eぶらあぼ 2018.4月号
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48©Shingo Azumayaトヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーンウィーン・プレミアム・コンサート 3/23(金)~4/3(火)安藤赴美子出演公演:盛岡 3/25(日)、豊田 3/26(月)、札幌 3/31(土)、東京 4/2(月)問 トヨタ・マスター・プレイヤーズ事務局03-5210-7555※公演についての詳細は下記ウェブサイトをご参照ください。http://www.toyota.co.jp/tomas18/安藤赴美子(ソプラノ)モーツァルトとオペレッタの名アリアを極上のアンサンブルとともに取材・文:東端哲也Interview 「トヨタ・マスター・プレイヤーズ,ウィーン」はウィーン国立歌劇場やウィーン・フィルのメンバーを中心に特別編成された室内オーケストラ。2000年以降、ほぼ毎年のように世界最高水準の演奏を各地に届けてきた。今年も全国7都市で8公演の開催が決定。このうち4公演のプログラムには、一線で活躍するソプラノの安藤赴美子が15年以来、2度目の出演を果たす。 「指揮者なしだからこそ、お互いに息の合った演奏が絶妙。前回のリハーサルでは、みんなで一緒に音を作り上げていったのが印象的でした」 今年はモーツァルト・オペラとオペレッタ作品から、時代を超えて愛されるウィーンらしい名アリアを披露。 「芸術監督でコンサートマスターのフォルクハルト・シュトイデさんから曲を提示された時、私ひとりでこんなに歌っていいんですか? って思わず言いそうになったくらい(笑)。海外でも実現が難しそうな名手との共演に胸が高鳴ります」 前半は先ず《フィガロの結婚》から伯爵夫人の有名なアリアを2つ。続いて《ドン・ジョヴァンニ》からドンナ・エルヴィーラの愛憎を激しく描いた〈あの恩知らずは私を裏切り〉も楽しみだ。 「伯爵夫人は夫の愛が冷めてしまったと憂いをたたえた役ですが、アリアではまだ若い女性であることもさり気なく匂わせたい。一方、エルヴィーラは今の私の声には少し重い気もするのですが、なぜか(ミヒャエル・ハンぺ先生などを筆頭に)皆さんによく勧められる役です」 後半はJ.シュトラウスⅡの《こうもり》から、アデーレのコケティッシュな〈侯爵様、あなたのようなお方は〉とエキゾチックなチャルダッシュのスタイルで書かれたロザリンデの〈ふるさとの調べよ〉。そしてこちらも傑作、レハールの《メリー・ウィドウ》から哀愁の〈ヴィリアの歌〉と盛りだくさん。 「コンサート形式でオペレッタの持つ軽妙で華やかなドラマをいかに表現できるかが課題ですが、オーケストラの皆さんの奏でる、まるでそれぞれの場面が目に見えるかのようなサウンドにきっと助けてもらえるはずです」 4月の東京公演の前には出身地である札幌のコンサートホールKitaraでも歌う。 「やはり地元は特別ですね。前回は苫小牧公演で終演後に小・中学生と交流の機会があり、子どもたちから質問が来て楽しかった。今回も全国で、年齢を問わず幅広い音楽ファンに足を運んでいただきたいです」椎名雄一郎 見て聴いて楽しむ!! バッハ・オルガン紀行~大フーガと小フーガ~ルネサンス、バロック、モダン―3種のサウンドを堪能文:寺西 肇 知的かつ熱い血の通った演奏が、国際的な注目を集めるオルガンの名手・椎名雄一郎。時代様式ごとに構造やピッチ、調律の異なる3種のオルガンを弾き分けて、バッハによる“大”と“小”、ト短調による2つの「フーガ」を軸に、大作曲家たちのオルガン音楽の脈々たる潮流を辿るステージ「バッハ・オルガン紀行」を開く。 東京芸術劇場に設置された仏ガルニエ社製オルガンは、筐体を回転し、ルネサンス、バロック、モダンの各オルガンの使い分けが可能。「見て聴いて、楽しい楽器。この魅力を最大限に4/14(土)14:30 東京芸術劇場 コンサートホール問 アレグロミュージック03-5216-7131http://www.allegromusic.co.jp/引き出す名曲を通じて、オルガンの魅力を再発見していただければ」と椎名は言う。 ステージでは、まず、バッハの先人たちの作品をルネサンスのオルガンで。そして、バロックの楽器により、北ドイツ楽派の巨人ブクステフーデや、その影響を感じさせる「幻想曲とフーガ 『大フーガ』BWV542」ほかバッハの傑作を。さらに、あえてモダン楽器を使い、「小フーガ BWV578」などバッハの作品、さらに20世紀のデュリュフレ編曲による「主よ人の望みの喜びよ」も取り上げ、演奏史自体を俯瞰する。

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