eぶらあぼ 2018.3月号
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80デビュー10周年記念 滝 千春 ヴァイオリン・リサイタル3/8(木)19:00 紀尾井ホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/滝 千春(ヴァイオリン)デビュー10周年を彩るプロコフィエフの響き取材・文:片桐卓也Interview ピアノのリサイタルでオール・プロコフィエフ・プログラムというのはあるだろうが、ヴァイオリンのリサイタルでは前代未聞かもしれない。それに挑むのは、デビュー10周年を迎え、現在はベルリンを拠点に活躍している滝千春だ。 「もともとプロコフィエフが大好きでした。演奏しても、他の作曲家に較べて周りの反応も良くて、私に合った作曲家だと思ってきました。デビュー・リサイタルでもプロコフィエフの作品を入れたので、今回はもっと本格的にこの作曲家に迫りたいと、オール・プロコフィエフのプログラムになりました」 もちろん2曲のヴァイオリン・ソナタが柱となるが、それ以外にバレエ音楽「シンデレラ」からの「ワルツ」(フィフテンゴリッツ編)、同じくバレエ音楽「ロミオとジュリエット」(バイチ/フレッツベルガー編)という既存の編曲作品を演奏。そして、このリサイタルにあたって、交響的物語「ピーターと狼」のヴァイオリン用編曲をパリ在住の作曲家・演奏家である根本雄伯(たけのり)に依頼した。もちろん編曲版としての世界初演となる。 「あるプロジェクトで、自分で語りもしながら『ピーターと狼』を演奏するというアイディアを持っていたのですが、その時は実現しなかったのです。そこで今回、いろいろな作曲家の方にお願いをしてみて、ようやく根本さんが見つかりました。作品としては6~7分ぐらいの短いものとなる予定ですが、『ピーターと狼』の音楽的に重要なテーマはすべて網羅されている、そんな作品に仕上がると思います」 ヴァイオリン用の曲だけに留まらない幅広い関心を彼女は持っている。 「本来、プロコフィエフとはどういう作曲家なのだろう、それを探究したいという気持ちがあり、そこからプロコフィエフの世界へ聴き手の皆さんを誘いたいと思いました。プロコフィエフの音楽には、ストーリー性があり、それはバレエ音楽だけでなく、すべての彼の作品の中に共通するテーマです。バレエ音楽を加えることで、彼の音楽の中のストーリーというキーワードが浮かび上がってくると思います。また、ユーモアやかなり頑固であったという個性なども、その作品の中に入っています。そういう要素を改めて聴いていただけたら嬉しいです」 プロコフィエフ作品を多角的に俯瞰できるようなリサイタルになりそうである。ピアノは沼沢淑音。コハーン・イシュトヴァーン(クラリネット) & 中野翔太(ピアノ) デュオクラシック、ジャズ、即興演奏――2人の俊才が魅せる刺激的なステージ文:笹田和人 2013年の東京音楽コンクール木管部門をはじめ、数々の登竜門で優勝を重ねてきたハンガリー出身のクラリネット奏者、コハーン・イシュトヴァーン。そして、ジュリアード音楽院・同大学院に学び、国際的な檜舞台で活躍、第15回出光音楽賞(2004年度)を受賞した鬼才ピアニスト、中野翔太。白刃のように眩い光を放つ、2つの才能がぶつかり合うステージ。たったワンコインで、ジャンルの壁を軽々と飛び超える、刺激的な1時間を味わえるはずだ。 2人がステージに携えるのは、バッハ「G線上のアリア」やサティ「ジムノペ3/2(金)11:00 東京文化会館(小)問 東京文化会館チケットサービス03-5685-0650 http://www.t-bunka.jp/コハーン・イシュトヴァーンディ」、ガーシュウィン「ラプソディー・イン・ブルー」など、ジャズやポップスの素材としても、広く愛される名曲たち。共に作曲も手掛け、クラシックを基盤としながら、即興演奏など、独自の味付けで異彩を放つ名手たちだけに、“一筋縄ではゆかぬ”展開が期待できよう。そして、手拍子や歌など、聴衆の参加も促しつつ、やがて客席と舞台が一体に。未知のサウンドへの扉が今、開け放たれる。中野翔太 ©Yuuji ©Sina Eslami
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