eぶらあぼ 2018.1月号
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152 また、10年からゴールデンウィーク期間中に続けていた「ラ・フォル・ジュルネびわ湖」を終了し、沼尻プロデュースによる「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」をスタート。初回は有料・無料あわせて約70公演を予定している。「ラ・フォル・ジュルネではなく、34年前に僕らが企画した、母校の桐朋の学園祭がモデル」と沼尻。「聴衆はもちろん、演奏家にも良い思い出となるものに。“ここでしか聴けない”を意識し、音楽祭がホールの新しい顔になれば」と語る。 そのほか、オペラ公演では、日生劇場とのモーツァルト《魔笛》や、新国立劇場と提携してのプッチーニ《トスカ》、イタリア・バーリ歌劇場を招いてのヴェルディ《イル・トロヴァトーレ》公演など、国内外の団体との連携を推進。初心者向けのシリーズ「びわ湖ホール オペラへの招待」では、モーツァルト《ドン・ジョヴァンニ》と、林光《森は生きている》を取り上げる。取材・文:寺西 肇びわ湖ホールhttp://www.biwako-hall.or.jp/■「大阪4大オーケストラの響演」会見 大阪国際フェスティバル「大阪4大オーケストラの響演」(2018.4/21)は4年目を迎え、今回で完結することになった。17年11月24日、大阪で記者懇談会が行われ、4人のマエストロが登壇した。まずそれぞれの指揮者がこれまでの体験(特に若い頃、同席の先輩指揮者にお世話になったことなど)と演奏への意気込みを語った。 エルガーの序曲「南国にて」を指揮する尾高忠明(18年4月より大阪フィルハーモニー交響楽団音楽監督に就任)は、「この曲はイタリアで着想を得た曲で、ウェールズ民謡も取り入れ、ノスタルジーを感じ■びわ湖ホールが2018年度自主事業 ラインナップを発表 滋賀県立芸術劇場びわ湖ホールが2018年度に行う自主公演のラインナップが出揃った。指揮者で同ホール芸術監督の沼尻竜典、山中隆館長、馬淵英明・事業部長が出席しての記者発表が、17年11月22日に同ホールで行われた。 オープンから20周年の新シーズン。進行中のワーグナー《ニーベルングの指環(リング)》全4部作の上演は第2日《ジークフリート》を迎え、新たに「近江の春 びわ湖クラシック音楽祭」をスタートさせるなど、充実の内容だ。 「オペラ公演では完売も続くなど、売り上げはお陰様で好調。さらなる挑戦を続け、県内外の方々に『あって良かった』と思っていただけるホールにしたい」と 山中館長はあいさつ。企画発表にあたり、馬淵事業部長は「特に、《ジークフリート》の上演、20周年記念のマーラー『千人の交響曲』、新たな音楽祭の開催、国内外の団体との連携、の4点が軸となる」と前置きした。 「ホールのスタッフ全員で、マラソンをしているよう」と苦笑しつつも、やり甲斐を滲ませる沼尻。《ラインの黄金》に続く、《ジークフリート》の上演について「ミヒャエル・ハンペの大胆な演出には賛否両論あるが、全国のオペラ・ファンの議論を巻き起こした意義は大きい。今回も所属団体を超えたキャスティングで臨み、『オペラはどうあるべきか』の理想を追求してゆく」と語る。 そして、20周年記念公演として、マーラーの交響曲第8番「千人の交響曲」を沼尻指揮の京都市交響楽団、びわ湖ホール声楽アンサンブルほかで演奏。沼尻は「オペラ・ガラだろうとの予想を裏切って…」と笑みを浮かべながら「これまでのびわ湖ホールのプロダクションに貢献してきた8人のソリストを人選。十分にガラ的な要素も含んだ記念公演になると思う」と自信を見せる。会見から 左より:尾高忠明、藤岡幸夫、飯森範親、外山雄三 写真提供:朝日新聞文化財団会見から 左より:馬淵英明、山中 隆、沼尻竜典 写真提供:びわ湖ホール

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