eぶらあぼ 2018.3月号
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190CDCDCDCDストラヴィンスキー:2台ピアノのための音楽/マルク=アンドレ・アムラン&レイフ・オヴェ・アンスネス「ナゼルの夜会」2017/斎藤雅広フォニックス・マリンバオーケストラⅡ/上野信一&フォニックス・レフレクション山崎伸子チェロ・リサイタル Vol.10 with 小菅 優ストラヴィンスキー:春の祭典(2台ピアノ版)、2台ピアノのための協奏曲、マドリード(スリマ・ストラヴィンスキー編)、タンゴ(ヴィクトル・バビン編)、サーカス・ポルカ(同)マルク=アンドレ・アムラン(ピアノ)レイフ・オヴェ・アンスネス(ピアノ)スクリャービン:ワルツ変イ長調プーランク:ナゼルの夜会シューマン:謝肉祭斎藤雅広(ピアノ)ドートリー:蛍/後藤 洋:プリマ・ルーチェ/木下牧子:砂の書/新実徳英:シンフォニアM -神々の声を聴け!-/奥定美和編:4つのロシアの歌/ミヨー(安倍圭子編):スカラムーシュ/菅野よう子(奥定美和編):花は咲く上野信一(指揮)フォニックス・レフレクションマルティヌー:チェロ・ソナタ第1番/ラフマニノフ:チェロ・ソナタ、2つの小品より第1曲 前奏曲、ヴォカリーズ(M.ロストロポーヴィチ編)山崎伸子(チェロ)小菅 優(ピアノ)ハイペリオン/東京エムプラスPCDA68189 ¥2857+税ナミ・レコードWWCC-7859 ¥2500+税コジマ録音ALCD-7218 ¥2800+税収録:2017年5月、紀尾井ホール(ライヴ)ナミ・レコードWWCC-7861 ¥2700+税2台ピアノ版「春の祭典」の録音中でも最高峰の出来栄えではなかろうか。作曲者自身によるこの版を聴く醍醐味は、オケ版では大オーケストラの響きに呑まれて聴き取りにくい複層的なリズムの組み合わせの妙や埋もれがちな細部の「音」の聴取にあると思うが、録音の鮮明さと演奏の精確さも相まって、それらが過去のどの録音にも増して素晴らしくくっきりと耳に飛び込んでくる。しかも、スタジオ録音ながら尋常ではない高揚感をも併せ持ち、かつ常に洗練されている。この演奏を超えるのは容易ではあるまい。併録曲も見事、中でも「協奏曲」の音彩の多様さに瞠目。(藤原 聡)デビュー40周年を迎えた斎藤雅広による最新盤はプーランクの「ナゼルの夜会」、シューマンの「謝肉祭」という、大規模かつ多彩な性格の楽曲が連続する難曲を見事に弾きこなしたディスク。幅広いレパートリーとそれを支える強靭なピアニズム、自在に変化する音色といった魅力が爆発したものとなっている。どちらの曲集も、それぞれの曲同士で明確なコントラストが作り出されているのはもちろん、それ以上に曲集ごとの“香り”の違いに驚かされた。同じ楽器で弾いているとは思えないほどの違いが聞こえ、斎藤の傑出した様式感も存分に堪能することができる。(長井進之介)こんな響きの世界があったとは!! トゥールーズ・キャピトル管の首席打楽器・ティンパニ奏者などを歴任、ソリストとしても活躍する名匠・上野信一のもと、国内外で活躍する23人のマリンビストで組織された精鋭集団。第2弾アルバムは、委嘱作品を含むこの編成のためのオリジナルから、耳なじみのある旋律まで、多彩な7作品を取り上げた。土俗的な衝撃で、私たちのDNAに太古から刻み込まれた感覚に訴えかけたかと思えば、次には温かい音色で聴く者を包み込み、時に電子音楽のように無機質なサウンドも。変幻自在の表現は、阿吽の呼吸で一糸乱れぬアンサンブル能力あってこそ。 (笹田和人)日本屈指の実力者が、主要チェロ・ソナタを網羅すべく2007年から行ってきたライヴ&録音シリーズの完結編。ピアノは小菅優が3回目の共演を果たしている。マルティヌーのソナタは冒頭から耳を惹きつけて離さない。全体に1939年という不穏な時代の空気を反映した緊張感や迫真性が横溢。細やかなチェロと強靭なピアノが曲の真価を知らしめる。ラフマニノフのソナタもニュアンス豊かな傾聴すべき名演。中でも激しさと(楽曲及びシリーズ)締めくくりの感慨が重なる終楽章は胸に染みる。アンコール2曲の親密さも良き余韻。これは万人に聴かれるべき1枚だ。(柴田克彦)

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