eぶらあぼ 2018.4月号
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40Information5/3(木・祝)~5/5(土・祝)丸の内エリア(東京国際フォーラム、大手町・丸の内・有楽町 他)池袋エリア(東京芸術劇場、池袋西口公園、南池袋公園 他)問 ラ・フォル・ジュルネ TOKYO 運営委員会事務局  03-3574-6833※ラ・フォル・ジュルネ TOKYOの詳細情報は下記ウェブサイトでご確認ください。 http://lfj.jp/ 今回の音楽祭は例年にも増して多彩なプログラムが並んだ。有料公演の中から、注目公演を挙げてみよう。 まずはアンドレイ・ペトレンコ指揮のエカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団。2月に開かれたナントでのラ・フォル・ジュルネを取材して一足先に聴いたが、ラフマニノフやペルト、シュニトケなどの無伴奏合唱曲を中心としたプログラムがおもしろい。ロシアの知られざる佳品を聴けることに加えて、ロシアの団体ならではの深い低音が魅力。プログラム後半ではロシア民謡も歌われるのだが、これが土の香り満載で、ナントの聴衆は総立ちで拍手喝采を送っていた。また同合唱団は、ドミトリー・リス指揮ウラル・フィルとヴィクトロワ作曲のオラトリオ「エクソダス」(日本初演)を共演する。新作とはいえ作風は明快で、スペクタクルな大作といってもいい。豪快なサウンドを体験できる。 音楽祭の顔のひとり、ピアニストのボリス・ベレゾフスキーも活躍する。ラフマニノフがアメリカ時代に書いたピアノ協奏曲第4番を演奏してくれるのがうれしい。この作品には人気の第2番や第3番とは違った魅力がある。また、ベレゾフスキーとアレクサンドル・ギンジンの2台ピアノによるバルトークとラフマニノフも興味深い。ふたりの大男による“巨漢デュオ”は壮観。 この音楽祭にはすぐれたピアニストが大勢集まる。ルーカス・ゲニューシャスによるショパンやヒンデミット、ルイス・フェルナンド・ペレス得意のアルベニスは大きな聴きものとなるだろう。日本勢では福間洸太朗や広瀬悦子、北村朋幹といった実力者が登場する。こちらも楽しみ。 ラ・フォル・ジュルネには「新人発掘音楽祭」の一面もある。この音楽祭で脚光を浴び、やがてスターとなって檜舞台に立った音楽家は数知れず。ルネ・マルタンの慧眼ぶりは広く知られるところだが、今回特に彼が強く推薦しているのが、ピアノのマリー=アンジュ・グッチと、ヴァイオリンのアレーナ・バーエワとアレクサンドラ・コヌノヴァ。グッチはフランス在住のアルバニア系の奏者で、ルネ・マルタンによれば「若くして円熟味と知性をあわせ持つ」。ショパン、ラフマニノフ、プロコフィエフ等の作品を弾く。バーエワは仙台国際音楽コンクールの優勝者。ナントでもコルンゴルトを演奏し、評判を呼んでいた。コヌノヴァはチャイコフスキー国際コンクールで第3位を獲得した新星。ベートーヴェンのヴァイオリン協奏曲でその真価を発揮してくれることだろう。 オーケストラではラルス・フォークト指揮ロイヤル・ノーザン・シンフォニアをぜひ聴いておきたい。ピアニストとしてのフォークトももちろん魅力的なのだが、彼が音楽監督を務める室内オーケストラといっしょにどんな音楽を作りだすのか。これには興味津々。 今年の「ラ・フォル・ジュルネ」も聴きたい公演が多すぎて目移りしてしまう。丸の内と池袋の効率的な移動を考えながら、じっくりとハシゴ計画を練りたい。リスナーを“新しい世界”へと誘う魅力的な公演の数々文:飯尾洋一ラ・フォル・ジュルネ TOKYO おすすめ コンサート ボリス・ベレゾフスキー ©Juri Bogomazアレクサンドル・ギンジンルーカス・ゲニューシャス ©Jean-Baptiste Millotマリー=アンジュ・グッチアレーナ・バーエワ ©V.Shirokovラルス・フォークト ©Giorgia Bertazziエカテリンブルク・フィルハーモニー合唱団

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