eぶらあぼ 2018.1月号
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164CDCDCDSACDストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」 他/バッティストーニ&東京フィルシューベルト:アルペジオーネ・ソナタ、ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ/店村眞積寺内園生 On the Sky/印田千裕&安田正昭ショスタコーヴィチ:交響曲第5番/小林研一郎&ロンドン・フィルストラヴィンスキー:バレエ音楽「春の祭典」バーンスタイン:「ウエスト・サイド物語」より「シンフォニック・ダンス」アンドレア・バッティストーニ(指揮)東京フィルハーモニー交響楽団シューベルト:アルペジオーネ・ソナタ/ヴュータン:ヴィオラ・ソナタ、エレジー/ショスタコーヴィチ:ヴィオラ・ソナタ/バルトーク:「44の二重奏曲」より店村眞積 川﨑雅夫(以上ヴィオラ)練木繁夫 フリードリッヒ・ヴィルヘルム・シュヌアー(以上ピアノ)寺内園生:プシュケの肖像、On the Sky、Passion、Active、Love、Talk、Tango Solo、ナルシス、Connection for Hope印田千裕 竹内 弦(以上ヴァイオリン)横畠俊介(ヴィオラ)印田陽介(チェロ)安田正昭(ピアノ)ショスタコーヴィチ:交響曲第5番 ニ短調小林研一郎(指揮)ロンドン・フィルハーモニー管弦楽団収録:2017年5月、東京オペラシティ コンサートホール(ライヴ) 他日本コロムビアCOCQ-85378 ¥3000+税マイスター・ミュージックMM-4022-23(2枚組) ¥3900+税収録:2016年9月、東京文化会館(小)(ライヴ) 他マリーコンツェルトMLKT26002 ¥2500+税オクタヴィア・レコードOVCL-00651 ¥3800+税粗野と洗練、豪胆さと繊細な目配りを両立させた見事な「ハルサイ」。ルバートを利かせて自由さを演出する「序奏」、強烈な追い込みの「大地の踊り」、改訂版にしかないティンパニの打音を強調するかのような特異な「祖先の霊の喚び出し」、「生贄の踊り」でのトロンボーンのグリッサンドなど細部の「読み」が非常に面白いのだが、それが単なる「効果」に終わっておらずに楽曲の構成と野趣を上手く表出している。「シンフォニック・ダンス」では「マンボ」での狂騒、「フィナーレ」での抒情が聴きもの、このコントラストの妙。さすが、バッティストーニだ。         (藤原 聡)2017年に楽壇生活40周年を迎えたヴィオラ界の第一人者、店村眞積によるシューベルトとショスタコーヴィチの名ソナタを中心とした記念盤。前者は00年(ピアノ:練木繁夫)、後者は1994年(同:シュヌアー)の録音。独特の美音と名技に加え、前者のあたたかい歌と深い味わい、後者の集中力と鋭い切れ味も印象的で、店村の破格の名手ぶりがよくわかる代表的録音である。ヴュータンの佳品での粋な表現と技巧もあざやか。90年頃までは自身の演奏に様々な葛藤があったと店村は語っているが、当録音はそれを乗り越えた心底からのヴィオラへの愛と、瑞々しい覇気に満ちていて感動的。 (林 昌英)寺内園生はドイツに学び、器楽曲を中心に、繊細で透明感あふれる魅力的なサウンドを紡ぐ女性作曲家。大空へと消えた『星の王子様』の作家サン・テグジュペリの航跡を追ったタイトル作をはじめ、当盤に収録された9つの作品は、変幻自在に色彩を移ろわせて、ある時は聴く者の心に平穏な凪をもたらし、ある時はさざ波を立てる。普段からデュオ活動にも力を入れる印田千裕(ヴァイオリン)&陽介(チェロ)姉弟による情感溢れる演奏は、両手をいっぱいに広げ、これらの作品を抱きしめるかのよう。安田正昭(ピアノ)ら共演陣も、2人の想いをしっかりと受け止めた快演で応える。  (笹田和人)チャイコフスキー交響曲全集に続くコバケン&ロンドン・フィルのロシア音楽シリーズ第1弾。ショスタコーヴィチの5番は、コバケンにとって、1999年名古屋フィルとの録音以来2枚目となる。これはスタジオ録音ということもあってか、遅めのテンポで丁寧に彫琢された完成度の高い演奏だ。じっくりと運びながら、細部をクリアに表出していく方向性は、速い部分においても不変。ロンドン・フィルの巧みさを生かして名匠が円熟の手腕を発揮した、ある意味新鮮なショスタコといえるだろう。中でも冴え冴えとした第3楽章は聴き応え十分。鮮明な録音も特筆される。  (柴田克彦)

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