eぶらあぼ 2017.12月号
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50©Andrew Chiciakノエ・乾 × ヘルシンキ・バロック・オーケストラ12/1(金)19:00 紀尾井ホール問 藍インターナショナル03-6228-3732 http://www.ai-international.co.jp/ノエ・乾(ヴァイオリン)若きコスモポリタンがバロック・スタイルで「四季」に挑戦取材・文:宮本 明Interview 昨年初来日したヘルシンキ・バロック・オーケストラが、今年も芸術監督のアーポ・ハッキネンに率いられ来日する。ヴィヴァルディ「四季」のヴァイオリン・ソロで共演するのが、ベルギー出身のノエ・乾だ。 1985年ブリュッセル生まれ。父は日本人、母はギリシャ人。13歳まで生地で学び、その後パリ国立高等音楽院とカールスルーエ音楽大学を首席で卒業。現在はデュッセルドルフ在住。日本語、フランス語、ギリシャ語はネイティブ、ドイツ語、英語も話すマルチリンガルだ。名前の「ノエ」は方舟のノアのフランス語読み(ギリシャ語でも同じ)。 ヘルシンキ・バロック・オーケストラとは、昨年のばんだい高原国際音楽祭での出会いがきっかけとなり共演することに。普段はモダン・ヴァイオリンを弾いている彼だが、今回はA=415Hzでの演奏。バロック・ヴァイオリンに持ち替える。 「低いピッチもピリオド楽器も初めての経験ですが、何度も弾いてきた曲を今度はピリオド楽器で演奏することで、楽器の音色に新鮮な楽しみを見つけられると思います」 初めての経験だからこそ楽しく弾けるという、すごいポジティブ・シンキングは、とてもナチュラルでまったく厭味がない。とはいえ、普段からバロックの勉強も続けている。 「数年前、バッハの無伴奏を録音しないかというオファーがあり、準備のために人づてにバロックの先生を紹介してもらったんです。いろいろ学ぶうちに、結局バッハはもっと勉強してからじゃないと後悔すると思い、録音は先送りしたのですが、バロック奏法はここ6年ほど勉強してきました」 その先生というのがヘルガ・テーネ女史。かつてECMレーベルにクリストフ・ポッペンとヒリヤード・アンサンブルが録音した『モリムール』というアルバムに、仕掛け人としてその名があるので、興味のある向きはご確認あれ。 ベルギーはクイケン兄弟らを生んだ古楽の中心地のひとつだが、その影響は全然ないのだそう。 「パリに移ったのが13歳でしたので、ベルギーではまだ基礎の習得に精一杯でした。バロックの奥が深いのは確かなので、その深みをもうちょっと磨いてみたいです。今回の経験も、モダンで弾く時にも絶対に役立つはずと思っています」 そんな古楽のアプローチを経て、「四季」にも何か新しい視点を意識しているのだろうか。 「ハッキネンさんたちの『四季』を昨年聴く機会があったのですが、とてもレベルの高いアンサンブルだったので、彼らとの“対話”の中で何か生まれてくればよいですね。みなさんが知っている聴きやすい曲ではありますが、思いがけない発見があるのではないかと今から楽しみにしています」 柔軟で多様な対応力のコスモポリタンに注目だ。transit vol.8 カルテット・アロド話題の新鋭クァルテットがいよいよそのヴェールを脱ぐ文:笹田和人 2016年に難関・ミュンヘン国際音楽コンクールを制し、その鮮烈で変幻自在なプレイによって、今、破竹の勢いで室内楽の世界を席巻しつつあるフランスの弦楽四重奏団「カルテット・アロド」。旬の若手を紹介する王子ホールの人気シリーズ「transit」の第8弾に登場する。 パリ国立高等音楽院に学んだ4人の若手奏者によって、13年に結成。アルテミス、エベーヌなど名アンサンブルの薫陶を受け、ミュンヘンでの優勝の前年にはニールセン国際コンクールを制し、世界各地の主要ホールや音楽祭から招かれ、快演を重ねている。「アロ12/14(木)19:00 王子ホール問 王子ホールチケットセンター03-3567-9990 http://www.ojihall.jp/©Richard Dumasド」とは、映画『ロード・オブ・ザ・リング』に登場する白馬の名だとか。 今回の来日公演は、柔軟な発想で演奏に取り組む彼ららしい、捻りの効いたプログラミング。モーツァルトの第15番とメンデルスゾーンの第2番という、古典派とロマン派の弦楽四重奏曲の2つの佳品に、ローマ賞を受賞した現代フランスのバンジャマン・アタイール(1989~)による「アスル」(午後の礼拝)を挟み込む。

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