、まるでトロトロのフォンダンショコラのように柔らかく美しい。東京での開催はHakuju Hall。本場の創立者たちがフランスから訪れ、『修道院の響きに似ている』というお墨付きの会場です。日本に暮らすフランス人やフランス企業がもっとも多い街・東京で、両国の文化交流の場としてこの音楽祭を盛り上げていきたいです」 音楽祭は著名なピアニストの出演のみならず、「若手を世に送り出す」ことも大切な使命としている。 「ヨーロッパで大注目を浴びながら、日本でほとんど紹介されていない20~30代の若手ピアニストをご紹介します。今年はリリカルで繊細な表現でショパンを聴かせるエマニュエル・スヴィエルチ。今、女性ピアニストとしてのヨーロッパでの注目度はナンバーワンと言っていいでしょう。そして芳しいフランス・シャンソンのスタンダードをジャズ・ピアノで聴かせるのは、フィリップ・レオジェ。この音楽祭はピアノを主軸とし、ジャンルの枠にはとらわれません。また今後は、日本の若手を本場ジャコバンに送り出す活動も進めたいと考えています」 音楽祭のアンバサダーとして、日本を代表するピアニスト仲道郁代が登場する。仲道が若き日々に愛したシューマンも取り上げ「原点回帰」のステージを織りなすほか、浦久とのトークイベントにも出演する。 「ピアニストの定義はさまざまだと思いますが、単に演奏技術が高いというだけでなく、ピアノという楽器を通じて伝えるべきものを持っていることが大事。仲道さんはそれをきちんとお持ちで、自分の音と言葉で伝えることのできる方。トークイベントも好奇心旺盛な仲道さんとの掛け合いで、ピアノを巡る多様な話題に広がると思います」 音楽祭は岐阜と鎌倉でも開催予定。ピアノを架け橋とした日本とフランスの美しい結びつきに期待が高まる。エスポワール スペシャル 14 マリー=エリザベート・ヘッカー(チェロ)mit マーティン・ヘルムヘン(ピアノ)気鋭たちによる情感みなぎるデュオ・リサイタル文:飯尾洋一 近年、次々と才能豊かな若手チェリストが台頭している感があるが、ドイツ出身のマリー=エリザベート・ヘッカーもそのひとり。2005年のロストロポーヴィチ国際チェロ・コンクールで、第1位と2つの特別賞を同時に獲得し、以来、バレンボイム、ゲルギエフらの名指揮者たちと共演を重ねるなど、目覚ましい活躍を続けている。 室内楽の分野では、同じくドイツ出身の気鋭マーティン・ヘルムヘンとの共演で旺盛な活動を展開する。今回はそのヘルムヘンとともに、ブラームスの2曲のチェロ・ソナタを披露する。両者に4/14(土)17:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/マーティン・ヘルムヘン©Marco Borggreveよる鮮烈で情感豊かなブラームスは、録音でも評判を呼んでおり、実演を待望していた方も少なくないことだろう。また、2曲のチェロ・ソナタの合間には、モーツァルトの「ピアノ・ソナタ第12番 K.332」と「ロンド イ短調 K.511」がはさまれ、ヘルムヘンのソロも聴くことができる。 ヘッカーとヘルムヘン、ブラームスとモーツァルト。一粒で二度おいしいデュオ・リサイタルを堪能したい。マリー=エリザベート・ヘッカー©Benjamin Ealovega公演中止

元のページ  ../index.html#61

このブックを見る