eぶらあぼ 2018.3月号
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184飛躍したと思います。“飯守イズム”も浸透している。メンバーが若々しくて練習中の雰囲気も明るいし、とても可能性があるオーケストラ。ウォルトン『交響曲第1番』や伊福部昭さんの大作『サロメ』など振ってみたい。また、関西フィルでもお客さんを集める試みをいろいろやってきたので、東京でも様々な集客の工夫をしたいと思っています」 藤岡の任期は2年。就任シーズンは東京オペラシティで2回タクトを執る予定だという。 高関は「藤岡さんに初めて会ったのは渡邉暁雄先生のコンサートで、当時彼はまだ学生でした。イギリスものはとても大事なレパートリーですし、私とは全然タイプの違う指揮者に振ってもらうことはオーケストラにとっても良いことだと思います」と期待を述べた。戸澤も「イギリス音楽を系統立てて学ぶことはなかなかないので貴重な機会ですし、邦人作品をやっていくことも大事な仕事。全くキャラクターの違うお二人なので、飯守マエストロとともに3人の個性豊かな指揮者の体制となり、これからのシティ・フィルが楽しみです」と語った。東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団http://www.cityphil.jp/■N響が2018/19シーズンのラインナップ を発表 NHK交響楽団が2018/19定期公演ラインナップを発表した。ベートーヴェンの交響曲と後期ロマン派を主軸としつつ、とくに20世紀の名曲が取り上げられるのが目を引く。 首席指揮者に就任し4シーズン目となるパーヴォ・ヤルヴィは、J.シュトラウスⅡとマーラー交響曲第4番(9/15,9/16)の組み合わせで新シーズンの開幕を告げ、続いて交響詩「フィンランディア」(男性合唱付き)と交響曲「クレルヴォ」のオール・シベリウス・プロ(9/21,9/22)、「春の祭典」と幻想曲「花火」ほかオール・ストラヴィンスキー・プロ(2019.2/20,2/21)、ラフマニノフのピアノ協奏曲第2番(ソロ:カティア・ブニアティシヴィリ)とプロコフィエフ交響曲第6番(19.2/15,2/16)、ベルクのヴァイオリン協奏曲(ソロ:ギル・シャハム)とブルックナー交響曲第3番(第3稿/1889)(19.6/14,6/15)、そしてメシアンのトゥーランガリラ交響曲(19.6/19,6/20)など。 桂冠指揮者のヘルベルト・ブロムシュテットは、ブルックナー交響曲第9番(10/13,10/14)、ベートーヴェン「田園」とステンハンマル交響曲第2番の組み合わせ(10/24,10/25)、ハイドン「ロンドン」とマーラー「巨人」(10/19,10/20)。 客演指揮者では、トゥガン・ソヒエフによるリムスキー=コルサコフ「シェエラザード」とフォーレ「ペレアスとメリザンド」(19.1/16,1/17)、ヤクブ・フルシャでR.シュトラウス「ツァラトゥストラはかく語りき」とヤナーチェク「シンフォニエッタ」(19.4/13,4/14)、山田和樹によるシェーンベルク「ペレアスとメリザンド」と矢代秋雄のピアノ協奏曲(ソロ:河村尚子)(19.4/19,4/20)など。また、パーヴォの父、ネーメ・ヤルヴィが来日し、トゥビン交響曲第5番&ブラームス同第4番(19.5/17,5/18)のほかイベール「モーツァルトへのオマージュ」とサン=サーンス「オルガン付き」(19.5/22,5/23)を振るのも話題だ。NHK交響楽団http://www.nhkso.or.jp/■群響が2018/19シーズンラインナップ を発表 群馬交響楽団が2018/19シーズンラインナップを発表した。また、音楽監督2期目の最終年となる大友直人が同シーズンをもって退任することもあわせて明らかにされた。 シーズン幕開けは、フィンランドの巨匠オッコ・カム指揮のシベリウス交響曲第1番(4/21)。大友は5演目9公演を指揮。イノン・バルナタン(ピアノ)をソリストに迎えたブラームス・プロ(6/16,6/17)、エルガーのオラトリオ「神の国」(9/23)、千住明のオペラ《滝の白糸》など邦人作品プロ(11/24,11/26)、三浦文彰(ヴァイオリン)をソリストに迎えてのロシア・プロ(2019.1/26,1/27)、そして音楽監督としてのラスト公演は、レジス・パスキエ(ヴァイオリン)を迎えてのベートーヴェンとベルリオーズ「幻想交響曲」(19.3/16,3/17)。 そのほか、井上道義指揮のバーンスタイン&ショスタコーヴィチ(5/19)、尾高忠明指揮のブルックナー交響曲第9番(7/14)、秋山和慶指揮のラフマニノフ交響曲第3番(10/27)、クリストフ・アルステット指揮のドヴォルザーク交響曲第7番(19.2/16)など。ソリストにも、福間洸太朗、北村朋幹、ルーカス・ゲニューシャス、小菅優(以上ピアノ)など多彩な顔ぶれが並ぶ。群馬交響楽団http://www.gunkyo.com/■一柳 慧が日本人二人目のジョン・ケージ 賞受賞 ニューヨークのファンデーション・フォー・コンテンポラリー・アーツ(以下FCA)は、2018年度の助成芸術家19名を発表し、作曲家・ピアニストの一柳慧がジョン・ケージ賞を受賞した。日本人では、1994年の小杉武久に続き二人目の受賞となる。FCAは芸術家個人の支援を目的として、作曲家のジョン・ケージと画家のジャスパー・ジョーンズによって63年に創設された非営利組織。これまでに、アール・ブラウン、モートン・フェルドマン、メレディス・モンク、スティーヴ・ライヒなど、音楽、ダンス、詩、パフォーミング・アーツなど多岐にわたる分野において多くの芸術家への支援を行ってきた。
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