eぶらあぼ 2018.4月号
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174げられており、CDでは、内藤晃がピアノを、朗読を茂木が担当している。 春畑は「子どもたちなどいろいろな人たちに弾いてほしい。生物多様性、絶滅危惧種といった科学の言葉では伝わりづらいことも、音楽があると伝わりやすくなる。また、音に身を委ねることで、皆さんの感性の窓が開いて、音楽を享受する楽しさを感じてもらえれば」と語った。学校などの場で音楽を分かち合い、地球について語り合うきっかけとなることを願っているという。そうした思いから、作品の広範な普及を目指し、2020年3月末まで演奏・放送など一部の使用に限り音楽著作権をフリーとすることを決めた。 また、楽譜やCD、絵本に解説を寄稿している科学コミュニケーターの深津美佐紀は、「このアート、音楽を使ったプロジェクトは、絶滅危惧種を“感じる”ことができるという点に大きな意義を感じている。生き物が絶滅する前に減っているなと気づく。それがこの大きな問題を解決するための大事な一歩になると思います」と述べた。音楽之友社http://www.ongakunotomo.co.jp/■ルトスワフスキ国際チェロコンクール で佐藤晴真が第1位、上野通明が第2位 に入賞 1月30日〜2月10日にワルシャワで開催された、第11回ルトスワフスキ国際チェロコンクールで、佐藤晴真(はるま)が第1位、上野通明(みちあき)が第2位に入賞した。第3位は中国のYibai Chen。同コンクールは、1997年にスタートしたポーランド国内唯一のチェロコンクールで、出場者は24歳以下に限定されている。ルトスワフスキのチェロのための全作品がコンクールの課題曲となっているユニークなコンクールでもある。 佐藤は、98年名古屋市生まれ。2013年には全日本学生音楽コンクール高校の部第1位、14年には日本音楽コンクールでも優勝。現在、ベルリン芸術大学にてJ=P.マインツに師事している。今回のコンクールでは、ルトスワフスキ「グラーヴェ」のベスト・パフォーマンス賞も受賞した。 上野は、1995年パラグアイ生まれ。2009年、若い演奏家のためのチャイコフスキー国際音楽コンクールで日本人初優勝、また10年にはルーマニア国際音楽コンクール、14年にはヨハネス・ブラームス国際コンクールで優勝。現在、デュッセルドルフ音楽大学でピーター・ウィスペルウェイに師事している。Witold Lutosławski International Cello Competitionhttp://www.lutoslawski-cello.art.pl/■第16回 齋藤秀雄メモリアル基金賞 贈呈式 第16回 齋藤秀雄メモリアル基金賞の受賞者が決定し、チェロ部門は岡本侑也、指揮部門は園田隆一郎がそれぞれ選ばれた。2月23日に都内で贈呈式が行われた。 同賞は、チェリスト・指揮者・教育者であった故・齋藤秀雄に因み、財団法人ソニー音楽芸術振興会(現・公益財団法人ソニー音楽財団)が2002年に創設。音楽芸術文化の発展に貢献し、将来一層の活躍が期待される、若手チェリストと指揮者各1名を、年に一度顕彰している。 岡本は1994年生まれ。2017年エリーザベト王妃国際音楽コンクールで第2位に入賞。現在は、ミュンヘン音楽大学大学院で学ぶ傍ら、室内楽や国内外のオーケストラとの共演で活躍している。受賞に際し、岡本は「中学生の頃から7年間教えていただいた山崎伸子先生には本当に感謝しています。2年程前から齋藤先生が使っていらしたテストーレのチェロを弾く機会をいただき、奏法や音楽に対する考え方も大きく考え直すきっかけとなりました。これからも、欧州でたくさんのことを学んで自分の演奏を深めていきたい」と喜びを語った。 園田は、シエナのキジアーナ音楽院でジャンルイジ・ジェルメッティに師事。ペーザロ・ロッシーニ・オペラ・フェスティヴァルでの《ランスへの旅》、藤原歌劇団《蝶々夫人》、びわ湖ホール《フィガロの結婚》など、左より:加藤 優(ソニー音楽財団理事長)、堤 剛、岡本侑也、園田隆一郎、東条碩夫(任期制選考委員)、軽部重信(同財団専務理事) 写真提供:ソニー音楽財団佐藤晴真上野通明
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