eぶらあぼ 2018.1月号
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184サラマンカホールの2018年は、国際的に注目される、気鋭の田中祐子指揮中部フィルがおくる「音楽の福袋」で幕開け。ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界より」で新春の訪れを告げ、ソプラノ伊藤晴(はれ)を迎えてのジーツィンスキ「ウィーン、わが夢の街」ほか名歌や、J.シュトラウスⅡらのワルツ・ポルカなどを楽しむ。開場の際には、鏡開きが行われ、振る舞い酒も用意。お祝い気分を盛り上げる。東京藝大やベルリン国立音大に学び、1961年に東京でリサイタル・デビュー以来、特にシューベルトのスペシャリストとして第一線を走り続けるピアノの辛島輝治が、80歳の傘寿を迎えた。記念のステージでは、賛助出演の盟友・大谷康子と共に、若きシューベルトの意欲作「ヴァイオリン・ソナタ」を披露。長く東京藝大で後進の指導に力を注いだ名匠だけに、後半は、寺嶋陸也ら12人の門下生がソロの熱演で華を添える。2011年に青山音楽賞新人賞を受賞した、ヴァイオリンの上敷領藍子。大阪府出身、東京藝大・同大学院を経てオランダ・マーストリヒト音楽院を首席で卒業し、イタリアのバルレッタ国際音楽コンクールを制するなど、数々の登竜門で実績を重ねた。ピアノの吉武優を伴ってのバッハとブゾーニの第2番、バルトークの第1番、3つの名ソナタにハチャトゥリアン「アシュグを讃えて」で、受賞による研修成果を披露する。わが国を代表するオペラ指揮のスペシャリストにして、藤沢市民オペラ芸術監督の園田隆一郎がピアノと解説を担当し、傑作の“聴きどころ”を紐解く好評シリーズ。今回は、ソプラノの光岡暁恵とテノールの樋口達哉を迎え、「女心の歌男心の歌」と題して。ドニゼッティ《ランメルモールのルチア》より狂乱の場、ヴェルディ《リゴレット》より〈慕わしい人の名は〉〈女心の歌〉など名旋律から、その機微に迫る。三鷹市在住の実力派ピアニスト、中川賢一が中心となって贈る家族全員で楽しめるコンサート。ヴァイオリン神谷未穂、チェロ丸山泰雄、木管五重奏の“風の五重奏団”がムソルグスキーの組曲「展覧会の絵」を、市内の子どもたちが事前に中川の演奏を聴いて描いた絵と共に。他にも、エルガー「愛のあいさつ」など、親しみやすい旋律が満載。前日には、中川と神谷による、乳幼児が入場可能なステージも。日本のブラス・シーンをリードし続ける精鋭集団・東京佼成ウインドオーケストラ。2018年の最初の定期は、オランダの名匠ユベール・スダーンを指揮に迎えて。ビゼー《カルメン》の第1・第2組曲(大橋晃一編)にチャイコフスキー「スラブ行進曲」(同)、副コンサートマスターの宮村和宏をソリストに、オスカー・ナバッロのオーボエ協奏曲「レガシー」を披露。情熱と甘美の調べに、ホールが満たされる。月の1辛島輝治(ピアノ)傘寿記念演奏会~門下生とともに~上かみしきりょう敷領藍あいこ子(ヴァイオリン) 2011年度青山音楽賞新人賞受賞研修成果披露演奏会東京佼成ウインドオーケストラ第137回定期「情熱 スダーンのカルメン」田中祐子(指揮) 中部フィルハーモニー交響楽団 岐阜ニューイヤーコンサート2018「音楽の福袋」ニューイヤーファミリーコンサート2018展覧会の絵園田隆一郎のオペラを100倍楽しむ方法Vol.6 ~女心の歌 男心の歌~1/4(木)12:30 浜離宮朝日ホール1/14(日)14:00 京都/青山音楽記念館バロックザール1/13(土)14:00 東京芸術劇場 コンサートホール1/7(日)14:00 岐阜/サラマンカホール1/20(土)14:00(0歳以上)、1/21(日)15:00(小学生以上) 三鷹市芸術文化センター 風のホール1/14(日)15:00 藤沢市民会館(小)文:笹田和人ユベール・スダーン ©F.Fujimoto宮村和宏 ©おのしの田中祐子 ©sajihideyasu伊藤 晴 ©Katsuhiko Kimura©Ray Yamaguchi 2017光岡暁恵 ©Flavio Gallozzi樋口達哉 ©Fukaya Yoshinobu中川賢一 ©Shuhei NEZU神谷未穂
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