eぶらあぼ 2018.1月号
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57ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団 ニューイヤー・コンサート1/15(月)19:00 サントリーホール問 ジャパン・アーツぴあ03-5774-3040 http://www.japanarts.co.jp/※ワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団の来日ツアーの詳細は上記ウェブサイトでご確認ください。ニコライ・ホジャイノフ(ピアノ)大切なのは感じたままに演奏すること取材・文:高坂はる香Interview 2010年ショパン国際ピアノコンクールでの演奏で、多くのピアノファンの心をとらえたロシアのニコライ・ホジャイノフ。このとき本選で共演したワルシャワ国立フィルと、1月に再びショパンのピアノ協奏曲第1番を演奏する。指揮はヤツェク・カスプシック。 当時18歳だった彼も今や20代半ば。世界各地のオーケストラとショパンを共演する経験を重ね、作品への理解を深めてきた。 「天才の手による真のマスターピースは、書かれた瞬間から作品自身が生きているので、演奏のたびに自然と新しい表現を見つけることができます。そうして発見したハーモニーや抑揚を試していくことは、喜びです」 ホジャイノフの弾くショパンの魅力の一つは、独特の歌いまわしで表現する詩情にある。その絶妙なゆれをどう掴んでいるのだろうか。 「ショパンの音楽は、よくベッリーニのオペラで聴かれる、永遠に続くかのような長いメロディラインと比べて語られます。ルバートしながら自由に感情を伝えるなかでも、全体の流れが常に見えていなくてはいけません。新しい表現を目指すあまり、毎秒ごとに“心を胸から取り出す”ような抑揚をつけてしまえば、全体の構造が壊れてしまいます。大切なのは、何かを人工的に作ろうとせず、感じたまま演奏すること。そこに嘘や作りものがあれば、聴き手に受け入れられません」 もう一つ彼の演奏の特徴として挙げられるのは、繊細に鳴らされるピアニッシモ。大きなホールですみずみまで届く細やかな音を鳴らすには、相当なテクニックと勇気が要りそうだ。 「やわらかい音を聴き手に届け、特別な空気をつくることには大きな意味があると思います。その楽器で可能な限界を超える静かな音を鳴らすことができたとき、音楽はすばらしいものになるのです」 音楽以外で今一番興味があるのは、文学や言語だというホジャイノフ。日本文学も読み、最近は舞台から日本語で挨拶をして聴衆を驚かせることもある。そんな彼に、日本文学に親しむことで、ショパンが日本で人気を集める理由について気づいたことはないか尋ねてみた。 「日本人は繊細な心の持ち主。『平家物語』の荒々しい性格を持つ登場人物でさえ、最期に美しい辞世の句を詠むのですから。人生や過去の記憶の美しさを大切にする感性を持っているのでしょう。そこにショパンと通じるものを感じます」 言語を学ぶことは、「複雑な世界を考えるうえで、今まで想像しなかった新しい地平を開いてくれる」そうだ。新年のサントリーホールでは、我々の心に寄り添う繊細なショパンを届けてくれることだろう。また、コンサートでは、パデレフスキ「序曲」とドヴォルザーク「新世界」交響曲もとりあげられる。五島記念文化賞 オペラ新人賞研修記念党とう 主ちから税 バリトンリサイタル ソロ&オペラ《スザンナの秘密》シリアスなアリアからコミカルなオペラまでを一晩で披露文:笹田和人 2007年に第18回五島記念文化賞オペラ新人賞を受賞、存在感ある立ち姿と高い歌唱力、幅広いレパートリーで、今やわが国オペラ界のホープとして、国内外の檜舞台で活躍するバリトンの党主税。ヴォルフ・フェラーリ《スザンナの秘密》全曲をはじめ、名旋律を満載したリサイタルで、充実の“いま”を歌う。 福岡県出身。信州大学教育学部心理臨床科を卒業し、同大音楽科声楽研究生に。文化庁研修員や五島記念文化財団の奨学生としてミラノに学び、藤原歌劇団の《イル・カンピエッロ》でデビュー、以後は重要な役どころを好1/20(土)18:30 トッパンホール問 日本オペラ振興会チケットセンター03-6721-0874 http://www.gotoh-mf.or.jp/演。17年2月にはトリエステのヴェルディ歌劇場で《ジャンニ・スキッキ》のシモーネ役を演じ、好評を博した。 《スザンナの秘密》は、党静子(スザンナ)と柴山秀明(サンテ)が共演。松本重孝の演出、仲田淳也指揮による小編成のアンサンブルを伴い、妻スザンナの“秘密”に振り回される夫ジルをコミカルに演じる。これに先立ち、仲田のピアノ伴奏でトスティ「魅惑」やイタリア・オペラの名アリアも披露する。
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