eぶらあぼ 2018.2月号
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55ダニエル・ゼペック(ヴァイオリン) 無伴奏の傑作を携えて時空を超える旅へ文:寺西 肇3/7(水)19:00 トッパンホール問 トッパンホールチケットセンター  03-5840-2222 http://www.toppanhall.com/ ドイツが誇るヴァイオリンの名手が、たった1人での“真剣勝負”に挑む。覇気あふれる演奏で、聴く者すべてを魅了するドイツ・カンマーフィルハーモニーのコンサートマスターにして、アルカント・カルテットのメンバーとしても、瑞々しい音楽創りの一翼を担うダニエル・ゼペック。日本の音楽ファンからの熱い要望に応えて、バロックと現代を往き来するオール無伴奏のリサイタルを、遂に敢行する。 フランクフルト出身。1993年からドイツ・カンマーフィルのコンサートマスターを務め、ソリストとしても活躍。2002年に結成されたアルカント・カルテットでは、第2ヴァイオリンを担当し、豊かな内声を形作る。その一方で、古楽の先駆者クリストファー・ホグウッドが率いたアカデミー・オブ・エンシェント・ミュージックや、チェンバロやフォルテピアノの名手アンドレアス・シュタイアーと共演するなど、バロック・ヴァイオリン奏者としても活躍。そのしなやかな音楽性は、今がまさに“旬”と呼ぶに相応しい。 今回の無伴奏リサイタルでは、終曲「シャコンヌ」を擁するバッハ「パルティータ第2番」を“トリ”に。プログラムの中心にビーバー「ロザリオのソナタ」から、凛とした緊張感みなぎる佳品「パッサカリア」、冒頭にテレマン「12のファンタジー」から第9番を置いて、大きな枠組みを形作る。その合間には、現代作品としては異例の人気を誇るライヒ「ヴァイオリン・フェイズ」と、ベリオの傑作「セクエンツァⅧ」を挿入。時空を超える旅へと、聴衆を連れ出してゆく。 ©Marco Borggreve高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団フランスとドイツの名作に聴く華麗なる色彩美と抒情文:山田治生第313回 定期演奏会2/17(土)14:00 東京オペラシティ コンサートホール問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団常任指揮者に就任した高関健が、昨年11月に同楽団との契約を2021年3月まで延長した。同フィルは高関健の手腕によって確実に演奏水準を向上させているといえるだろう。また近年は、フルートの竹山愛、トランペットの松木亜希、ヴァイオリンの桐原宗生ら、若手の優秀な奏者の入団により、演奏がより一層魅力的なものとなっている。17年には、ブルックナーの交響曲第3番、ハイドンの「天地創造」、團伊玖磨の《夕鶴》などにその成果を残した。 この2月の定期演奏会では、ラヴェルの3つの管弦楽曲をメインに据える。ラヴェルらしいスペイン情緒と色彩の魅力が堪能できる「スペイン狂詩曲」、そして、ワルツをテーマとした「高雅にして感傷的なワルツ」と「ラ・ヴァルス」の2つの作品。これらは、オーケストラの実力を聴くには最適の音楽といえよう。高関の緻密な音楽づくりによって、東京シティ・フィルの著しい進境を聴くことができるだろう。 前半にはマティアス・キルシュネライトを独奏者に、ベートーヴェンのピアノ協奏曲第4番が演奏される。キルシュネライトは、マレイ・ペライア、クラウディオ・アラウ、ブルーノ・レオナルド・ゲルバーらに学んだ、ドイツの中堅ピアニスト。モーツァルトのピアノ協奏曲全曲を録音するなど、ドイツ、オーストリア音楽を得意としている。ここでも高関&東京シティ・フィルは、新鮮な共演を聴かせてくれるに違いない。マティアス・キルシュネライト ©Maike Helbig高関 健 ©大窪道治

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