eぶらあぼ 2018.3月号
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88ロータス・カルテット シューマン:弦楽四重奏曲全曲演奏会日本が生んだドイツのカルテットの熱演文:林 昌英3/23(金)19:00 京都コンサートホール アンサンブルホールムラタ3/24(土)16:00 広島/エリザベト音楽大学 セシリアホール3/25(日)14:30 Hakuju Hall問 KCMチケットサービス0570-00-8255 http://www.kojimacm.com/ シューマンの「室内楽の年」として知られる1842年に、3曲セットで作られた弦楽四重奏曲集「作品41」。シューマンの心情や歌心、クララへの想いが弦の響きに託された魅力作ぞろいだが、第3番以外は体験できる機会が少ない。しかし来る3月、京都、広島、東京の3都市で、この3曲セットの真価を体験できるチャンスが訪れる。 演奏はロータス・カルテット。1992年に日本人女性4人により結成され、ドイツのシュトゥットガルト音楽芸術大学でメロス弦楽四重奏団に師事。ドイツBDI音楽コンクール弦楽四重奏部門で第1位を受賞、以降は同地を拠点とする「ドイツの伝統を受け継ぐ四重奏団」として活動。2005年の第2ヴァイオリン奏者の交代を経て、現在は世界的に活躍し、多忙を極めている。また、同団はシューマン全曲を03年に録音(リリースは06年)、代表盤となっている。弾きこんできた作品群である上、今回のシューマン全曲演奏会は3都市3日連続公演で、集中を途切れさせずに全公演に臨む。 作品も、ベートーヴェンやメンデルスゾーンの影響を感じさせる淡い情緒が美しい第1番、シューマンとしては異例なほど晴朗で軽快な音楽が楽しい第2番、そしてシューマンならではの濃密な情感が宿る第3番と、同時期の作曲ながら見事にキャラクターが異なる。特に第3番第3楽章は白眉となる名品で、明暗の間を揺れ動く、むせかえるようなロマンが心に残る。“日本が生んだドイツのカルテット”の熱演で、シューマンの世界に耽溺できる、またとない好機だ。ショパン・フェスティバル2018 in 表参道“前奏曲”に聴くショパン作品の神髄文:笹田和人5/28(月)~6/2(土)ランチタイムコンサート 各日12:00 イブニングコンサート 各日18:30(6/2のみ17:00)カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」 3/1(木)発売問 日本ショパン協会03-6718-4239/カワイ音楽振興会03-6718-4199 http://chopin-society-japan.com/ 演奏家や研究者、愛好家などで組織する日本ショパン協会が、カワイ表参道コンサートサロン「パウゼ」を舞台に、2010年から毎年開いている「ショパン・フェスティバル in 表参道」。今年は「前奏曲」がテーマに。ショパンはもちろん、バッハやドビュッシーなど、“前奏曲”の名の下に創作した他の作曲家にも目を向け、全12公演が6日連続で開かれる。 期間中は、若手ピアニスト中心のランチタイムコンサートと、中堅からベテランまでの名手によるイブニングコンサートが各6公演。「ランチタイム」では福井敬介、原嶋唯、太田糸音、千葉遥一郎、古海行子、アレクサンドラ・シフィグットが順に出演し、「24の前奏曲」を分担で弾くほか、ショパンの傑作を中心に鮮烈に披露する。 「イブニング」の幕開けを飾るのは、ラトビア出身のディーナ・ヨッフェ。ショパンとスクリャービンの「24の前奏曲」全曲を弾く。第2夜の橘高昌男はドビュッシーとショパンの「前奏曲」にバッハ、メンデルスゾーンを交えて。阿見真依子による第3夜は、ショパンとスクリャービンに、バッハとメンデルスゾーンの「前奏曲とフーガ」を組み合わせる。第4夜の矢島愛子は、2曲の前奏曲ほかショパンの名品に、スクリャービン「24の前奏曲」全曲を披露。第5夜に登場の岸美奈子は、ショパンとスクリャービンの「24の前奏曲」抜粋に、ドビュッシー「前奏曲集第1集」から4曲ほかを。掉尾を飾る寺田悦子は、ショパン「24の前奏曲」(抜粋)やバッハ「平均律」から12曲の「前奏曲」などを弾く。ディーナ・ヨッフェ橘高昌男 ©Eiji INA阿見真依子矢島愛子岸 美奈子 ©井村重人寺田悦子 ©Akira Muto
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