eぶらあぼ 2018.1月号
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68新日本フィルハーモニー交響楽団 ニューイヤー・コンサート2018 in すみだ曳舟 落語&オーケストラ笑いと名曲がてんこ盛りのコンサート文:オヤマダアツシ1/4(木)15:00 曳舟文化センター・劇場ホール問 トリフォニーホールチケットセンター03-5608-1212 http://www.triphony.com/ 新春はまず大いに楽しみ、大いに笑うべし。そんな声が聞こえてきそうなのは、すみだトリフォニーホール主催のニューイヤー・コンサート「落語&オーケストラ」だ。新日本フィルハーモニー交響楽団の演奏と、注目の落語家による一席を組み合わせたプログラムは、まさに東京の下町気質を形にしたようなもの。毎年好評のスペシャル・コンサートであり、2018年も福を呼び込んでくれる。 円光寺雅彦指揮のオーケストラによる演奏は、新年に欠かせないウィンナ・ワルツ&ポルカや、誰もが楽しめるルロイ・アンダーソンの粋な小品たち。さらには注目のソプラノ歌手である鷲尾麻衣が登場し、その美声でオペレッタやミュージカルナンバー、J.シュトラウスⅡのワルツ「春の声」などを披露してくれる。新日本フィルは前日にも「ニューイヤー・コンサート」を行うが、客席の雰囲気も異なるため演奏のノリも違ってくるだろう。 コンサートの前半は、お楽しみ落語会。今回は落語家生活40周年を迎えるという三遊亭歌之介(三代目・三遊亭圓歌の門下)が高座へ上がり、話芸の極みを披露してくれる。演目は足を運んでのお楽しみだが、古典から新作まで幅広いレパートリーをもつ師匠だけに、開けてうれしいお年玉袋! といった楽しみがあるはずだ。 なお会場は「すみだトリフォニーホール」…ではなく、東京スカイツリーを見上げる街にある「曳舟文化センター」なので、新年早々お間違えありませんよう!鷲尾麻衣第15回 ヘンデル・フェスティバル・ジャパン オラトリオ「テオドーラ」(演奏会形式)聴きどころ満載、ヘンデル円熟期の“自信作”文:寺西 肇1/14(日)15:30 浜離宮朝日ホール問 HFJ事務局0297-82-7392 http://www.handel-f-j.org/ 大作曲家ヘンデルの多彩な作品を紹介することを目的に、2003年にスタートした「ヘンデル・フェスティバル・ジャパン(HFJ)」。15回目は、作曲者自身が「ほかのどの作品よりも、優れている」と評したオラトリオの傑作「テオドーラ」(全3部)を、HFJ実行委員長でヘンデル研究の第一人者、三澤寿喜の指揮で全曲上演する。 当作は1749年、ヘンデルが64歳の時に作曲。翌年3月16日にロンドンのコヴェント・ガーデン王立劇場で初演された。ローマ帝国期の4世紀、現在のトルコにあたるアンタキアの王女テオドーラが囚われの身となり、救出を試みた恋人ディディムスと共に、結局は信仰に殉じる崇高な姿を描く。 「情感豊かな独唱と重唱、立体的で奥行きのある四声合唱。簡潔ながら表現力豊かな管弦楽。どれをとっても、最高の完成度を誇る円熟期の傑作」と三澤は評する。ヘンデル本人も、特に第2部を締め括る合唱曲について、有名な「ハレルヤ」よりも「はるかに優れている」と自負。他にも“嘆きのアリア”や“別れの二重唱”など、特に第2部には名旋律が多い。 キャストは、ソプラノの阿部早希子(テオドーラ)、アルトの山下牧子(ディディムス)と主役の女性歌手2人をはじめ、メゾソプラノの波多野睦美(キリスト教徒の女イレーネ)、バスの牧野正人(総督ヴァレンス)、テノールの辻裕久(ディディムスの友人セプティミウス)ら古楽唱法に長けた実力派ばかり。管弦楽のキャノンズ・コンサート管弦楽団もコンサートマスターの川久保洋子、首席チェロ奏者の懸田貴嗣ら、欧州の主要アンサンブルでも活躍する、オリジナル楽器の精鋭が顔を揃える。左より:三澤寿喜/阿部早希子 ©Makoto Nakashima/山下牧子/波多野睦美 ©Hideya Amemiya/牧野正人/辻 裕久三遊亭歌之介円光寺雅彦 ©三浦興一
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