eぶらあぼ 2017.12月号
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59ジョナサン・ノット(指揮) 東京交響楽団ホルン奏者達が大活躍のコンサート文:江藤光紀第656回 定期演奏会12/2(土)18:00 サントリーホール問 TOKYO SYMPHONY チケットセンター044-520-1511 http://tokyosymphony.jp/第104回 新潟定期演奏会12/3(日)17:00 りゅーとぴあ新潟市民芸術文化会館 コンサートホール問 りゅーとぴあチケット専用ダイヤル025-224-5521 http://www.ryutopia.or.jp/ 東響とエッジの効いた熱演を繰り広げている知性派指揮者ジョナサン・ノット、そのコンサートは毎回選曲にもこだわっている。ノットは現代音楽を専門とするアンサンブル・アンテルコンタンポランの音楽監督も務めたほどコンテンポラリーにも強く、プログラミングの妙との合わせ技で私たちの現代音楽食わず嫌いを解消してくれる。 今回はホルンをテーマに、“ノット・マジック”が炸裂しそうだ。1曲目はリゲティ「ハンブルク協奏曲」。オーケストラのホルン・セクションはナチュラルホルンで純正調の和音を作るが、これが平均律に調律されたソロのホルン(ソロ:クリストフ・エス)とオーケストラの間に調子外れなうねりを作り出す。奇抜なアイディアで管弦楽を面白く聴かせることにかけて、リゲティの右に出るものはいない。ぜひそのユニークでユーモラスなハーモニーを楽しんでほしい。 ソロを務めるクリストフ・エスはバンベルク響のソロ奏者を務める傍ら、活きのいい若手たちとホルン・クァルテットの「ジャーマン・ホルンサウンド」を結成し、委嘱作から編曲ものまで驚異的なアンサンブル力を見せている。次のシューマン「4本のホルンと管弦楽のためのコンツェルトシュテュック」では彼らが舞台前方に並び立つ。壮観な舞台姿だけでなく、がっちりとスクラムを組んだ4人のパワフルな演奏は聴き手を圧倒するはずだ。 後半はベートーヴェン「英雄交響曲」。第3楽章の中間部ではホルンが角笛を思わせる伸びやかな三重奏を聴かせる。東響のホルンも巧者揃い。ドイツのホルニステンに負けじと、いつにも増してヴォルテージが上がるのではないだろうか。ジャーマン・ホルンサウンド 高関 健(指揮) 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団「第九」今年は颯爽としたアプローチの「第九」をじっくり味わう文:山田治生12/28(木)19:00 東京文化会館問 東京シティ・フィル チケットサービス03-5624-4002 http://www.cityphil.jp/ 東京シティ・フィルの今年の「第九」を振るのは、常任指揮者の高関健。高関は2015年に東京シティ・フィルの常任指揮者に就任すると、演奏水準を著しく向上させたように思われる。そのうえ、実力あるプレイヤーたちを新たに加え(たとえば第2ヴァイオリン首席奏者:桐原宗生、客員首席チェロ奏者:大友肇、首席フルート奏者:竹山愛、首席トランペット奏者:松木亜希など)、ますます上昇気流にある。 高関は常に楽譜を忠実に再現しようと心がける。「第九」でも楽譜に書かれた速めのテンポを採り、音を短めに切って、歯切れの良い表現をする。高関の演奏を聴くと、これこそまさにベートーヴェンが求めていた「第九」ではないかと思う。合唱は東京シティ・フィル・コーア。高関は、東京シティ・フィルの常任指揮者に就任して以来、彼らを積極的に起用し、ドヴォルザークの「レクイエム」、ベルリオーズの「ファウストの劫罰」、ハイドンの「天地創造」などの大作で共演を重ねてきた。高関と同合唱団の共同作業の成果は、今回の「第九」でも聴くことができるだろう。また、小林沙羅、坂本朱、与儀巧、与那城敬という4名の独唱陣も楽しみ。 演奏会の前半には、2016年日本管打楽器コンクール・クラリネット部門第1位の中舘壮志がフランセのクラリネット協奏曲を吹く。こちらは新しい才能に巡り合えるチャンスだ。ジョナサン・ノット ©中村風詩人高関 健 ©Masahide Sato小林沙羅 ©NIPPON COLUMBIA坂本 朱©Akira Muto与儀 巧与那城 敬©Kei Uesugi中舘壮志

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