eぶらあぼ 2018.2月号
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168表に《ニュルンベルクのマイスタージンガー》が選ばれた」と説明、この2つのオペラには「『融和』、そして『愛』という共通点がある。葛藤を通じて、愛を掴むことに挑む《トゥーランドット》、人間として発展していく上で愛を勝ち取る《ニュルンベルクのマイスタージンガー》。まさに『発展』とその行く末の『光』、『愛』の創造、その共通点は、オリンピックとのテーマとも一致する」と続けた。 《トゥーランドット》の演出をするアレックス・オリエ、共演するバルセロナ交響楽団については「彼とはリヨン・オペラで2度共演している。オペラ界で今まさに旬の演出家で、内面に入りこんだ、本質にせまる演出ができる手腕をもっている。ぜひ日本の皆さんに紹介したい。バルセロナ交響楽団はラテン性と交響楽的なハーモニーをもっている。彼らはともにバルセロナという共通点をもち、まさしく東京オリンピックへの使者」と語った。 オリエは「東京文化会館、新国立劇場などで傑作を上演できることを大変うれしく光栄に思う。物語を変えるのではなく作品の価値観で見直し、その一方で、大都会東京のようなメガロポリスを連想させる美的要素を凝縮させたい。都市が呼び起こすイメージの数々は《トゥーランドット》のような幻想的な物語を作り上げるのに適している。時代を超えた未来的な雰囲気にしたい」と、ビデオコメントで抱負を述べた。オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World◎プッチーニ《トゥーランドット》(新制作)2019.7/12(金)〜7/14(日) 東京文化会館7/18(木)、7/20(土)〜7/22(月) 新国立劇場7/27(土)、7/28(日) びわ湖ホール8/3(土)、8/4(日) 札幌文化芸術劇場 hitaru◎ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》(新制作)2020.6/14(日)、6/17(水)東京文化会館6/21(日)、6/24(水)、6/27(土)、6/30(火) 新国立劇場(2020.7 兵庫県芸術文化センター(予定))■高関 健が静岡交響楽団のミュージック・ アドヴァイザーに就任 高関健が2018年4月から静岡交響楽団のミュージック・アドヴァイザーに就任することが発表された。任期は21年3月まで。 高関健は現在、京響常任首席客演指揮者、東京シティ・フィル常任指揮者、東京藝術大学音楽学部指揮科教授として藝大フィルハーモニア管弦楽団の首席指揮者を兼任しており、さらに18年4月から新たに、仙台フィルのレジデントコンダクター、静岡響ミュージッ■「オペラ夏の祭典2019-20 Japan  ↔Tokyo↔World」制作発表 東京2020オリンピック・パラリンピックにあわせ、東京文化会館、新国立劇場が共同で制作し、さらにびわ湖ホールと今年10月に開館する札幌文化芸術劇場が連携して「オペラ夏の祭典2019-20 Japan↔Tokyo↔World」を行う。 2019年はプッチーニ《トゥーランドット》を上演。演出は、28歳の若さで1992年バルセロナオリンピックの開会式の演出をつとめるなど、その才能が今ヨーロッパを席巻しているアレックス・オリエ。出演者には、イレーネ・テオリン、ジェニファー・ウィルソンほか名だたる歌手陣が名を連ね、バルセロナ交響楽団が初めて新国立劇場のピットに入る。2020年には、ワーグナー《ニュルンベルクのマイスタージンガー》を上演。出演はトーマス・ヨハネス・マイヤー、アドリアン・エレート、トミスラフ・ムツェックほか。今回のような都と国との文化事業の共同制作は史上初となる。 総合プロデュース・指揮の大野和士は「誰もが知っている名作を、今までにない超弩級な演出、音楽、舞台でお見せすることができると思う。そして東京発のプロダクションとして、東京都にとどまらず、日本全国、さらには外国など他のどこかの劇場へ引き継がれ、受け継がれるものを発信することを大きな柱としている。それを国際的な共同制作のなかで1つの目標としたい」との抱負を述べた。 作品については、「東京都と話をすすめた結果、オペラを五大陸にみたてて構想しようということになり、アジア代表として《トゥーランドット》、ヨーロッパ代2017年12月21日会見から 左より畠山茂房(札幌文化芸術劇場 hitaru 専務理事)、山中 隆(びわ湖ホール 館長)、村田直樹(新国立劇場 常務理事)、大野和士(総合プロデュース・指揮)、樋口 桂(東京文化会館 副館長)、堀越弥栄子(東京都 生活文化局魅力発信プロジェクト 担当部長)Photo:M.Terashi/Tokyo MDE

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