eぶらあぼ 2018.3月号
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78秦 茂子とアンサンブル・カリオペ ~第一次世界大戦中の音楽家たち~戦争と芸術の狭間で文:寺西 肇3/1(木)19:00 すみだトリフォニーホール(小)問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/ 1945年3月10日、米軍の大空襲により灰燼となり、夥しい犠牲者を出した東京・下町。ここに立地する、すみだトリフォニーホールが1997年の開館以来続けている「すみだ平和祈念コンサート」。20周年を迎えた今年度は6公演が行われる。パリを拠点とするソプラノの秦茂子と、社会的背景に基づく活動を軸とするフランスの器楽グループ「アンサンブル・カリオペ」は第一次世界大戦中に創作された作品を特集するコンサートを開く。 福島県出身の秦は、国立音大や昭和音大大学院を経て、パリ国立高等音楽院に学び、在学中に同音楽院でオペラデビュー、その後、パリやエクサンプロヴァンスなどの檜舞台で活躍。古典の宗教声楽作品のほか、パリの先鋭的なグループと共演を重ねるなど、近現代音楽も得意とする。一方の「アンサンブル・カリオペ」は、古典作品だけでなく、19世紀以降の作品を、歴史や社会背景を採り込んだ形で、時に戦争の遺物が展示された博物館などでも披露し、大きな反響を得ている。 ステージは、作曲者自身による歌詞を含め、直接的な反戦の思いが込められたドビュッシー「家なき子等のクリスマス」でスタート。ラヴェル、フォーレ、カプレ、リリ・ブランジェらフランスをはじめ、R.シュトラウスやバルトーク、ストラヴィンスキー、さらには日本の中山晋平まで、世界各国の作曲家たちが初の世界大戦の悲劇を目の当たりにしつつ、同時期にしたためた歌曲の数々から、その思いを辿る。人類にとって、最大の愚行である戦争、そして至高の芸術である音楽。その狭間に、現代の私たちは何を感じるのか。秦 茂子東京佼成ウインドオーケストラ PRESENTS 吹奏楽大作戦 2018豪奢なサウンドで身近な曲をワクワク体験文:柴田克彦4/1(日)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京佼成ウインドオーケストラ チケットサービス0120-692-556 http://www.tkwo.jp/ 東京佼成ウインドオーケストラは、ハイレベルな日本吹奏楽界の中でも最高峰に位置するプロ楽団。エリシュカやスダーン、飯守泰次郎といった内外の一流指揮者のもと、クラシック作品やオリジナルの名作を主体にした定期演奏会を開催し、“聴く吹奏楽”の醍醐味を堪能させてくれる。そしてまた吹奏楽ならではの楽しみといえば、幅広いジャンルに及ぶ多彩なレパートリー。その妙味を満喫させるコンサートが「吹奏楽大作戦」だ。 今年は「アニメ・ゲーム音楽」の特集。ご存じ『鉄碗アトム』、『響け!ユーフォニアム』劇中の架空のコンクール課題曲「三日月の舞」、『モンスターハンター』のテーマ曲「英雄の証」、もはや古典の『宇宙戦艦ヤマト』から2曲、『エヴァンゲリオン』の「戦闘組曲」、『ファイナルファンタジー』の「メインテーマ」、「ドラゴンクエスト」のⅢ~Ⅴから「序曲」など3曲、Ⅰ~Ⅲから抜粋された「コンサート・セレクション」と大看板作品がズラリと並んでいる。 華麗かつ勇壮な音楽を中心にした選曲は、吹奏楽で聴くにうってつけ。宮川彬良、天野正道、真島俊夫など編曲者も全員トップ級なので安心して楽しめるし、舞台上で間近に演奏を聴くことができる「体感コース付きチケット」が限定販売されているのも要注目だ。指揮は同楽団の正指揮者・大井剛史。主要オーケストラのみならず、オペラや舞踊ほか多方面で手腕を発揮しているだけに、本公演にはこの上なく相応しい。 アニメやゲーム好きはもちろん、元の作品を知らない人も明快な音楽に胸踊ること間違いなし。グンと身近なこの機会に、日本が世界に誇る名楽団の豪華なサウンドを味わってみてはいかが?大井剛史 ©Atsushi Yokota東京佼成ウインドオーケストラ ©Atsushi Yokota
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