eぶらあぼ 2018.1月号
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160CDCDCDCDシューベルト:八重奏曲/ベルリン・フィル八重奏団ショパン:バラード&スケルツォ全曲/佐藤卓史リスト:ソナタ ロ短調/浅田真弥子花の歌~フランス・オペラ・アリア集/ヨナス・カウフマンシューベルト:八重奏曲ヘ長調 D.803ベルリン・フィル八重奏団【樫本大進 ロマーノ・トマシーニ(以上ヴァイオリン) アミハイ・グロス(ヴィオラ) クリストフ・イゲルブリンク(チェロ) エスコ・ライネ(コントラバス) ヴェンツェル・フックス(クラリネット) シュテファン・ドール(ホルン) モル・ビロン(ファゴット)】ショパン:スケルツォ第1番~第4番、バラード第1番~第4番佐藤卓史(ピアノ)リスト:ソナタ ロ短調、コンソレーション第3番、愛の夢第3番、3つの演奏会用練習曲第3番「ため息」、リゴレット・パラフレーズ浅田真弥子(ピアノ)グノー:《ロメオとジュリエット》/マスネ:《ル・シッド》《ウェルテル》《マノン》/トマ:《ミニョン》/ビゼー《カルメン》《真珠採り》/ベルリオーズ《トロイアの人々》他からのアリア、二重唱ヨナス・カウフマン(テノール)ソーニャ・ヨンチェヴァ(ソプラノ)リュドヴィク・テジエ(バリトン)ベルトラン・ド・ビリー(指揮) バイエルン国立管弦楽団Wisteria ProjectBPOC-0001 ¥3000+税ナミ・レコードWWCC-7856 ¥2500+税収録:2017年10月、金沢市アートホール(ライヴ)シャッツグレーバーSHZ-I02 ¥2315+税ソニーミュージックSICC-30461 ¥2500+税2013年に半数のメンバーが交代し、樫本大進も加わった新生ベルリン・フィル八重奏団の初録音。同グループの看板たる八重奏曲の録音も19年ぶりとなる。これは最高のレベルでバランスのとれた堂々たる名演だ。各奏者が名人芸を発揮すると同時に、同一楽団のメンバーならではの均質性も保たれ、交響曲的なスケール感と室内楽の滋味の共生が成就されている。第2楽章のしみじみとした味わい、第3楽章の弾力的なリズム、第6楽章冒頭部の精緻な造作、そして中心をなすクラリネットの美しさなど、聴きどころも多数。現代における同曲の見事なスタンダード! (柴田克彦)ショパンのバラード4曲とスケルツォ4曲を、それぞれにまとめることなく混ぜて作曲年代順に並べるという、ありそうであまりないアルバム。ハノーファーとウィーンで長らく学んだ佐藤卓史には、ドイツものを得意とするという印象があるが、ショパンのこうした規模が大きめの作品を弾くと、持前の緻密な音楽の構築力が光る。落ち着いていながら豊かな情感を持つクリアな音とともに、一つひとつの作品に込められた物語が歌われていく。特にバラード第4番では、音楽が確かな足取りで盛り上がってゆくドラマ展開に、誠実に作品に向き合うピアニストの姿勢が表れているようで心地よい。(高坂はる香)浅田真弥子は桐朋学園大学卒業後、フランスでキャリアを積み、国内外で演奏活動を展開するピアニスト。リストをはじめとするロマン派、ドビュッシーなどフランスものを得意とする彼女は、「コンソレーション」や「ため息」といった作品では終始やわらかい音色を保ちながら、タッチの濃淡を活かして多彩な歌を聴かせる。ディスクの核となる「ピアノ・ソナタ ロ短調」ではその豊かな音色をさらに発揮。次々と移り変わる場面を明確に弾き分け、繊細さはもちろん、時に驚くような力強さも見せることで、作品に込められた文学的な要素を鮮やかに描き出している。     (長井進之介)年明けの来日公演も楽しみなスター・テノールの新譜。華麗なるフランス・オペラの名アリア尽くしであり、音楽学校時代に初めて仏語で歌った《ル・シッド》の曲、2001年にトゥールーズで挑戦した初のフランスものの大役《ミニョン》のヴィルヘルム、その9年後にオペラ・バスティーユに初登場して絶賛を浴びた《ウェルテル》…と輝かしいキャリアを辿ることができる1枚。練習はしたが舞台では歌えなかった《トロイアの人々》のエネーやリュドヴィク・テジエとの《真珠採り》、ソーニャ・ヨンチェヴァとの《マノン》も必聴。読み応えあるブックレットも国内盤の魅力。 (東端哲也)

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