eぶらあぼ 2018.3月号
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64トリトン晴れた海のオーケストラ ベートーヴェン・チクルス Ⅰ & Ⅱ新時代のベートーヴェンを聴き込む文:飯尾洋一ベートーヴェン・チクルスⅠ 10/6(土)14:00ベートーヴェン・チクルスⅡ 12/1(土)14:00 第一生命ホール2公演セット券:2/27(火) 1回券:4/24(火)発売問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/ 2015年にコンサートマスター矢部達哉を中心として結成された一風変わった名前の室内オーケストラ、トリトン晴れた海のオーケストラが、いよいよこの秋より「ベートーヴェン・チクルス」に挑む。 メンバーは在京オーケストラを中心に各地で活躍する日本の名手たち。晴海トリトンスクエアにある第一生命ホールを拠点として、これまでの定期演奏会ではモーツァルトの「3大交響曲」を中心としたプログラムが組まれてきた。そして、次なるターゲットはベートーヴェンの交響曲全曲。20年のベートーヴェン生誕250年に向けて、3年間にわたって全5回のシリーズが開催される。 まず18年は、第1回として10月に交響曲第1番および第3番「英雄」が演奏され、続いて12月に第2回として交響曲第2番と第5番「運命」が演奏される。以降、19年には第4番と第7番、および第6番「田園」と第8番、そして20年の東京オリンピック・パラリンピック・イヤーには「第九」が予定されている。 これまでと同様に、指揮者はいない。この「晴れオケ」では、まるで室内楽の延長のように、メンバーたちの自発的なコミュニケーションを通して、ひとつの音楽が作り出される。指揮者がいなくても、はっきりとした顔のある音楽が生み出されるのがこのオーケストラ。とりわけ初回の「英雄」は大きな聴きものとなりそうだ。新時代のベートーヴェンを体験できそうな予感。トリトン晴れた海のオーケストラ ©大窪道治高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団バーンスタインを“ベスト”な選曲で!文:オヤマダアツシ第314回 定期演奏会3/17(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 生誕100年を迎えたレナード・バーンスタインの作品は、すでにあちらこちらのオーケストラ等で演奏予定だが、東京シティ・フィルも2017年度シーズン・ラストを飾る定期演奏会において、オール・バーンスタイン・プログラムを演奏。指揮は21年3月まで、同オケの常任指揮者を務めることが発表された高関健。ゲスト・ソリストに深みのある音楽を奏でるヴァイオリニストの渡辺玲子を迎え、洗練された“摩天楼ニューヨークのサウンド”とでもいうべき名作たちを聴かせる。 曲は『キャンディード』序曲に始まり、ヴァイオリン協奏曲風のスタイルによる全5楽章の「セレナーデ(プラトンの饗宴による)」、ワルツやサンバからブルースやマーチまで多種多様な音楽を料理した「ディヴェルティメント」、そしてジャズやラテン音楽のエッセンスを散りばめた名作である『ウェスト・サイド物語』のシンフォニック・ダンス。はじめてのバーンスタイン! という方でも、いきなりベストを体験できる選曲なのだ。 大編成で、多彩な打楽器なども加わるオーケストレーションが特徴のバーンスタイン作品だが、交響的バランスを考慮しながら音楽を作り上げていくことで、独特の響きが浮かび上がってくる。早くも3シーズン目を終えようとしている高関&東京シティ・フィルのコンビだが、多くのコンサートで作り上げてきた安定感のある音により、輝かしいマイルストーンを築き上げるコンサートになるだろう。高関 健 ©Stas Levshin渡辺玲子 ©Yuji Hori
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