eぶらあぼ 2018.2月号
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69東京オペラシティ Bビートゥーシー→C 日にっぱし橋辰たつお朗(ホルン) ホルンの魅力を味わい尽くす一夜に文:笹田和人2/20(火)19:00 東京オペラシティ リサイタルホール問 東京オペラシティチケットセンター03-5353-9999 http://www.operacity.jp/ 卓越した美音とテクニック、しなやかな音楽性を武器に、若くして読売日本交響楽団の首席ホルン奏者に就いた日橋辰朗が、東京オペラシティのリサイタルシリーズ「B→C」に登場。バッハから現代まで、彩り豊かな作品を通じて、「ホルンでもこんなことが出来るんだという演奏を目指して、頑張っていきたい」と意気込む。 「ホルンは、オーケストラのカラーに大きな影響をもたらす楽器。音符ひとつで人を感動させられる音色を、常に目指しながら演奏しています。そして、金管特有の華やかな音から、木管楽器のような柔らかく豊かな響きまで、音色の種類がたくさんあるのも魅力。特にソロ演奏では、こうした表現の幅が生きてくると思います」 1988年、東京都出身。中学のクラブ活動でホルンを始め、東京音楽大学在学中に第26回日本管打楽器コンクール、卒業の翌年には第80回日本音楽コンクールを制した。2013年4月に日本フィルハーモニー交響楽団に入団し、同年10月には首席奏者に。15年4月に読売日本交響楽団へ移籍し、首席奏者を務めている。 リサイタルでは、まず「ホルンでの演奏は容易でなく、自分への挑戦との意味合いも…」という、バッハの「ヴィオラ・ダ・ガンバとチェンバロのためのソナタ第2番」を。そして、ヒンデミットとケーラー、マドセンのソナタ、R.シュトラウスの父フランツの手による「オリジナル・ファンタジー」、キルヒナー「3つの詩曲」を披露。とりわけキルヒナーは「現代的な奏法も数多く盛り込まれていて、きっと楽しんでいただけるはず」と語る。ピアノは松岡美絵。©読売日本交響楽団音楽で描く世界地図 ~アンセム(愛唱歌)プロジェクト Road to 2020山田和樹(指揮) 東京混声合唱団豪華な布陣で楽しむ世界の名歌文:飯尾洋一2/20(火)13:30 東京オペラシティ コンサートホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/ 2020年の東京オリンピック・パラリンピック開催に向けて、世界各国のアンセム(愛唱歌)を、演奏会やレコーディングにより可能な限り数多くとりあげていこうというのが山田和樹アンセム・プロジェクト。音楽を通じて世界各国への関心を深める興味深いプロジェクトだ。 この2月に山田和樹指揮の東京混声合唱団が披露するのは、そんなアンセムの数々。アンセムというと元来は宗教合唱曲を指しているのだが、ここではもっと平たく、みんなが折に触れて口ずさんでしまうような歌といえばいいだろうか。世界各国のナショナル・アンセム、つまり国歌に加えて、ヴェルディの〈ゆけ、わが思いよ、黄金の翼に乗って〉のような“イタリア第2の国歌”と呼ばれるオペラからの名曲もあれば、日本人にとっての愛唱歌である「気球に乗ってどこまでも」や「翼をください」「上を向いて歩こう」といった曲も歌われる。「音楽で描く世界地図」というのが今回の公演のテーマだ。曲目一覧のなかには 「Over the Rainbow」といった曲も。これなどは、もはやどの国の音楽というよりは、20世紀のグローバルなアンセムといってもいいかもしれない。 なじみ深い曲がたくさん並ぶことになるが、聴きどころは東京混声合唱団のハイクオリティな合唱でこれらの曲を聴ける、ということ。指揮に山田和樹、ピアノに10年ジュネーヴ国際コンクールで日本人初優勝の萩原麻未という豪華布陣で聴くアンセム。よく知っているはずの曲が、まったく未知の輝きを放つのではないだろうか。東京混声合唱団山田和樹 ©Yoshinori Tsuru萩原麻未 ©Akira Muto

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