eぶらあぼ 2018.3月号
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74クロード・ドビュッシー 没後100年 命日前日メモリアル・コンサート没後100年に捧げるドビュッシーへのオマージュ文:伊藤制子[昼公演] ドビュッシーが見た夢~10年ぶりのソロ・リサイタル[夜公演] ドビュッシーの墓に~書簡の朗読をまじえて3/24(土) 14:00 19:00 浜離宮朝日ホール問 東京コンサーツ03-3200-9755 http://www.tokyo-concerts.co.jp/ 1989年に開始した青柳いづみこのドビュッシー・シリーズは、斬新な切り口でドビュッシー解釈に独自の視点をもたらしてきた。3月24日に浜離宮朝日ホールで開催する「クロード・ドビュッシー 没後100年~命日前日メモリアル・コンサート」は昼夜の2回公演で、ひとひねりある内容が盛り込まれている。 14時からの昼公演「ドビュッシーが見た夢~10年ぶりのソロ・リサイタル」では、ロシア、東洋の音楽、象徴派のマラルメに触発された作品が並んだ。青柳自身が日本初演した「忘れられた映像」、高橋悠治編曲による連弾版の「牧神の午後への前奏曲」(高橋が共演)、そして傑作「前奏曲集第1巻」などが選曲された。 「ドビュッシーの墓に~書簡の朗読をまじえて」と題された19時からの夜公演では、1920年にルビュ・ミュジカル誌に掲載されたストラヴィンスキー、バルトークなどによる追悼曲、サティなど後続世代によるオマージュ曲が前半に置かれている。後半はすべてドビュッシー作品で、「2つのアラベスク」、「管弦楽のための映像」より「イベリア」の連弾版などが披露される。最後は愛娘に捧げた「子供の領分」を演奏しつつ、ドビュッシーのシュシュ(彼の娘の愛称)への手紙を朗読して締めくくられる趣向だ。ロビーには未完のオペラ《アッシャー家の崩壊》の自筆譜コピーなど多彩な資料が展示される予定。まさにドビュッシー三昧の一日になろう。青柳いづみこ ©Hideo Goto芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー 第4回演奏会アメリカの名曲から藤倉大まで多彩な内容を満喫文:山田治生3/3(土)15:00 東京芸術劇場 コンサートホール問 東京芸術劇場ボックスオフィス0570-010-296 http://www.geigeki.jp/ 「芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー」は、東京芸術劇場によって2014年に始められた、プロフェッショナルな若手音楽家育成のためのプログラムである。アカデミーのメンバーは、東京佼成ウインドオーケストラ団員の指導を受けたり、共演の機会を与えられるほか、キャリアアップの講座で学ぶこともできる。そして年度の締め括りに演奏会をひらく。 第4回演奏会では、アメリカをベースに活躍するシズオ・Z・クワハラが指揮を執り、アメリカンなプログラムが披露される。演奏には、芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミーのほかに、東京佼成ウインドオーケストラも加わる。まずは、ウィリアム・シューマンの「ジョージ・ワシントン・ブリッジ」。ニューヨーク生まれのシューマンが、マンハッタンとニュージャージーをつなぐジョージ・ワシントン・ブリッジを描いた吹奏楽の名曲である。次の「中世の旋律による変奏曲」を書いたデロ=ジョイオもニューヨーク生まれ。吹奏楽のジャンルに名作を残している。そして、20世紀アメリカを代表する作曲家、バーバーの交響曲第1番を、デューカー編曲による吹奏楽版で聴く。最後は、バーンスタインの『ウエスト・サイド・ストーリー』より「シンフォニック・ダンス」で、作曲者の生誕100年を祝う。そのほか、ノルウェー出身の名手、エイステイン・ボーツヴィックが独奏を務める、藤倉大のテューバ協奏曲の世界初演も楽しみだ。シズオ・Z・クワハラエイステイン・ボーツヴィック ©Erik Børseth芸劇ウインド・オーケストラ・アカデミー ©Hikaru.☆
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