eぶらあぼ 2018.3月号
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43『オペラ夏の祭典2019-20』、ダブルビルなど多彩な新制作 開幕はモーツァルト《魔笛》が飾る。これは、南アフリカ出身のヴィジュアルアーティストで、世界のオペラ界でセンセーションを巻き起こしているウィリアム・ケントリッジのプロダクション。2005年、大野が音楽監督時代のモネ劇場を皮切りに、スカラ座(今回の指揮は同劇場公演を振ったローラント・ベーア)ほか十数の劇場で上演され、3Dを思わせる映像効果と相まって人気を呼んでいる。 「ダブルビル」の第1弾は、共にフィレンツェを舞台にした、ツェムリンスキー《フィレンツェの悲劇》とプッチーニ《ジャンニ・スキッキ》。耽美的な悲劇とシニカルな喜劇を、日本屈指のオペラ指揮者・沼尻竜典と売れっ子演出家・粟國淳のタッグで堪能できる。世界的スター、セルゲイ・レイフェルクス、カルロス・アルバレスの出演も要注目。なお本公演は、今後のダブルビルへの礎でもあるという。 そしてプッチーニ《トゥーランドット》。東京オリンピックに向けた大型企画『オペラ夏の祭典2019-20』の第1弾として、東京文化会館と初めて共同制作し、びわ湖ホール、札幌文化芸術劇場とも連携する、まさに「東京発」の舞台だ。大野がバルセロナ交響楽団を指揮し、バルセロナ・オリンピックの開会式を手がけたアレックス・オリエが演出。共に各地で同役を歌っているイレーネ・テオリン、ジェニファー・ウィルソン(大野いわく『世界のトップ2』)のトゥーランドット、世界の第一線で活躍するサイモン・オニール、テオドール・イリンカイのカラフなど、豪華キャストも目を奪う。世界で活躍する藤村実穂子、脇園彩も登場 再演6演目には、フランス、イタリア、ドイツの人気作がバランスよく並ぶ。ビゼー《カルメン》は、情熱的な美貌の“カルメン歌い”ジンジャー・コスタ=ジャクソンの初出演、ヴェルディ《ファルスタッフ》は、イタリア・オペラにおける現代の代表格で、METの今シーズン開幕の《ノルマ》も振ったカルロ・リッツィの指揮、ワーグナー《タンホイザー》は、共にバイロイト音楽祭でタンホイザー、ヴォルフラムを歌ったトルステン・ケールとローマン・トレーケルの出演、マスネ《ウェルテル》は、日本が誇る藤村実穂子のシャルロット・デビュー、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》は、イタリアの俊英フランチェスコ・ランツィロッタの指揮と、スカラ座はじめイタリアの歌劇場を席巻する脇園彩の初登場(ドンナ・エルヴィーラ役)、プッチーニ《蝶々夫人》は、フィレンツェやシアトルなど各地で歌っている佐藤康子のタイトルロール…と、それぞれが話題性に富んでいる。 大野体制の新シーズンは新鮮な魅力満載。見逃せない舞台ばかりだ。《ウェルテル》2016年公演より 提供:新国立劇場 撮影:寺司正彦新国立劇場オペラ2018/19シーズン10月《魔笛》、11/12月《カルメン》、12月《ファルスタッフ》、2019年1/2月《タンホイザー》、2月《紫苑物語》、3月《ウェルテル》、4月《フィレンツェの悲劇/ジャンニ・スキッキ》、5月《ドン・ジョヴァンニ》、6月《蝶々夫人》、7月《トゥーランドット》新国立劇場オペラパレスシーズンセット券:3/31(土)まで先行受付一般発売:6/23(土)から順次販売問 新国立劇場ボックスオフィス03-5352-9999http://www.nntt.jac.go.jp/opera/《魔笛》 ©Elisabeth Carecchio - Festival d'Aix-en-Provence 2009サイモン・オニールテオドール・イリンカイイレーネ・テオリンジェニファー・ウィルソン
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