eぶらあぼ 2018.2月号
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49朴 葵姫 ギター・リサイタル~新たなる出会い~2/23(金)19:00 紀尾井ホール問 コンサートイマジン03-3235-3777http://www.concert.co.jp/CD『Harmonia -ハルモニア-』日本コロムビア COCQ-85415¥3000+税 2/21(水)発売朴パク 葵キュヒ姫(ギター)委嘱新作を得てギターの魅力がより多彩に取材・文:片桐卓也Interview その美しい音色で聴衆を魅了するギター界の若きホープ、朴葵姫が最新録音と連動したリサイタルを開く。テーマは「ギタリストがギタリストのために書いた曲」。今回、焦点が当てられるのは現役で活躍するギタリストによる作品である。 「まだ収録したことのない現代の傑作をとりあげようと考えました。そのアイディアをプロデューサーと話している時に出てきたのが、日本で活躍するギタリストにも作品を書いてもらうということ。そこで渡辺香津美さんと押尾コータローさんに新作を依頼しました。押尾さんにとって、他のギタリストのために作品を書くのは初めてとのことでしたが、とても素敵な作品をおふたりに書いていただけて、幸せです」 他に、ローラン・ディアンス、セルジオ・アサド、アンドリュー・ヨーク、ケヴィン・カラハンの作品がアルバムには並ぶ。現代のギタリストにとって、特に若いギタリストにとって、これは演奏しておきたいという曲が満載である。ディアンス「ヴァルス・アン・スカイ」、アサド「フェアウェル」、ヨーク「サンバースト」などが並ぶ様は壮観と言えるだろう。 「カラハンさんはまだ知られていない方だと思いますが、これから必ず注目されるギタリスト。あのアサド兄弟も注目しているということで、“アサド的な美しさ”を持った作品を書く方です」 例えば、タレガ、ソル、バリオスなどの古典的とも言えるギター曲に対して、現代の作品の魅力はどのあたりに感じるのだろう。 「昔の作品は、写真で言えばモノクロームのような質感がある曲と言えるかもしれません。それに対して、現代の曲は色彩的です。例えばディアンスの作品では、ギターを打楽器的に使う場合もあるのですが、その時でも、ディアンスは『ギターのこの部分をこんな風に叩いて』とスコアに具体的な指示を書いています。その結果として、様々な音が出てくる。ディアンスもアサドもヨークも、それぞれに違った雰囲気の色彩を持っている。渡辺さんと押尾さんの委嘱作にも同じようなことが言えますね」 フォトグラファーとしてもかなりの実力を持つ朴。彼女の写真は素晴らしい構図で撮影され、一瞬の色彩の輝きを逃さない魅力がある。それと同じように、彼女の演奏も、その美しい音色だけでなく、作品を様々な角度から見て、もっとも優れた構図で音楽を奏でるという印象がある。現代の作品ではその能力がさらに発揮されるだろう。ギター・ファンのみならず、現代アートなどに関心のある方にも聴いていただきたいリサイタルである。3/11(日)14:00 第一生命ホール問 トリトンアーツ・チケットデスク03-3532-5702 http://www.triton-arts.net/クァルテット・エクセルシオ~アラウンド・モーツァルト vol.3 フィガロの結婚弦楽四重奏曲になった《フィガロの結婚》!?文:林 昌英©Naoko Ogura これは楽しいコンサートになりそう。《フィガロの結婚》の弦楽四重奏版を、クァルテット・エクセルシオの演奏で実体験できるのだ。 1994年の結成以来、日本ではレアな常設の弦楽四重奏団として活動を続けるクァルテット・エクセルシオ。この春、モーツァルトとその周辺作曲家をテーマとする第一生命ホール「アラウンド・モーツァルト」シリーズで、オペラの世界に挑む。オーストリアのメルク修道院にある編曲譜を取り寄せ、全ナンバーのうち約3分の2の曲を抜粋する。モーツァルトの器楽曲はオペラに例えられることが多いが、四重奏でオペラの音楽そのものを体験できる機会は稀少。4人が《フィガロ》の様々なキャラクターに(音で)扮してどんな舞台になるのか、期待がふくらむ。意外にもエクセルシオ未演という第22番「プロイセン王第2番」と、今回の“周辺作曲家”フンメル(幼少期にモーツァルトに師事した)の作品も注目。四重奏によるモーツァルトの新たな魅力が発見できるに違いない。

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