eぶらあぼ 2018.1月号
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66朝川万里 CD発売記念リサイタル1/26(金)19:00 杉並公会堂(小)問 カメラータ・トウキョウ03-5790-5560http://www.camerata.co.jp/CD『The Flow of Music』CENTAUR/輸入盤CRC3646 ¥オープン朝川万里(ピアノ)エリオット・カーターの魅力を伝えたい取材・文:長井進之介Interview 現代音楽を中心に多彩な演奏活動を行っている朝川万里。ジュリアード音楽院とエール大学大学院で学んだあとにイタリアに渡り、ミケランジェリの高弟であるブルーノ・メッツェーナに師事した。現在は、今年没後5年を迎えたアメリカの作曲家、エリオット・カーター(1908-2012)の作品の普及に尽力している希有なピアニストだ。今回『The Flow of Music』と題したアルバムをリリースする。 「日本では“アメリカ音楽”といえばケージやライヒが主流ですが、1960年代に彼らの音楽が日本に入ってきたころ、アメリカではカーターや今回CDに一緒に収録したミルトン・バビット(1916-2011)といった作曲家が主流だったのです」 カーターやバビット作品の演奏には高度な運動神経や卓越したリズム感を求められ、聴く側にも複雑な響きの連続が与えられるため、どうしても“難しい”という印象は受けてしまう、と朝川は話す。 「いきなり聴いて理解する、というのはやはり難しいです。ですから様々なレクチャーコンサートを行い、彼の音楽の大きな特徴である“流れの音楽”、そして特別な響きを、演奏家の観点から説明しています。彼の音楽には、その複雑さの中に人間らしい感情の表現や色彩が宿っているので、それを伝えたいのです」 カーターの音楽を特徴づける“流れの音楽”とは、どのようなものなのだろうか。 「複雑な要素や響き、困難な技術などが密接に融合することで、息の長い、感情豊かなフレーズの流れを創り出していくのです。演奏中、絶えず音楽が進化し続けていくような感覚があります」 この“流れの音楽”の特徴も含め、カーターやバビットといった作曲家の作品とその魅力をもっと味わえるよう、1月に開催されるリサイタルではプレトークも行われる。登壇者の音楽学者ジョン・リンクはカーター研究の第一人者だ。 「アメリカでは最近カーター研究が盛んに行われています。研究の最前線にいて、ご自身も作曲家であるリンクさんのトークが、作品を楽しむ重要なヒントを示してくださるはずです。どうしても“複雑”という言葉と切り離せないカーターの作品ですが、聴いてくださる方には、ぜひ“流れ”に身を任せ、自然体で楽しんでいただきたいですね」 今回、リサイタルの演目は、アルバム収録曲を入れつつ構成した。カーターの「2つのダイヴァージョン」「マトリビュート」、バビットの「ポスト・パーティション」ほか。 カーターは亡くなったその年に朝川の演奏を聴き、絶賛の言葉を贈った。今回朝川がリリースするCDもエリオット・カーター財団からの助成を受けているが、これはカーターが彼女の演奏に大きな感動を受けたことに由来するもの。今回のリサイタルとCDは、カーター作品の神髄を存分に堪能できる貴重なものとなるはずだ。1/14(日)14:00 すみだトリフォニーホール問 プロアルテムジケ03-3943-6677http://fs-tokyo.minim.ne.jp/第40回 日本フルートフェスティヴァル in 東京ハートフルなフルート・サウンドを満喫文:笹田和人梅田俊明 ©三浦興一 プロ・アマチュアを問わず、フルートを愛する者が一堂に会し、共に音楽を楽しむ場として、毎年1月に開催されている「日本フルートフェスティヴァル in 東京」。40回目の節目を迎え、会場は例年にも増して、“奏でる喜び”に溢れた笛の音で満たされる。 同フェスティヴァルは、1979年にスタート。フルートオーケストラによる演奏を軸に、開催が続けられている。今回は、仙台フィル常任指揮者などを歴任し、国内外の第一線オーケストラからの信頼も厚い、梅田俊明が指揮。参加奏者や聴衆が、存分に楽しめるプログラムが用意されている。 まずは、プロ、アマチュア、ジュニアが揃い、パイプオルガンを交えて、エルガー「威風堂々」第1番で幕開け。そして、アマチュアがチャイコフスキーの組曲「眠りの森の美女」から2曲、ジュニアがハチャトゥリアン「剣の舞」などを演奏する。そして、プロ奏者によるオーケストラが、ショスタコーヴィチ「祝典序曲」とモーツァルト「交響曲第40番」を披露。最後は、客席も一体となって、再び「威風堂々」で締め括る。Photo:Tomoyo Suzumura

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